怒りはチャンスを潰す|経営者の判断ミスを防ぐ「今は決めない習慣」
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今は決めない習慣
今は決めない習慣とは腹が立った直後に結論を出さず、事実を一行にして選択肢を戻す技法である
チャンスは静かな顔で来る
掴む手は落ち着きが要る
感情が先に走ると
目は大事な入口を見ない
怒りは小さな火花でも
判断の地図を焦がしてしまう
物事は必ず両手で来る
プラスとマイナスを連れて来る
ピンチの影にチャンスが立つ
同じ時刻に同じ場所へ来る
冷静でいられる人だけが
その二つを見分けて選ぶ
だから今日は、腹が立った瞬間に決めずに一度息を吐き、少しだけ視野を広げてから選ぶ。
腹が立つ日ほど、目の前の出来事が「敵」に見えやすいが、そこで一度止まれるかどうかが、その後の判断とチャンスを分ける。
怒りが判断ミスを招きチャンスを潰す
些細な怒りは判断を急がせ、情報を減らし、結果としてチャンスを取りこぼす。
怒りは性格ではなく、期待と現実の差が生む警戒反応として扱える。
「今は決めない」と止まり、呼吸で体の速度を落とすと選択肢が戻る。
冷静さを運用に組み込むと、人間関係と仕事の流れが立ち直る。
細かなことで腹が立つ瞬間は、だいたい
「忙しい」
「余裕がない」
「期待していた」
の三点セットで起きる。
レジが遅い。返信が短い。部下の報告が雑。取引先の一言が刺さる。
どれも命に関わる話ではないのに、心の中だけ非常ベルが鳴る。
しかも経営者だと、鳴った瞬間に指が勝手に決裁ボタンへ向かう。
ここが危ない。
怒りは気合いで抑えるものではなく、まず仕組みとして理解する方が早い。
怒りとは、期待と現実の差に反応して体が警戒モードへ入る状態だ。
脳は「今すぐ守れ」と命令する。
すると視野が狭くなる。
情報が減る。
言葉が尖る。
判断が速くなる。
速いのは良いことのようで、実際は“雑”になりやすい。
さらに厄介なのが、ピンチとチャンスがほぼ同時に来ることだ。
トラブルが起きた直後に、改善のアイデアが出たり、新しい出会いが滑り込んできたりする。
ここで腹を立てていると、チャンスの方を「気づかない」か「蹴る」。
つまり機会損失が起きる。
怒りの代償は、感情の消耗よりこちらが大きい。
怒る人の周囲に敵が増えるのも自然な流れだ。
相手が悪いというより、こちらの空気が硬くなる。
言い方が強くなる。
相手の防御が上がる。
結果、情報が上がってこない。
相談も減る。
やがて孤独になる。
経営者ほど、このループは静かに効く。
だからこそ、腹を立てる癖は「性格」ではなく「運用」として見直す価値がある。
ここを整えると、仕事も人も、驚くほど回り始める。
では、どう変えるか。
答えは「腹を立てない人になる」ではない。
そんな人格改造は、だいたい三日で挫折する。
経営は長距離走だ。
続く形が正解になる。
ポイントは、怒りが出た瞬間に“判断”を先に動かさないことだ。
まずやるのは停止だ。
小さくていい。
たとえば心の中で
「今は決めない」
と言い切る。
これだけで事故率が落ちる。
次に、体を使って速度を落とす。
息を一度長く吐く。
肩を下げる。
足の裏に体重を乗せる。
ここで冷静さが戻り始める。
怒りは頭の問題に見えるが、実際は体の反射が大半だ。
体を落ち着かせると、言葉も丸くなる。
次は言語化だ。
怒りの正体を一行にする。
「私は〇〇を期待していた」
「私は〇〇が怖かった」
「私は〇〇を軽く扱われたと感じた」。
この言葉が出ると、怒りは“ただの情報”に変わる。
すると、選択肢が戻る。
ここが分岐点だ。
怒りのまま叱ると敵が増えるが、情報として扱うと味方が増える。
経営者向けに、実務の型も示しておく。
怒りが出やすい場面はだいたい固定だ。
部下への指摘、クレーム対応、家族やパートナーとの会話、SNSの一言。
そこで
「返信は30分置く」
「叱るのは事実だけ」
「クレームはメモしてから話す」
とルール化する。
これは感情管理ではなく、判断の品質管理だ。
未来像も具体に描く。
腹が立っても、決める前に止まれる。
相手を潰さず、事実を伝えられる。
情報が集まり、相談が増え、意思決定が軽くなる。
結果、チャンスが拾える。
怒りがゼロになる必要はない。
怒りを燃料にしないだけで、仕事の流れはかなり変わる。
最後に今日の行動だ。
次にイラッとしたら、まず
「今は決めない」。
それから息を吐く。
これで十分だ。
怒りは止められる。
チャンスは拾える。
ついでに、周りの空気も少しうまくいく。
ここまで読んで、思い当たる場面が一つでもあれば十分だ。
怒りはなくそうとすると増えるので、まず「起きた」と認めて手順に乗せる。
次のQ&Aで、つまずきやすい点を短く補う。
読者からのよくある質問とその答え
Q. 些細なことでイラッとしてしまうのは、私の性格が悪いからですか?
A. 性格の問題ではない。
怒りは疲れや焦りで気が詰まったときに出やすい反応だ。
まず「今は決めない」と止まり、息を長く吐いて体の速度を落とすと流れが戻る。
Q. 怒りを抑えると、言いたいことを我慢して損しませんか?
A. 我慢と整えるは別物だ。
怒りのまま言うと相手は防御に回り、要点が届かない。
先に事実を一行にしてから伝えると、言葉の温度が整い、関係も仕事も進みやすい。
Q. 腹が立った直後に判断を保留する時、具体的に何をすればいいですか?
A. まず決裁や返信を止める。
次に息を一度長く吐き、肩と足裏を感じて落ち着く。
最後に「私は何を期待していたか」を一行で書く。
これで選択肢が戻り、チャンスを拾える。
Q&Aで疑問がほどけたら、次は判断の質を守るために、今日できる行動だけを淡々と入れる。
【判断ミスを防ぐ今日の行動】
1.決裁と返信を30分止める
腹が立ったら、その場で決めずにタイマーを30分セットして保留にする。
2.深呼吸を10回してから話す
相手に連絡する前に、息を長く吐く呼吸を10回してから言葉を出す。
3.事実だけを一行でメモする
「何が起きたか」を主語つきで一行だけ書いてから、次の対応に入る。
【要点まとめ】
・怒りの瞬間は視野が狭くなるので、その場で決めない。
・呼吸で体の速度を落とすと、言葉と判断が戻る。
・事実を一行にすると選択肢が増え、チャンスを拾える。
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【運を開く言葉】
書:瑞雪 文:游雲
内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトの「運の研究-洩天機-」は、氣と運をテーマにしている。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。
瑞雪(ずいせつ)
書家。新潟県村上市に生まれる。幼い頃より書に親しみ、18歳で書家を志し、大東文化大学文学部中国文学科で青山杉雨氏に師事。卒業後 ㈱ブリヂストンに就職するも6年後に退職し、独自の創作活動を開始する。人生の法則を力強く書いたその書は、多くの人に生きる力と幸運をもたらすと評判である。雅号の瑞雪は、吉兆をもたらす雪を意味している。




