お金の使い方を見直し手元に残す方法
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お金が残らない原因は、収入不足だけではなく、お金の使い方にある。資本主義社会には、広告、キャッシュレス、クレジットカード、ローンによって、お金を使わせる構造がある。まず固定費や明細を見て、お金の出口を確認する。今日ひとつの支払いを選び、必要な支出か見直すことから始める。
お金が残らない原因は使い方にある
財布の底に穴があいたまま水を注いでも、器は満たされない。お金が貯まらない理由は、稼ぐ力の不足だけではなく、支出の癖とお金の出口を見ていないことにある。
お金が残らない時、最初に見るべきものは収入ではなく使い方である。売上が増えても、支出の癖が変わらなければ手元には残らない。ここでは、お金を使う時の感情、必要だと思い込む心理、支出に表れる自分の状態を見直し、お金の流れを戻す入口を明らかにする。
お金が足りない時、人はまず「もっと稼がなければ」と考える。売上を増やす。客数を増やす。単価を上げる。
新しい商品を作る。広告を出す。経営者であれば、自然にそう考える。
それは間違いではない。商売をしていれば、売上は大事である。けれど、手元にお金が残らない時に、最初から入口だけを広げようとすると、かえって苦しくなることがある。
入ってきたお金が、そのまま出ていくからである。
あなたの手元にお金があまりなかったとしたら、まず、お金の使い方を見直す必要がある。そもそも、人々は「使うお金は収入より少なくすると生き残れる」というのは知っている。
本当は誰もがそれを知っている。それでも、お金は残らない。なぜなら、知っていることと、日々の支出を変えることは別だからである。
お金の使い方の見直しとは、支出を我慢で減らすことではなく、お金が出ていく理由、気分、タイミング、仕組みを自分で見える形にすることである。
お金が貯まらない原因は、収入の少なさだけではない。収入があっても、使い方の癖が変わらなければ、お金は手元に残らない。
これは家庭でも会社でも同じである。
小さな会社や個人事業では、お金の出口が多い。家賃、通信費、広告費、会費、保険、仕入れ、外注費、学びへの支出、人付き合い、家族の支出、税金。
どれも必要に見える。実際に必要なものも多い。
ただ、その中に「今でなくてもいい支出」「効果を確かめていない支出」「不安を消すための支出」「人に良く見られるための支出」が混ざると、手元のお金は少しずつ減っていく。
売上が増えているのに、なぜか残らない。忙しく働いているのに、口座残高を見ると安心できない。月末になると、支払いのことばかり考えている。
こうした状態にある時、見るべきものは能力不足ではない。まず見るべきものは、お金の出口である。
お金は、入ってくるだけでは経営を支えない。残って初めて、次の判断を助ける。残るお金があるから、必要な投資ができる。
急な支払いにも慌てずにすむ。価格を下げずに踏ん張れる。お客に無理な売り込みをしなくてすむ。
経営におけるお金の問題は、売上だけで決まらない。どこへ出ていくか。何に使っているか。なぜ使ったか。
その支出は、事業を守っているのか、見栄を守っているのか、不安を一時的に消しているだけなのか。
ここを見ないまま売上だけを追うと、経営は忙しくなる。忙しくなるのに、お金は残らない。すると、さらに売上を増やそうとする。
広告を増やす。講座を買う。設備を買う。人を増やす。気づけば、また支出が増える。
だから最初に必要なのは、稼ぐ努力を増やすことではない。お金が残らない理由を、収入不足だけにしないことである。
お金の使い方には、その人の考え方が出る。焦っている時の買い物、不安な時の契約、疲れている時の浪費、見栄を張りたい時の支出。
これらは金額だけを見ても分からない。
お金の使い方を見れば、その時の自分の状態が見えてくる。ここが見えると、支出管理は冷たい数字の作業ではなくなる。
自分の判断を取り戻す作業になる。
お金が足りない時ほど、まず通帳を見る。カード明細を見る。決済アプリを見る。固定費を見る。
そして、何に使ったかだけでなく、どんな気分で使ったかを見る。そこから、お金の使い方の見直しは始まる。
お金の使い方には、その人ごとの癖があるので、お金が足りない場合には、このお金の使い方に問題があることが多いのだ。お金や金運が無いと嘆く前に、まずお金の使い方の問題を何とかするほうが、お金がうまく回るようになっていくものだ。
この言葉は、かなり現実的である。お金が足りない時、人は外に原因を探す。景気が悪い。お客が減った。単価が上がらない。税金が高い。物価が上がった。それらはたしかにある。現実としてある。
しかし、それだけを見ていると、自分で動かせる部分が見えなくなる。今日から見られるのは、まず自分のお金の使い方である。
とにかく基本的に、人はお金を使うことが好きだ。なぜかというと、それは気持ちいいからだ。なぜ気持ちイイかというと、そこにはいろいろな側面が見て取れる。
店の人がちやほやしてくれる。お金を払うことで、自分の自尊心が満足できる。商品を身に付けたら、周りからすごいと思われそうでワクワクする。未来の夢の実現の為に、必要だと思い込む。
他にも商品によっていろいろ出てくるだろう。とにかく、こうした様々な感情が渦巻いて、人はお金を使うことに快感を覚えるのだ。
ここを認めることが大事である。お金を使うのは、必要だからだけではない。気分が良くなるから使う。認められた気がするから使う。不安が少し下がるから使う。新しい自分になれる気がするから使う。
経営でも同じである。高額な講座を買う時、「これで売上が変わる」と感じる。新しい機材を買う時、「これで仕事が楽になる」と思う。広告費を増やす時、「これで問い合わせが来るはずだ」と考える。店舗や事務所を整える時、「これで信用される」と感じる。
もちろん、必要な支出はある。学びも、設備も、広告も、事業には必要である。ただし、必要な支出と、気分を満たす支出は分けて見る必要がある。
ここを混ぜると、お金は残らない。「仕事のため」と言いながら、実は不安を消すために払っていることがある。「信用のため」と言いながら、実は人から良く見られたい気持ちに払っていることがある。「投資」と言いながら、実は買う前の高揚感に払っていることがある。
だから、強い意志を持ってお金の使い方をコントロールしないと、人は、お金をどんどん使う方向に行動することになる。
「そんなことは、ない! 私は、必要だから買うんだ」
そう思われるだろう。けれど、よく心の中を見てみればいい。必要だと思ったことも、自分の心が作り出した思い込みであることのほうが多い。
冷静に心の動きを観察することである。そして、本当に今、それが必要なのかどうかをしっかりと考えることだ。これをするだけで、余分なお金が出ていかなくなる。
お金の使い方を見直すことは、欲しいものを否定することではない。自分を責めることでもない。どんな時にお金を使いたくなるのかを知ることである。
疲れている時に買うのか。不安な時に契約するのか。人に勧められると断れないのか。売上が落ちた時に、焦って広告を増やすのか。忙しさを理由に、固定費を見直さないままにしているのか。
こうして見ると、お金の問題は財布の問題である前に、判断の問題だと分かる。お金が残らない理由は、単純な収入不足だけではない。お金を使う時の感情を見ていないことが大きい。
まず、自分のお金の出口を見る。何に使ったかを見る。なぜ使ったかを見る。買う前と買った後の気分を見る。
この確認を続けると、支出は少しずつ変わる。必要なものは残る。不要なものは減る。何となく続けていた支払いに気づく。買わなくても困らないものが見えてくる。
お金は、いきなり増えるものではない。けれど、出ていくお金が変わると、手元に残るお金は変わる。手元に残るお金が変わると、経営の判断も変わる。そして、暮らしの中の不安も少しずつ減っていく。
資本主義社会はお金を使わせる
街の広告も、スマホの通知も、未来の収入へ手を伸ばす甘い呼び声である。キャッシュレス、クレジットカード、ローン、分割払いは、お金を使った実感を薄め、私たちを消費の川へ流していく。
お金を使いすぎる原因は、本人の意志の弱さだけではない。資本主義社会には、広告、期待値、キャッシュレス、クレジットカード、ローン、分割払いによって、強力にお金を使わせる構造がある。ここでは、その仕組みを知り、支出に流されない見方を身につける。
お金を使いすぎる原因を、本人の意志の弱さだけにしてしまうと、問題の半分を見落とす。
たしかに、自制心は必要である。欲しいと思った時に、すぐ買わない力もいる。支出管理も必要になる。けれど、いまの社会では、個人の意志だけでお金を守るのは難しい。
なぜなら、資本主義社会には、私たちに強力にお金を使わせる構造が存在しているからである。
広告、セール、限定品、ポイント、サブスク、ローン、リース、キャッシュレス、分割払い。どれも、今すぐ買う理由を増やす仕組みである。欲しいと思わせる。買いやすくする。支払いを後にずらす。使った実感を薄くする。
資本主義社会のお金を使わせる構造とは、広告、決済、信用、分割払いによって、今買う理由を増やし、支払いの実感を薄くする仕組みである。
これは誰かを悪者にする話ではない。企業は商品を売る。広告は欲しい気持ちを刺激する。決済手段は支払いを簡単にする。信用市場は、未来の収入を今使えるようにする。そういう仕組みの中で、私たちは毎日暮らしている。
だから、何も考えずに暮らすと、お金は自然に外へ出ていく。収入が少ないから出ていくのではない。収入があっても出ていく。経営者であればなおさらである。事業を続けるためには、払う理由がいくらでもある。
新しい広告を出す。講座を受ける。機材を買う。保険を増やす。店舗を直す。会費を払う。人付き合いに使う。どれも「必要」と言える。けれど、その必要の中に、焦りや期待や見栄が混ざる。
資本主義社会はそれを守らせないために、ありとあらゆる手法で私たちに過剰にお金を使わせるように仕掛けてきているということだ。
ここを知らずに「自分はお金の管理が下手だ」とだけ思うと、苦しくなる。本当に見るべきものは、性格ではない。日々の中で、自分がお金を使いやすくなる場面である。
お金を使わせようとする力の一つは、何かが欲しいと思った時の期待値が、現実より大きく膨らむことにある。
「これを買ったらどれだけ幸せになるんだろう!」
この気持ちは、商品を手に入れた時の実際の幸福感を大きく上回る。幸福感は、現実によるものより、想像することで味わうもののほうが大きくなるのだ。
買う前、人は商品そのものだけを見ていない。買った後の自分を見ている。きれいになった自分。仕事が進む自分。お客から信頼される自分。売上が戻る自分。時間に余裕ができる自分。
経営者であれば、「この機材を入れれば仕事が変わる」「この講座を受ければ売上が戻る」「この広告を出せば問い合わせが増える」「この服を着れば信用される」「この店舗にすれば一段上に見える」と考える。
もちろん、それが本当に必要なこともある。ただ、買う前の期待値が大きくなると、支出の判断は甘くなる。費用対効果を確認する前に、気持ちが先に決めてしまう。
こうした感情は、とにかく少しでも多くのお金を使わせるように行動を駆り立てていく。その商品を購入するまで、この感情は膨れ上がり続けるのだ。
商品の価値より、手に入れる期待値のほうが大きい。ここが、お金を使いすぎる心理の中心である。
そして、その商品を注文した瞬間から、こうしたワクワク感は、萎んでいく。実際にその商品が届くころには、当初の期待感の三分の一になってしまうなどということもしばしばみられるのだ。
あなたも、買う時までのワクワク感が、商品を実際に手に入れてみたら、小さく萎んだ経験があるだろう。つまり実際には、その商品の価値よりも手に入れようとするまでの価値のほうが、はるかに大きいということなのだ。
そして、この格差こそが、お金を使わせようとする見えない力である。
だから、お金の使い方を見直す時は、買った物だけを見ても足りない。買う前に、どんな期待をしていたかを見る必要がある。ここが見えると、浪費癖の直し方は少し変わる。欲しい気持ちを押さえ込むより、買う前の期待が大きくなりすぎていないかを見るのである。
現代社会の本当の問題はここからだ。
本来なら、お金が無くなれば、お金というのは使いようがない。しかし今は、クレジットカードによってお金が無くても物が買えるようになってしまった。これは言い換えれば、未来の収入さえも使って物を買うことができるということである。
こうしてお金を使いたいという欲求を、止めるものがなくなってしまった。
これは、かなり大きな変化である。財布の中の現金が減れば、人は使ったことに気づく。残りが少なくなれば、自然に手が止まる。けれど、クレジットカードやスマホ決済では、その感覚が薄くなる。
さらに、今は、カード社会である。このプラスチックのカードは、お金を使ったという実感を感じさせない。現に、パチンコ業界が現金からカードに切り替えたところ売上が跳ね上がった。さらにクレジットカードやデビットカード、インターネットバンキング、電子マネー・各種のスマホ決済といったように、お金のデジタル化によってお金は現実性を無くしていく。
キャッシュレスは確かに便利である。会計は早い。記録も残る。事業の支払いにも使いやすい。けれど、便利さには注意がいる。
支払いが簡単になるほど、使った実感が薄くなる。実感が薄くなるほど、抵抗も減る。抵抗が減るほど、人は以前より少し多く使う。
お金が現実性を無くすと何が起きるかというと、人々がお金を使うことに抵抗が無くなるのだ。つまり、お金を使うという、現実感が無くなってしまうのである。そのため、誰もがお金を、少しずつ以前より多く使うようになる。
これを利用しているのが、カジノのプラスチックのチップやパチンコのカードである。そして、その中でも最大のものがクレジットカードや電子マネーやスマホなどのキャッシュレス決済である。
ここで大事なのは、キャッシュレスを悪者にしないことである。問題は、使った実感が薄いまま放置することにある。カード明細を月末まで見ない。スマホ決済の履歴を確認しない。サブスクの合計を知らない。
広告費の自動引き落としを見ていない。こうなると、お金の出口が見えなくなる。
一度、考えてみて欲しいのだが、あなたの年収のどれくらいのお金を、実際に目で見るだろうか。恐らく20%ほどではないだろうか。もしかしたら、もっと少ないかも知れない。給与は振込み、電気代などの光熱費は、引き落とし、電車に乗るのにはSUICAなどの交通系カードの電子マネー。つまり収入があっても、現実のお金を目にする機会は、ほとんど無くなっている。
いまのお金は、デジタル情報として存在し完全に実体の無いものに大きく変化しているのだ。そして、世界は、私たちにお金をひたすらに使うように仕向けていくのである。
さらに、現代の仕組みは、未来のお金を使わせようといろいろな罠を仕掛けてくる。世界の経済社会の中で消費停滞している中で、さらに、物を売る為にやったことは、未来の消費を今使わせることだった。
これが、クレジットカードのような信用市場だ。誰もが普通に暮らしているのであればかならずその罠に落ちてしまう。ざっと例を上げるだけでも、車や住宅のローン、クレジットカード、各種のリース、携帯電話、保険がある。
本来は、お金はなくなってしまえば、それ以上使えないものである。しかし、この社会は、「お金がない」と言っても許さない。今、お金がないなら、未来のお金を使えと迫ってくる。車や住宅のローン、クレジットカード、各種のリース、携帯電話の分割払い、保険どれをとっても、未来のお金を使わす仕組みである。
経営では、これが固定費になって現れる。リース契約は毎月の支出になる。広告契約は、売上が落ちても続く。サブスクは小さく見えても積み上がる。保険や会費も、見直さなければ長く続く。クレジットカードの使いすぎも、翌月以降の支払いとして残る。
収入が右肩上がりの時はいいのだが、一度これが止まってしまうと、収入は上がらずに借金の返済だけが残ることになる。こういった仕組みは、私たちに常にお金が足りなくなるという厳しい現実を突きつけることになる。
だから、お金を使いすぎるのは、本人のだらしなさだけではない。使いたくなるように作られた社会の中で、仕組みを知らずに流されていることが問題なのである。
必要なのは根性論ではない。仕組みを見抜く目である。期待値を膨らませる仕組み。お金の実感を薄くする仕組み。未来の収入を先に使わせる仕組み。この三つを知るだけでも、お金の使い方は変わり始める。
氣の経営では、時代の流れを読むことを大切にする。今の時代は、お金が見えにくい。だからこそ、支出を見える形に戻す必要がある。カードも決済アプリも、使った後に確認するだけでは遅い。
使う前に、自分で止まる仕組みを持つことが大事になる。
資本主義社会には、期待値を膨らませ、お金の現実感を薄くし、未来の収入まで使わせる構造がある。その構造を知ることが、お金の使い方を見直す第一歩になる。
【卦象ミニコラム】
お金の節目を立てる
卦象:水沢節(すいたくせつ)|出口に区切りを置く
変化|出口を見直し残る形へ戻す
いまは、足りないものを増やすより、出ていく流れに節目を立てる局面である。水沢節は、流れを止める卦ではない。流れが乱れないように、器の縁を決める型である。ここで起きやすいズレは、売上や収入を増やせば何とかなると思い、足元の支払いを見ないまま進むことだ。お金の使い方は、勢いではなく区切りで変わる。いま見るべきは、足すものではなく、どこで流れが外へ向かっているかである。増やす前に、まず出口の向きを見る。
お金の使い方を見直し手元に残す
お金は入口より出口で人生を変える。何に使い、どこへ流し、何を残すかを見直した時、手元資金は増え、経営と暮らしに落ち着いた余白が戻ってくる。
お金の使い方を見直すには、我慢を増やすのではなく、出口を具体的に見ることが必要である。固定費、分割払い、カード明細、買う時の期待値を確認すれば、残す支出と止める支出が分かれてくる。ここでは、手元にお金を残すための実践手順を示す。
お金を使わせる仕組みを知っても、それだけでは手元のお金は増えない。次に必要なのは、自分のお金がどこへ出ているのかを、実際に見ることである。
いきなり細かな節約から始める必要はない。まず見るのは、レシートの数ではない。お金が出ていく場面である。
何を買ったか。
いくら使ったか。
いつ使ったか。
どんな気分で使ったか。
買う前に何を期待したか。
買った後に、どれだけ満足したか。
仕事にどう役立ったか。
お客にどんな価値として返ったか。
支出管理とは、細かな我慢を増やすことではなく、お金が出ていく場面、気分、理由、仕組みを見える形にすることである。
お金の使い方を見直す時、多くの人は「何を削るか」から考える。けれど、それだけでは続かない。必要な支出まで削れば、仕事が小さくなる。人との関係もぎこちなくなる。学びや道具まで止めれば、商売の力も弱くなる。
だから、最初にやることは削ることではない。支出を種類ごとに分けることである。
事業を伸ばす支出。
事業を守る支出。
見栄を満たす支出。
不安を消すための支出。
人間関係で断れない支出。
なんとなく続いている固定費。
未来の収入を先に使う支出。
こうして分けると、同じ一万円でも意味が変わる。広告費でも、数字を見て使っているものと、焦って出しているものは違う。講座代でも、今の事業に使う内容と、不安を消すために買う内容は違う。交際費でも、信頼を育てる支出と、断れずに流される支出は違う。
経営者にとって、お金の使い方は判断そのものである。どこへお金を出すかで、次の仕事の形が変わる。残すべき支出を残し、止めるべき支出を止める。これが、手元にお金を残す最初の作業になる。
最初に見るべきものは固定費である。固定費は、一度見直すと効果が続く。家賃、通信費、保険、サブスク、会費、広告契約、リース、クラウドサービス。毎月出ていくものは、金額が小さく見えても、一年で見ると大きな支出になる。
たとえば、月三千円のサブスクでも、一年で三万六千円になる。月一万円の会費なら、一年で十二万円になる。月五万円のリースなら、一年で六十万円になる。売上が落ちても、これらは出ていく。
だから、固定費の見直しは、売上を増やす前にできる利益改善である。
次に見るのは、分割払い、ローン、リースである。これらは、未来の収入を先に使う支出になりやすい。導入した時は必要に感じても、毎月の支払いとして残る。売上が伸びている時は気にならないが、売上が止まると急に負担になる。
そして、クレジットカードとキャッシュレス決済を見る。キャッシュレスは便利である。事業の支払いにも使いやすい。履歴も残る。けれど、使った実感が薄いままでは、支出の管理が甘くなる。
カード明細を月末にまとめて見るのでは遅い。クレジットカードとキャッシュレス決済は、週に一度、明細を見る仕組みにするほうがよい。月末ではなく、毎週見る。これだけで、使いすぎに早く気づける。
「使うお金は収入より少なくする」
これは誰でも知っている。けれど、守るには仕組みがいる。気合いだけでは続かない。明細を見る日を決める。固定費を一覧にする。分割払いを把握する。サブスクを数える。こうした小さな確認が、支出の流れを変えていく。
資本主義の世界で生き残るためには、まずこうした現代の仕組みに対して強い自制心で抵抗し、お金が出ていかないように、しっかりとコントロールして、「使うお金は収入より少なくする」という基本を、徹底的に実行する必要があるのだ。
ここで大事なのは、苦しい我慢を増やすことではない。自分が見ていなかったお金の出口を、見える場所に戻すことである。
実際に見直す時は、一週間で十分に始められる。大きな改革にしない。まず、手元にある明細を見る。通帳、カード明細、決済アプリ、銀行口座、事業用口座。この五つを開くだけでも、かなりのことが分かる。
一日目は、通帳とカード明細を見る。何に使ったかを責めずに、事実だけを見る。金額、日付、支払先を確認する。
二日目は、固定費を一覧にする。家賃、通信費、保険、サブスク、会費、広告契約、リース、クラウドサービス。毎月出ていくものを紙に書く。
三日目は、サブスク、会費、リースを確認する。今も使っているか。売上や仕事に役立っているか。解約して困るか。ここを見る。
四日目は、カードで買ったものを現金払いだったら買ったか考える。現金で払うと考えた時、手が止まる支出は、見直し候補である。
五日目は、買う前の期待値が高かった支出を振り返る。買う前は強く欲しかった。けれど、今はあまり使っていない。そういう支出は、お金を使いすぎる心理が出た場所である。
六日目は、未来の収入を先に使っている支出を確認する。ローン、分割払い、リース、カード払い、保険、長期契約。毎月いくら出ているかを見る。
七日目は、残す支出、減らす支出、やめる支出を分ける。ここまで見ると、何を変えればよいかが分かってくる。
買う前には、次の問いを使うとよい。
これは今すぐ必要か。
一週間後も欲しいか。
現金で払うとしても買うか。
すでに似たものを持っていないか。
何回使うか。
事業の利益にどうつながるか。
お客にどんな価値を返せるか。
不安を消すための支出ではないか。
自分を大きく見せるための支出ではないか。
買わなかった場合、本当に困るか。
この問いを一度通すだけで、支出の勢いは変わる。買ってはいけないのではない。買う前に、判断を戻すのである。
お金の出口は、三つに分けると分かりやすい。消えていく支出。守るための支出。未来の利益や信頼を育てる支出。
消えていく支出は、買った時だけ気分が良く、後には何も残らない支出である。守るための支出は、保険、税理士、必要な設備、生活や事業を保つための支出である。
未来の利益や信頼を育てる支出は、技術を上げる学び、顧客満足につながる改善、長く使う道具、紹介や信用につながる行動である。
お金は使わないほど増えるのではない。使う先を選び直すほど、残るお金と生きるお金が増えていく。
ここが大事である。目的は、何でも削ることではない。安く済ませることでもない。お金を出す先を選ぶことである。
お金は、止めるだけでは商売を育てない。必要なところへ使うから、仕事が前に進む。お客に返る。信用になる。学びになる。道具になる。時間になる。人との関係になる。
ただし、外へ流す前に、手元に残る構造が必要である。手元にお金が残るから、必要な投資ができる。値下げに逃げずに済む。焦った売り込みをせずに済む。取引先にも丁寧に支払える。家族やスタッフにも落ち着いて向き合える。
氣の経営では、売上を増やす前に、経営者の判断を戻す。お金の出口を見ると、気分で使っているお金、焦りで使っているお金、未来を育てるお金が分かれる。ここが見えると、経営の呼吸が変わる。
お金の使い方は、経営者の姿勢そのものである。何に使うか。どこへ流すか。何を残すか。どの支出を止め、どの支出を育てるか。そこに商売の考え方が出る。
お金の使い方を見直すことは、自分の人生と経営を、消費の流れに預けないための知恵である。
お金を増やす第一歩は、もっと稼ぐことではない。まず、お金がどこへ出ていくかを見ることだ。
出口が変われば、手元に残るお金が変わる。手元に残るお金が変われば、経営の判断も変わる。経営の判断が変われば、暮らしの安心も変わる。
お金を使うことは悪くない。大切なのは、使う前に見ること。使った後に振り返ること。そして、次から使う先を選び直すことである。
それが、お金の使い方を見直すということだ。そして、それが、手元に残るお金を増やしていく現実的な道になる。
読者からのよくある質問とその答え
Q. お金の使い方を見直す時は何から始めればいいですか?
A. お金の使い方を見直す時は、まず明細を責めずに見ることだ。理由は、支出の癖は感情と結びつき、疲れや不安で増えやすいからである。今週使ったお金を一つ選び、買う前の気分と買った後の満足を短く書いてみる。そこから流れが見え始め、判断もしやすくなる。
Q. 収入があるのにお金が残らないのはなぜですか?
A. お金が残らない時は、収入より毎月出ていく支払いを先に見ることだ。理由は、続く支払いほど気づかないまま経営の余裕を削り、気持ちまで忙しくするからである。まず通信費、保険、会費を紙に並べ、今も必要か見る。小さな確認で判断が戻り、お金の流れも見えてくる。
Q. キャッシュレス決済で使いすぎる時はどうすればいいですか?
A. キャッシュレスは、便利だが使った実感を薄くする。理由は、現金が減る感覚がなく、気分のまま支払いが進み、あとで明細を見て驚きやすいからである。週に一度だけ履歴を見て、お金の出口を現実に戻す。数字を見ると気も落ち着き、次の支払いを選べる余裕が生まれる。
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【金運を上げる行動】:お金の出口を見直す
1. まず明細を一件見る
カード明細や決済履歴から、今日ひとつだけ支払いを選ぶ。何を買ったかではなく、買う前にどんな気分だったかを書きだす。
2. 固定費を一つ選ぶ
通信費、会費、保険、サブスクの中から、今も仕事に役立っているか迷うものを一つ選ぶ。すぐ解約しなくてよいので、残す理由を書き出してみる。
3. 断る言葉を用意する
付き合いや焦りで支払いそうな場面に備え、「一度確認してから返事をする」と言う言葉を用意する。支払いの前に間を置くことで、お金の出口に区切りが生まれる。
『お金は、入る量だけで人生を支えるのではない。どこへ出ていくかを見直した時、手元に残るお金が増え、経営の判断も落ち着いてくる。使い方を変えることは、未来の安心をつくることである。』
(内田 游雲)
▶ 【64卦から読む】:水沢節(すいたくせつ)
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内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトの「運の研究-経営とお金が巡る仕組みの研究所-」は、氣の経営と運をテーマにしている。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。





















