以前は好きだったのに、今では予定を見るだけで気が進まない。それでも「ここまで続けてきたから」と、やめずにいることはある。趣味でも人間関係でも仕事でも、楽しくないことを続けてしまう時、支えているのは今の気持ちではなく、過去へ使った時間かもしれない。続ける理由が変わっているなら、その違和感は見過ごせない。
前は好きだったのに
今は気持ちが向かない
それでも続けてしまう
ここまで来たのだから
やめたら惜しい気がする
過去に引かれて歩いてる
過去を守って未来を使う
もう心は離れていても
足だけが先へ進んでいる
止まることよりもったいないのは
望まぬ先へ進む時間
「楽しくなければ止めたっていい」ということは、嫌なことからすぐ逃げればいいという意味ではない。好きなことにも面倒な時はあるし、思うように進まず苦しくなる時もある。それでも、まだ面白さがあり、もう少し続けたいと思えるなら、困難と楽しさは同時に存在する。
見落としやすいのは、気持ちが離れたあとまで「ここまで続けたから」という理由だけで残ってしまうことだ。長く続けた事実は、それまでの時間を否定しない。だが、その年月がこれからも続ける義務になるわけではない。
過去に使った時間は、止めても消えない。そこには経験も記憶も、すでに残っている。むしろ考えたいのは、これからの時間まで同じ場所へ渡したいのかである。
「止めたっていい」という言葉は、投げ出す許可ではなく、続ける理由を今の自分に問い直すための言葉なのだ。
苦しくなければ価値はないのか
長く続けているものほど、やめる判断は難しくなる。始めた頃は楽しみにしていた習い事も、いつしか予定の日が近づくと気が進まなくなる。昔からの付き合いも、会う前から疲れるのに「長い関係だから」と約束を重ねる。楽しくないことを続ける理由は、今そこに魅力があるからとは限らない。続けた時間そのものが理由になるからだ。ここでいう惰性とは、今の気持ちや目的より、過去からの流れに押されて同じ選択を続ける状態を指す。
人は、自分で選んで始めたものほど途中で止めにくい。時間を使った。お金も使った。周囲にも話した。途中でやめれば、それまでの努力まで無駄になるように感じる。だから、もう興味が薄れていても「あと少しだけ」と続ける。もったいない気持ちが判断を握ると、今どう感じているかは後回しになる。
続けることには、確かに力がある。すぐ結果が出なくても積み重ねたから身につく技術もあるし、難しい時期を越えたから見える景色もある。好きなものでも疲れる日はある。うまくいかず、投げ出したくなる日もある。だから「苦しいからやめる」「楽しくない日があったから終わり」と単純には決められない。
問題は、その苦しさの中にまだ自分から関わりたい気持ちがあるかだ。難しくても試したくなる。失敗しても、少し悔しいからもう一度やりたくなる。そんな気持ちが残っているなら、苦労と楽しさは同居する。
反対に、続ける理由を尋ねた時、「ここまでやったから」しか出てこなくなるものもある。ここに大きな矛盾がある。過去へ使った時間を無駄にしたくなくて続けているのに、その選択によって、まだ使っていない時間まで同じ場所へ差し出している。
過去を惜しむほど未来を使う。
これは、長く続けたものほど見えにくい。十年続けたから、十一年目も続ける。長い付き合いだから、これからも会い続ける。資格の勉強にお金をかけたから、目的を失ったあともやめられない。だが、過去の長さは未来の義務ではない。続けた年月は、それまでの経験としてすでに残っている。
見る場所を少し変えると、問いも変わる。「やめたらもったいないか」ではなく、これからも時間を渡したいかになる。そこに楽しさが残っているなら、困難があっても続ける理由になる。もう気持ちが離れているなら、長く続けた事実だけで抱える必要はない。
仕事でも同じことは起きる。昔から受けている仕事や長い付き合いの相手ほど、今の自分に合わなくなっても手放しにくい。だが、仕事は売上だけでなく、時間と気力も使って続けている。何年続けたかより、これから何年そこへ自分を使いたいのか。その違いが見えると、「続けるべきか」という迷いの中身も変わってくる。
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【卦象ミニコラム】
続ける理由が変わるとき
卦象:天山遯|退く時を知る
変化|続ける理由が今から過去へ傾く局面
天山遯は、前へ進む力だけでなく、時に応じて距離を取る意味を含む卦である。『遯』は退くことを示し、彖伝でも時に応じて動く局面として説かれる。 長く続いたものほど、続ける理由と過去への執着は混ざりやすい。まだ進みたいのか、それとも以前の選択を守っているだけなのか。遯の卦象は、続けるか止めるかを急いで決めるより、今の自分と同じ方向へ進む理由が残っているかを見る角度を与える。
よくある疑問
Q.楽しくないと感じたら、すぐにやめてもいいのでしょうか?
A.楽しくないからといって、すぐにやめる必要はない。好きなことでも疲れる時はあり、難しい局面で一時的に気持ちが離れることもある。見るべきなのは、苦しいかどうかだけではなく、今もそこへ自分から関わりたい気持ちがまだ残っているかを見ることだ。
【開運への手がかり】:続ける理由の現在地
今も続けたいから続けているのか、それとも「ここまで続けたから」が理由になっているのか。過去の時間を守ろうとすると、今の気持ちや、これから使う時間が見えにくくなる。
『長く続けたものを終えると、それまでが無駄になるように感じるが、過去は消えない。失いやすいのは、もう心が向いていない場所へ、これからの時間まで使い続けることだ。』