自己肯定感は自分を褒める習慣で50代からでも育て直せる

自己イメージの低さは、過去のネガティブな記憶や思い込みから生まれる。とくに50代以降の挑戦では、「どうせ私には無理」と自分でブレーキをかけてしまいがちだ。けれど、潜在意識は毎日の言葉で書き換えられる。毎日、自分を褒める習慣を持ち、「私はできる」と声に出すことで、脳も行動も少しずつ変わっていく。自己肯定感は、年齢に関係なく育て直せる力だ。運も人生も、自分への優しく前向きな言葉から、確かに動き出していく。(内田游雲)
内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトの「運の研究-洩天機-」は、運をテーマにしている。他にも、この世界の法則や社会の仕組みを理解しスモールビジネスの経営を考える「気の経営」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。
瑞雪(ずいせつ)
書家。新潟県村上市に生まれる。幼い頃より書に親しみ、18歳で書家を志し、大東文化大学文学部中国文学科で青山杉雨氏に師事。卒業後 ㈱ブリヂストンに就職するも6年後に退職し、独自の創作活動を開始する。人生の法則を力強く書いたその書は、多くの人に生きる力と幸運をもたらすと評判である。雅号の瑞雪は、吉兆をもたらす雪を意味している。
自己イメージが低いままだと、ネガティブ思考に支配され、起業や新しい挑戦が怖くなってしまう。
ネガティブ思考が行動を止めている
『「私には無理かも」が人生を止める。本当はできるのに、思考のクセがブレーキをかけている』
やりたいことはあるのに、一歩が踏み出せない・・・。
そんな感覚を経験したことがある人は多い。特に、50代から何か新しいことを始めようとすると、「今さら無理かも」「失敗したらどうしよう」といった不安が、まるで定番メニューのように心に浮かんでくる。でも実はこれ、年齢のせいではなくて、自分に対する“思い込み”が原因になっていることが多い。
この「ネガティブ思考」の正体は、思考グセといってもいい。人は、生きてきた中で経験した失敗や恥ずかしい出来事、否定された記憶を強く覚えている。これは脳の生存本能によるもので、危険や不快から身を守るために、ネガティブな情報の方が潜在意識に深く刻まれやすい仕組みになっているのだ。
たとえば、子どもの頃に言われた「向いてないよ」「やめといたほうがいいんじゃない?」という何気ない一言が、大人になった今も知らぬ間に自己イメージを縛っていることがある。言われた方は軽く受け取れず、内側にしまい込んでしまったのだ。「私はきっと無理」「やっぱり私はダメ」と、何度も心の中で繰り返すうちに、それが“真実”として脳に定着してしまう。
こうしたネガティブな自己イメージは、行動を始める前から心にブレーキをかけてくる。「どうせまた失敗する」と先回りして諦めてしまうせいで、チャンスそのものに手を伸ばすことができなくなる。つまり、実際の失敗よりも、「失敗するかもしれない」という妄想が人生を止めてしまうのだ。
でも、ここで安心してほしい。これらはあくまでも“思考のクセ”であって、事実ではない。「その考え、誰が決めたの?」と自分に問いかけるだけでも、思考の軌道は少しずつ変わってくる。「また出たな、いつものネガティブ思考」と、心の中でツッコミを入れるくらいでちょうどいい。
ほんの小さな言葉の選び方ひとつで、心のクセは変わっていく。何度でもやり直せる。年齢を言い訳にせず、今日から意識を変えていけばいい。ただそれだけで、止まっていた歯車が静かに動き出す。
自己肯定感は褒める習慣で上がる
『誰よりもあなた自身が、あなたを励ましてあげてほしい。運も自信も“言葉”から変わっていく』
自己肯定感を上げたいなら、まずは「自分を褒める習慣」を毎日の中に取り入れることが重要になる。
褒められると、どう返しているだろうか?
「いえいえ、たいしたことないです」「そんなことないです」と、つい否定してしまう方は多い。
でもこの“謙遜という名の自己否定”こそが、自己肯定感を下げるクセの正体だったりする。
そもそも日本人は、褒められることに慣れていない。子ども時代から「調子に乗るな」「謙虚が美徳」と教え込まれて育ってきた人ほど、自分を認めることに後ろめたさを感じやすい。だから、大人になっても「すごいですね」と言われた瞬間に、「そんなことないですよ」と反射的に打ち返してしまう。まるで自分を褒めることが、罪であるかのように。
けれど、実は“自分を褒める”という行為は、脳の仕組みにかなった自己強化の習慣なのだ。たとえば、「よくがんばったね」「今日は前よりうまくできた」と自分に言うだけで、脳は報酬系を刺激され、快の感情とセットで記憶されていく。つまり、自分を褒めることで“またやろう”という行動のエネルギーが生まれる。
大げさなことを言う必要はない。「起きられた」「ちゃんと朝ごはん食べた」「ひとつ用事を片づけた」。そんな小さなことでいい。それを見つけてあげられるかどうかが、自己肯定感の上げ方のコツである。
「褒める」とは、自分の可能性を信じてあげること。誰かが評価してくれるのを待つのではなく、自分で「よくやってる」と声をかけてあげる。これができるようになると、不思議と外の世界にも変化が現れる。人の目が気にならなくなり、少しずつ「自分の判断」で動けるようになっていく。
自己肯定感は、根性ではなく習慣で育てるもの。朝起きて、鏡の前で「今日の私、けっこういいよ」とつぶやく。たったそれだけで、少しずつ脳のプログラムが書き換わっていく。最初は気恥ずかしくても、だんだんと言葉が心に届くようになっていくから不思議だ。
ネガティブ感情は記憶の刷り込み
『できないと思い込んだその理由、じつは“過去の誰かの言葉”だった。今こそ塗り替えるタイミング』
ネガティブ思考の原因は、潜在意識に刷り込まれた過去の記憶であり、自己イメージの低下に直結している。
「私には向いていない」「どうせまた失敗する」
そんなふうに思う瞬間、誰にでもある。
けれど、その“思い”は本当に自分自身のものだろうか? 実は、そうではない可能性が高い。
人間の脳は、生存を最優先にできている。だから、ネガティブな記憶の方が強く残る仕組みになっているのだ。楽しかった思い出より、恥ずかしかった失敗や怖かった出来事の方が、何十年経ってもはっきり覚えている。これは単なる気のせいではなく、脳の防衛本能による“優先保存”なのである。
たとえば子どものころに言われた何気ない一言。「あんたには無理よ」「失敗すると恥をかくよ」・・・。そんな言葉が、本人の心にはずっと“禁止命令”のように残る。言った方に悪気はなかったとしても、受け取った側の心には、「私はダメ」「私はできない」がしっかりと刻まれてしまう。
このようにして、「できない」というイメージは、過去の他人の言葉によって“刷り込まれた誤情報”であることが多い。それが今でも、潜在意識の奥で勝手に発動し、判断や行動にブレーキをかけている。だから、自己イメージを改善したいなら、まずはこの“古い情報”がまだ残っていることに気づくことが必要だ。
「今の私は、あのときの私とは違う」。このシンプルな事実を、自分に何度も思い出させてあげたい。何歳であっても、どれだけ過去に縛られていても、今この瞬間から“新しい言葉”で上書きすることはできる。ネガティブ思考を変えたいなら、まずは自分の中の“過去からの呪文”に気づくところから始めよう。
誰かに言われた一言で縛られていた自分を、そっとほどいてあげる。自分を責めるのではなく、「そう思い込んでたんだね」と優しく気づいてあげる。その小さな対話が、潜在意識に新しい風を吹き込んでいく。
鏡の前で言うだけで脳は変わる
『「私はできる」と言葉にするだけで、運と脳は反応を始める。違和感は、変化の入り口』
潜在意識を書き換えるには、鏡の前で行うアファメーションが効果的だと脳科学でも証明されつつある。
朝の洗面所で鏡を見ながら、つい「はあ・・・」とため息をつくことがある。その“ため息習慣”を、ほんの少し変えてみるといい。たとえば、こう言ってみる。
「私、今日もいい感じだ」
うさんくさく感じるかもしれない。だが、それで構わない。
ここには、潜在意識を書き換えるための仕組みがある。人の脳は、繰り返し聞かされる言葉を“真実らしい”と判断する傾向がある。つまり、自分で発したポジティブな言葉を何度も聞くことで、脳がその気になっていくのである。
これが、いわゆるアファメーションの効果である。なかでも「鏡の前で」「自分の目を見て」語りかける行為は、視覚と聴覚の両方に作用する。脳へのインパクトが強く、自己肯定感を上げるための強力な手段となる。
最初は確かに違和感がある。とくに「私は素晴らしい」「私には価値がある」などの言葉には、心の中で「いやいや、それはない」とツッコミを入れたくなる。
しかし、その違和感こそが、潜在意識に新しい情報が入ってきた証拠でもある。それは、これまでの自己イメージと新しい言葉がぶつかっている状態だ。つまり、変化の兆しととらえていい。
1日3回でも、10回でもかまわない。「私はよくがんばっている」「私にはやれる力がある」など、自分が受け入れやすい言葉から始めるといい。声に出すことに加えて、紙に書いたり、目につく場所に貼ったりすると、さらに効果は高まる。視覚・聴覚・運動感覚の三方向から、脳に向けて“新しい指令”を送ることができる。
誰かに褒められるのを待つのではなく、自分で自分を励ます習慣を持つことが大切である。「いいよ、今日の私も悪くない」。たった一言の自己承認が、心と脳と、そして運さえも、ゆっくりと動かしていく。
50代からでも自己肯定感は変わる
『人生の後半こそ、自分を愛する力が必要になる。「遅い」は幻想。あなたのタイミングは、これから』
50代からでも遅くない。自己肯定感の上げ方を知り、自己イメージを改善すれば、起業も人生も動き出す。
「もうこの年齢じゃ遅い」
そう思う気持ちはよくわかる。50代という節目を迎えると、何か新しいことを始めるのにブレーキがかかりやすくなる。だが、自己肯定感というものに“年齢制限”はない。むしろ、人生経験を積んだからこそ、より深く育てていける土壌ができている。
起業を目指す人も、仕事や暮らしを見直したい人も、最初に必要なのは「実績」や「アイデア」ではなく、「私はできるかもしれない」と信じる力である。だがこの自己肯定感は、過去の経験や他人の評価によって、いつの間にかすり減っていることが多い。
たとえば、これまで真面目に努力してきた人ほど、「もっとやらなきゃ」「まだ足りない」と自分に厳しくなりがちだ。それが無意識のうちに、自己イメージを“常に不十分な自分”に設定してしまっている。その状態では、どれだけスキルがあっても、「私なんて」と自分で可能性にフタをしてしまう。
だが、自分の価値は“できるかどうか”ではなく、“どう向き合っているか”で変わる。うまくいっていないときほど、自分に優しい言葉をかけてあげることが大切になる。「今日もよくやってる」「十分やってるよ」と、自分自身に声をかける。それだけで、脳も心も、少しずつ回復していく。
何も大きな目標を掲げる必要はない。まずは、「私はこのままでも悪くない」と思えるようになること。それができれば、必要なときには自然と行動できるようになるし、結果的にチャンスも引き寄せやすくなる。
年齢を言い訳にせず、自分をねぎらいながら進んでいくことが、50代からの自己肯定感の上げ方である。誰かに承認されなくても、自分だけは自分を信じる。それだけで、人生の景色が驚くほど変わって見える。
自己イメージは、誰かに決められるものではなく、自分で育て直せるものだ。何歳からでも、「私はできる」「私はよくやってる」と言葉にしていけば、脳も心もやがてそれを信じ始める。自分を責める代わりに、自分をねぎらう習慣があれば、人生の流れはゆるやかに好転していく。自分に優しい言葉を贈ることが、運をひらく第一歩になる。