大切なことは一度では届かないから繰り返し伝える力が信頼を育てる

理由はシンプルだ。
人間は常に
「自分に都合のよい情報」
を選び取ろうとする。
興味があることや欲していることは積極的に受け取るが、そうでないものは自動的にシャットアウトしてしまう。
だから、本当に伝えたいことがあるなら、一度で理解してもらおうと思ってはいけない。

だからこそ、言葉でも、態度でも、行動でも、何度も繰り返す意味がある。
子どもに
「早く寝なさい」
と言い続けるのと同じで、相手の心が開くまで地道に積み重ねるしかない。

現代は
「情報化社会」
と呼ばれている。
スマホで検索すれば何でもわかるように見えるが、実際はそうではない。
人は自分の興味があることしか調べないし、SNSでは似たような意見ばかりが流れてくる。
知っているつもりで、実は知らないことだらけなのだ。

検索もSNSも、自分に合うものばかりを見せてくるからだ。
これを
「情報の偏り」
と呼ぶ。
表面的には知識を得たように見えるが、実際には視野がどんどん狭くなり、知っているつもりの落とし穴にはまってしまう。

この状況は人間関係やビジネスでも同じだ。
こちらが
「これは大事だ」
と思って伝えても、相手が求めていなければ頭に入らない。
そこで必要なのは繰り返し伝える根気である。
くどくならず、重たくならず、でも芯を外さずに続ける。
その工夫こそが相手に届く言葉を生み出す。

「繰り返し伝える力とは、大切なことを相手の心に届くまで何度も表現し続ける姿勢をいう。」

一度で終わらせず、角度を変えて積み重ねるからこそ、相手の理解が深まり信頼につながる。

「知っているつもりの落とし穴」
は誰にでもある。
健康やお金の話でも、頭では理解していても実際の行動にはつながらないことが多い。
だからこそ、耳にタコができるくらい繰り返し聞くことで、ようやく本気で受け取れる瞬間が訪れる。

答えは、何度も繰り返す地道な姿勢である。
一発勝負の名言よりも、根気よく伝え続けることが心を動かす。
これは恋愛にも子育てにも仕事にも共通する。
相手の心に届くまで繰り返し伝える人は、やがて信頼され、結果として大切なことがきちんと伝わる。

情報があふれている今の時代こそ、真に必要なのは
「一度で理解してもらおう」
という欲張りではなく、繰り返し伝える覚悟である。
相手の心が動く瞬間は、思っているよりずっと後にやってくる。
そのタイミングを信じて、言葉も態度も何度でも届けていきたい。

profile：
内田游雲（うちだゆううん）
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトの「運の研究－洩天機－」は、運をテーマにしている。他にも、この世界の法則や社会の仕組みを理解しスモールビジネスの経営を考える「気の経営」を運営している。座右の銘は、「木鶏」「千思万考」。

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瑞雪（ずいせつ）
書家。新潟県村上市に生まれる。幼い頃より書に親しみ、18歳で書家を志し、大東文化大学文学部中国文学科で青山杉雨氏に師事。卒業後㈱ブリヂストンに就職するも６年後に退職し、独自の創作活動を開始する。人生の法則を力強く書いたその書は、多くの人に生きる力と幸運をもたらすと評判である。雅号の瑞雪は、吉兆をもたらす雪を意味している。