「幸せになりたい」
誰もが口にするこの言葉は、時にとてもややこしい。
なぜなら、幸せの度合いは外の出来事で決まるのではなく、その人の感受性に比例するからだ。
たとえば、庭先に咲いた一輪の花を見て
「きれいだな」
と胸を温める人がいる。
その一方で、高級車や豪邸を手に入れても
「まだ足りない」
と心が満たされない人もいる。
幸福とは持ち物の数ではなく、心が感じる力である。
考えてみれば、同じ夕日を見ても
「今日も一日ありがとう」
と微笑む人と、
「また一日が終わってしまった」
とため息をつく人がいる。
夕日は同じなのに、感じ方ひとつで世界が変わる。
これほど人の心は不思議で面白い。
多くの人は
「お金さえあれば」
「地位さえあれば」
と願う。
しかし実際は、お金や名誉は幸せの保証にはならない。
銀行口座がいくら膨らんでも、心の空白は数字では埋まらない。
むしろ
「もっと、もっと」
と欲が増していくこともある。
逆に、特別なものがなくても
「今日は天気がよくて気分がいい」
「あの人の笑顔が嬉しかった」
と思える人は、日常のあちこちに幸せを見つけることができる。
感受性が豊かな人ほど幸福のセンサーが敏感に働く。
まるで心のアンテナをピンと立てて、微細な喜びをキャッチしているようだ。
だからこそ大切なのは、外の条件を整えるよりも、自分の心を整えることだ。
花の色に目をとめる、誰かの言葉に
「ありがとう」
と返す、コーヒーの香りをゆっくり味わう。
そんな小さな行為の積み重ねが、幸福度を確実に上げていく。
そして忘れてはならないのは、感受性は鍛えられるということだ。
無理にポジティブを装う必要はない。
ただ、自分のまわりにある
「ちょっといいこと」
を拾い上げる習慣を持てばいい。
やがて心は柔らかくなり、幸せを感じる力が大きく育っていく。
幸福は外からやってくる贈り物ではない。
自分の中にすでにあるものを、どれだけキャッチできるかにかかっている。
つまり、幸福の度合いはその人の感受性に比例する。
「幸せとは、外から与えられるご褒美ではなく、自分の心の感受性が描き出す景色であり、その景色を豊かにするのは、あなたの感じる力そのものなのだ。」
【運を開く言葉】
書：瑞雪 文：游雲
