【運を開く言葉】
書:瑞雪 文:游雲
やるべきことをきちんとこなし、目標へ向かって頑張っている。それなのに、最近なぜか人生が楽しくない。気の進まないことでも必要だからと続け、楽しむのはそのあとでいいと思っているうちに、一日の大半が我慢で埋まっていく。頑張っているのに喜びが減っているなら、少し立ち止まって考えたい問題である。
今日もやることを終えて
また一日が暮れていく
楽しむのはそのあと
そう思って歩いてきた
いつかを待っているうちに
今日が過ぎていく
我慢した今日も人生だ
欲しかったもののために
何を置いてきたのだろう
喜びはまだ遠くにある
気の進まないことをする場面は、誰の人生にもある。目標のために我慢する時期もあれば、面倒でも引き受けなければならない役割もある。
だから、嫌なことを避ければ人生が楽しくなるという単純な話ではない。
問題は、気の進まないことばかりが毎日を占め、喜びを感じる時間まで減っているのに、それを「必要な努力だから」と受け入れ続けてしまうところにある。
人生をよくするために始めた努力が、いつの間にか人生そのものを楽しむ余地を奪っているなら、目的と手段が離れ始めている。
頑張ることには価値がある。だが、その頑張りの先にあるはずの喜びを、いつまでも先送りする必要はない。
何かを成し遂げるための時間も、そのまま自分の人生だからである。
頑張るほど人生の喜びが遠ざかる
気が進まないことには、面倒だから避けたいこともあれば、本心ではもう続けたくないのに「やるべきだから」と抱えているものもある。ここでいう「気が進まないことばかり」とは、嫌な用事が少しある状態ではなく、自分の時間の大半を、望んでいないことや我慢で埋めている状態を指す。
厄介なのは、それでも人は続けられてしまうことだ。目標がある。約束がある。途中でやめたくない。ここまで頑張ったのだから、もう少し続けたい。
理由はいくらでも見つかる。続けている間は、「これは必要な努力だ」と考えることもできる。
しかし、目標は本来、何かを得るために置いたものだ。生活をよくしたい。やりたいことを実現したい。安心したい。達成感を得たい。
そこへ向かう途中で、目標を守ること自体が目的になると、話が変わる。何のために始めたのかより、「ここでやめてはいけない」が強くなる。
我慢にも同じことが起きる。今は仕方がない。ここを乗り越えれば楽になる。もう少し頑張れば状況が変わる。そう考える時期はあっていい。
ただ、その「もう少し」が何年も続けば、喜びはいつも未来へ送られる。
楽しむのは仕事が落ち着いてから。やりたいことは目標を達成してから。休むのは全部片づいてから。
ところが、仕事も用事も目標も、きれいに全部なくなる日はなかなか来ない。次の予定が入り、別の役割が生まれ、また何かを優先する。
ここに大きな矛盾がある。人生をよくするために頑張っているのに、その頑張りによって人生の喜びが減っている。
これは、努力が悪いという話ではない。困難へ挑戦し、乗り越えた時の充実感は確かにある。ただ、困難へ挑むことと、苦しんでいるほど価値があると思うことは別である。
苦しいほど頑張っている証拠になる。楽をすると価値が下がる。そんな感覚が強くなると、気の進まないことを抱えている自分のほうを正当化しやすい。
すると、「この努力は何を生んでいるのか」より、「まだ耐えられるか」で物事を見るようになる。
気が進まないことを一つずつ消せばよいわけでもない。誰にでも、引き受けるべき役割や避けられない面倒はある。
見るべきなのは、それが人生の一部なのか、人生のほとんどになっているのかという違いである。
仕事でも同じである。売上や目標を守るために、気の進まない仕事ばかり増やせば、やがて仕事そのものへの喜びや気力まで薄れていく。
続けているから正しいとも、やめればよいとも限らない。何のために続けているのか、その理由が今も自分の人生と結びついているかを見る必要がある。
今日を我慢して、明日こそ楽しもうと思う。その明日が来ても、また別の何かを優先する。
そうして先送りした今日も、全部自分の人生として過ぎていく。人生の喜びは、目標を達成した後だけに置いておくものではない。
【関連記事】:
【卦象ミニコラム】
終われば楽になるのか
卦象:水火既済|完成は終着点ではない
変化|達成の先にも新しい用事は生まれる
水火既済は、物事がひとまず完成した局面を表す。けれど、完成すれば何もかも落ち着くわけではない。仕事を終えれば次の仕事が入り、目標を達成すれば別の目標が見えてくる。人生には「全部終わってから楽しむ」と言えるほど完全な区切りは少ない。達成後の喜びだけを待ち続けると、今という時間はいつまでも準備期間のままになる。既済が映すのは、終えた後にも日々は続くという現実である。
▶ 「楽しむ努力」の記事一覧
関連する記事を読む
関連する記事を読む
よくある疑問
Q.気の進まないことは全部やめたほうがよいのですか?
A.気の進まないことを全部やめる必要はない。避けられない役割や、目標のために引き受ける負担もある。問題は、それが人生の一部なのか、大半を占めて喜びまで失っているのかである。続けるかやめるかより、今の時間が何のために使われているかを改めて見る。
【時運を読む手がかり】:喜びを先送りしていないか
気の進まないことが一つあるのか、そればかりが毎日を占めているのかでは意味が違う。今の時間が、目標へ向かう途中なのか、喜びを先送りし続ける時間になっているのかを見る。
気の進まないことが一つあるのか、そればかりが毎日を占めているのかでは意味が違う。今の時間が、目標へ向かう途中なのか、喜びを先送りし続ける時間になっているのかを見る。
『目標のために喜びを先送りし続ければ、いつか満たされるはずの人生そのものが、気の進まない時間で埋まっていく。努力は、何のためにその時間を使ったかで意味が変わる。』
(内田 游雲)
▶ 【64卦から読む】:水火既済
この卦に関連する記事を読む
この卦に関連する記事を読む