度を超えた幸運や厚い待遇とは、人の判断を揺らしやすい“人生の落とし穴”である。
労せず得た幸運は、視野を狭め、心の軸を不安定にする作用を持つ。
大きな幸運ほど丁寧に扱う姿勢が、運の流れを守る基本になる。
浮かれず落ち着いて受け取ることが、長く巡りを育てるもっとも確かな方法である。
度を超えた幸運や、身に余るほどの厚い待遇が訪れると、人の心はあたたかく浮き立つ。
誰しも一度は
「この幸運、本当に受け取って大丈夫だろうか」
と感じたことがある。
長く頑張ってきた人ほど、
「ついに流れが来た」
と感じるものだ。
ただ、ここに注意点が潜んでいる。
度を超えた幸運は、心の足元をすくいやすい現象のひとつである。
うれしさの反面、判断力が揺らぐ入口になるからだ。
厄介なのは、こうした出来事が“良い顔”をして近づいてくる点にある。
誰でも突然の成功や予想外の評価はうれしい。
しかし、労せず得た幸運は心の視野を狭める作用を持つ。
人は好調の波に乗った瞬間ほど、心の軸が揺れやすくなり、小さな違和感を見落としやすくなる。
ふわりと気分が上がった瞬間、普段なら見えるはずのものが見えなくなる。
慎重さの欠如は、流れのリズムが乱れ、足元の感覚がぼやけていく。
人は急激な厚遇に慣れていない。
だからこそ、身に過ぎた幸運は“器を試す場面である”と考えるといい。
自分のキャパシティを超える大きなものを一度に受け取ると扱いきれず、かえってこぼしてしまう。
これは運の世界ではとても自然で、弱った根が大きな養分に負けるのと同じ構造だ。
