地理編

事業が根を張る「地の条件」を扱う。立地、商圏、導線、出店や移転の判断。さらに、経営に直結するお金として、固定費、資金繰り、支払い順、値付け、利益の残し方も扱う。お金の一般論や価値観の話は「お金と循環」に委ね、ここでは経営が回る地面を固める。

売上方程式でわかる商売繁盛の三要素

売上方程式を見直し 三つの流れを整えて 商売の希望が見えるイメージ
商売を繁盛させる基本は、流行の販促を真似ることではない。売上は、顧客数・購入頻度・客単価という三つの要素で決まる。売上方程式を知れば、チラシ、DM、セット販売の意味が見え、小さな会社の経営は焦りから設計へ変わる。(内田 游雲)

▶ 地理編(氣の経営)

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売上が伸びない原因は、販促の数が足りないことではなく、目的が見えていないことにある。商売繁盛の基本は、売上方程式である顧客数×購入回数×客単価の三つを見ることだ。チラシは顧客数、DMは購入頻度、セット販売は客単価に効く。の販促を三つに分け、空白の要素を補う。

他社を真似ても売上は伸びない

販促は、誰かの成功事例を拾い集める宝探しではない。自分の商売の地図を持たずに歩けば、チラシもSNSもDMも、霧の中に投げた矢になる。

売上が伸びない時ほど、他社の販促事例は魅力的に見える。だが、チラシもSNSもDMも、目的が見えていなければ効果は続かない。ここでは、販促を真似る前に見るべき「なぜ実行するのか」を明らかにする。

商売をしていると、どうしても「何をすれば売上が上がるのか」を探したくなる。

チラシがいいと聞けばチラシを見たくなる。SNSで集客できると聞けば、投稿の回数を増やしたくなる。

DMが効くと聞けば、久しぶりにお客へ案内を出したくなる。セット販売で客単価が上がると聞けば、自分の店でも何か組み合わせられないかと考える。

その気持ちはよく分かる。売上が足りない時ほど、目の前にある成功事例は光って見える。

隣の店の看板まで名案に見えてくる。少し疲れている時など、他人のチラシの赤文字まで頼もしく見えるから、商売とはなかなか人を鍛えるものだ。

世の中には、多くの販促事例が氾濫している。どれもこれも、誰かがやって効果の出たものであることが多いものだ。

しかし、それをただ闇雲に真似するだけでは、効果が出るとはいえない。大事なことは、なぜ、それを実行する必要があるかということだ。

ここが、商売の大事な分かれ目になる。

販促事例そのものが悪いのではない。チラシも、SNSも、DMも、キャンペーンも、セット販売も、使い方次第で役に立つ。

問題は、それを自分の商売のどこに効かせるために使うのかが見えていないことにある。

販促とは、売上を構成する要素のどれかを動かすために行う経営行動である。

つまり、チラシを打つなら顧客数を増やすため。既存客にDMを出すなら購入頻度を上げるため。商品をセット販売するなら客単価を上げるため。

こうして目的がはっきりすると、販促はただの思いつきではなくなる。

同じチラシでも、地域密着の飲食店と、高単価のコンサルティングでは役割が違う。SNSでも、毎日来店を促す店と、数か月かけて信頼を育てる仕事では、投稿の作り方が変わる。

DMも同じだ。季節商品を案内するDMと、長く考えてもらうサービスの案内では、言葉の温度も回数も変わる。

だから、誰かの成功事例をそのまま自分の商売へ持ち込むと、うまく合わないことがある。靴が良くても、足に合わなければ遠くへ歩けない。それと同じだ。

売上を上げる方法を考える時に、最初に見るべきものは「流行っている販促」ではない。見るべきものは、自分の商売の売上がどこで細くなっているかである。

顧客数が足りないのか。購入頻度が低いのか。客単価が低すぎるのか。ここを見ずに施策を選ぶと、努力しているのに成果が続きにくい。

責任を一人で抱えがちな経営者ほど、売上が落ちると「自分の頑張りが足りない」と考えやすい。

家族やスタッフを優先しがちな人ほど、広告や営業にお金を使うことへ遠慮が出やすい。どちらも自然な反応だ。商売には、数字だけで割り切れない気分がある。

けれど、売上は気分だけで見ると苦しくなる。感情で見ると、全部が自分のせいに見えてしまう。

そこから抜けるには、売上をひとつの大きな塊として見るのをやめることだ。

売上は、顧客数、購入頻度、客単価に分けて見る。すると、やることが具体的になる。

新しい人に知ってもらうのか。一度来た人に思い出してもらうのか。購入時に必要なものを添えるのか。見方が変わると、行動の順番も変わる。

販促が悪いのではない。目的のない販促が、売上の流れを細くしている。

販促を見直し 自分の商売を確かめて 落ち着いて判断するイメージ

小さな会社やお店でよく起きるのは、開業時だけ告知が多いということだ。オープンの時は、チラシを配る。看板を出す。知人に知らせる。

SNSにも投稿する。場合によっては広告も出す。だから最初は人が来る。お祝いで来てくれる人もいる。物珍しさでのぞいてくれる人もいる。

ところが、しばらくすると告知が減っていく。

「一度知らせたから、もう分かっているはず」
「良い商品なら、自然に広がるはず」
「常連さんがいるから、しばらく大丈夫」

そう考えているうちに、少しずつ来店や問い合わせが減る。急に消えるのではない。少しずつ薄くなる。

水道の蛇口がほんの少し閉まっていくように、気づいた時には売上の勢いが弱くなっている。

多くの小さな会社やお店は、オープンの時はしっかりと広告を打つのに対して、その後は、あまり広告を利用しなくなる。だから、最初はお客が来るのだが、そのうち減ってくる。

単純な話、日常的に絶対的な告知量がそもそも足りていないのだ。

これは腕前の問題ではない。人柄の問題でもない。多くの場合、知ってもらう量が足りていないだけである。

どれだけ良い商品でも、知られていなければ選ばれない。どれだけ誠実なサービスでも、思い出されなければ予約されない。

どれだけ役に立つ仕事でも、必要な人の目の前に出ていなければ、存在していないのと同じ扱いになる。

ここを勘違いすると、経営者は自分を責める。

「うちの商品に魅力がないのか」
「価格が高いのか」
「自分の営業が下手なのか」

もちろん、商品や価格や営業を見直すことは大切だ。だが、その前に見るべきことがある。そもそも、必要な人に届いているか。

何度も思い出してもらえるだけの接点があるか。ここを見ないまま悩むと、答えのない反省会が始まる。

あなたの会社やお店は、広告宣伝費にどれだけ金を掛けているだろうか?

広告費の正確な基準はないが、ざっくりと、売り上げ全体の10%~15%は、宣伝広告費に割り振るほうがいい。これを、日常的に行うことで、顧客数は自然と増えていくものである。

この数字は、すべての業種にそのまま当てはめるものではない。利益率、地域性、単価、リピートの有無によって調整がいる。

けれど、考え方として大事なのは、広告や告知を「余ったらやるもの」にしないことだ。

広告は、単なる出費ではない。まだ出会っていないお客との接点を作る投資である。

小さな会社ほど、無駄なお金は使えない。だからこそ、何となく広告を出すのではなく、顧客数を増やすために使う。

SNSも同じだ。投稿することが目的ではない。新しい人に知ってもらうために使う。

ブログ記事も同じだ。文章を書くことが目的ではない。検索から悩みを持つ人に見つけてもらうために書く。

ここで、氣の経営の見方が役に立つ。

流行っている施策に飛びつく前に、自分の商売の現在地を見る。世の中の兆しを見る。お客との接点を見る。

商品やサービスの受け皿を見る。そして、経営者自身の判断が焦りで乱れていないかを見る。

天機は、市場の兆しである。今、お客は何に困っているのか。何を検索しているのか。どんな言葉に反応しているのか。

地理は、商売の仕組みである。広告から問い合わせまでの道、購入後の案内、顧客リスト、商品構成、追加提案の順番である。

人は、判断と関係性である。焦って売るのか。必要な人に必要な価値を届けるのか。その姿勢がお客に伝わる。

告知が足りないなら、まだ出会っていない人との接点が細い。顧客リストがないなら、一度つながった人との関係が切れやすい。

追加提案がないなら、お客が本当に必要とするものを出し切れていない。

売上が伸びない原因を、すぐに努力不足へ結びつけなくていい。見る場所を変えれば、やることは見えてくる。

売上を上げる第一歩は、さらに頑張ることではない。売上の見方を変えることだ。

売上方程式は三つの要素で決まる

売上は、気合いで押し上げる山ではない。顧客数、購入頻度、客単価という三本の水路を見れば、商売のお金がどこで細くなっているかが見えてくる。

商売を繁盛させる基本は、顧客数・購入頻度・客単価の三つにある。売上方程式を知ると、売上不振を感覚で悩まず、どこを改善すればよいかが見えてくる。ここでは、売上が生まれる構造を具体的に見ていく。

商売を繁盛させる基本は、思っているほど複雑ではない。

もちろん、現場には毎日いろいろなことが起きる。天気が悪い日もある。近くに競合ができることもある。

仕入れ値が上がることもある。スタッフの都合で予定が崩れることもある。経営は、きれいな表だけでは済まない。

けれど、売上そのものを見る時は、まず基本に戻ったほうがいい。

商売を繁盛させる基本は3つの要素にある。

それが、

(1)顧客数を増やす
(2)購入頻度を増やす
(3)客単価を増やす

この3つだ。

ここを外すと、売上を上げる方法が急に分かりにくくなる。

売上が足りない。問い合わせが少ない。常連さんはいるが伸びない。忙しいのにお金が残らない。

こうした悩みは、それぞれ原因が違う。にもかかわらず、すべてを「売上が悪い」という一つの言葉でまとめると、対策もぼやける。

売上は、ひとつの大きな数字として眺めると、こちらをにらんでくる。月末の数字など、なかなか目つきが鋭い。

けれど、三つに分けると急に話が通じる相手になる。

基本の式は、これだ。

売上=顧客数×購入回数×客単価

この売上方程式を頭に置くと、今やるべきことが見えやすくなる。

売上方程式は、売上を顧客数・購入回数・客単価の三つに分け、どこを改善すれば売上が伸びるかを判断するための考え方である。

顧客数が少ないなら、まだ出会っていない人に知ってもらう必要がある。チラシ、広告、SNS、ブログ記事、紹介、看板、検索流入などは、ここに関わる。

購入頻度が低いなら、一度来てくれたお客に、もう一度思い出してもらう必要がある。DM、メルマガ、LINE、はがき、購入後のフォロー、季節の案内などは、ここに関わる。

客単価が低いなら、購入するその場面で、お客にとって必要なものを提案する必要がある。セット販売、追加メニュー、上位商品、保証、関連商品、相談プランなどは、ここに関わる。

顧客数を増やすポイントはいくつかあるが、簡単に考えれば広告で集めればいいだけだ。

もちろん、現代では広告だけに限らない。小さな会社なら、検索で見つかる長文記事も、新しいお客との入口になる。

SNSの投稿も、存在を思い出してもらう入口になる。紹介も、信頼を借りて新しい人と出会う入口になる。

ただし、どの方法を使う場合でも、目的は同じだ。顧客数を増やす方法は、まだ出会っていない人に知ってもらうことから始まる。

ここで大切なのは、販促を「作業」として見ないことだ。チラシを作る。投稿する。広告を出す。ブログを書く。

これだけを見ると、やることが増えたように感じる。

しかし、売上方程式で見ると意味が変わる。これは単なる作業ではない。顧客数を増やすための入口づくりである。

まだこちらを知らない人へ、商売の存在を届ける行動である。

たとえば、近所の人に知ってもらいたいなら、チラシや看板が働く。遠くの人にも届けたいなら、検索記事やSNSが働く。

信頼が必要な商品なら、紹介やメルマガ登録までの導線が働く。

売上を上げる方法は、いきなり大きなことをすることではない。まず、自分の商売は顧客数・購入頻度・客単価のどこが弱いのかを見ることだ。

数字を分けると、行動も分かれる。

ここが分かると、販促の迷いはかなり減る。



顧客数を増やすことは、商売の入口を広げることだ。しかし、入口だけを広げても、売上は安定しない。

一度来てくれた人が次につながらなければ、商売はいつも新しいお客を追い続けることになる。

これが長く続くと、経営者は疲れる。毎月、新規集客に追われる。広告を止めると不安になる。

SNSを休むと忘れられる気がする。問い合わせが減ると、すぐに価格を下げたくなる。こうなると、商売の呼吸が浅くなる。

購入頻度を増やすには、お客に何度もコンタクトをすることだ。つまり、コンタクトできない状態では、手の施しようが無い。

これは、とても大事なところだ。

一度買ってくれた人。一度相談してくれた人。一度来店してくれた人。そうした人と、もう一度つながる手段があるかどうかで、商売の安定感は変わる。

あなたのお店や会社に、顧客リストは存在しているだろうか?

存在していれば、そこに対して、アプローチをし続けることだ。無ければ、まず顧客リストを作成することから、始める必要がある。

全てのお客が、一回だけのお客だと思うから購入頻度が上がらないのである。

お客が再来店しない理由は、嫌いになったからとは限らない。多くの場合、ただ思い出していない。

生活は忙しい。予定もある。家族のことも、仕事のことも、体のこともある。こちらが思っているほど、お客は店や会社のことを毎日考えていない。

お客が、再来店しない最大の理由は、そのほとんどが思い出さないことにある。つまり、定期的にアプローチを行っていくだけで、購入頻度は勝手に増えていくものである。

ここで誤解してはいけないのは、購入頻度を上げるとは、しつこく売ることではないという点だ。

必要な時に思い出せるように、関係を保つことである。

たとえば、季節の変わり目に案内を送る。購入後に使い方を伝える。半年後に点検の案内を出す。

誕生月に小さな特典を用意する。メルマガで役立つ話を届ける。こうした接点は、売り込みというより「忘れないための糸」になる。

購入頻度を上げる方法は、既存客との接点を持ち続けることにある。

次に見るのが、客単価である。

客単価を上げるという言葉には、少し抵抗を感じる人もいる。高く売ることに気が引ける。追加提案をすると嫌がられるのではないかと考える。

押し売りに見えたら困る。そう感じる人は少なくない。

けれど、客単価を上げることは、無理に高いものを売ることではない。お客が購入する場面で、必要なものを添えることだ。

これは、オプションを付けたりするアドオン、関連する商品を紹介したりするクロスセルが有効な方策となる。

一つ思い出して欲しいのだが、例えば、車を買う時に広告にある通りの価格で買うだろうか?

ほとんどの場合、ナビを付けたり、保証などの追加パックも併せて申し込むことになるだろう。

また、あなたもレストランに行った時に、ワインリストを見せられたり、食後にデザートを勧められた時に、思わず注文してしまった経験があるだろう。

こうした、ちょっとのことで、私たちの購入価格は増大していくものである。

ここには、押しつけではない提案の形がある。車を買う人にとって、ナビや保証は安心につながる。

レストランでのワインやデザートは、食事の時間を豊かにする。必要な人に必要なものを添えるから、購入価格が上がっても不自然ではない。

客単価を上げる方法は、単に高く売ることではなく、お客に必要な価値を添えることだ。

お客が購入するその瞬間を想像して、何がお客にとって必要なのかを見つけ出して、提供していくことだ。

この一文は、商売の姿勢そのものを表している。

氣の経営で見るなら、顧客数はまだ出会っていない人との縁である。購入頻度は、すでに出会った人との信頼である。

客単価は、相手に必要な価値を受け取れる形にする器である。

売上は、ただ数字を増やすものではない。人との接点、信頼、価値の提案が重なって生まれる。

購入頻度と客単価は、売り込む力ではなく、関係を見て、必要な価値を届ける力で育つ。

ここが分かると、売上方程式は冷たい数字ではなくなる。お客との関係を育てる地図になる。

【卦象ミニコラム】
販促の配分を見直す
卦象:水沢節(すいたくせつ)|配分を見直す
変化|増やす前に配分を見直す

売上が伸びない時は、もっと動けば変わると思いやすい局面にいる。そこで起きやすいズレは、目についた販促を足し続け、何のための動きかが見えなくなることだ。水澤節は、勢いを止める卦ではない。水路に区切りを入れ、水が行くべき所へ届くようにする型である。売上方程式も同じだ。顧客数、購入頻度、客単価のどこへ力を配るかを見れば、無駄な動きは減る。今日は増やす前に、配分を見る。

三つの要素を同時に動かす仕組み

小さな会社の繁盛は、大きな花火ではなく、毎日火が消えないかまどに似ている。顧客数を増やし、購入頻度を育て、客単価を高めるほど、売上は追うものから生まれるものへ変わる。

顧客数だけ、購入頻度だけ、客単価だけを動かしても、売上の力は弱くなる。売上方程式は掛け算だからこそ、三つを同時に見る必要がある。ここでは、チラシ、DM、セット販売をどう使い分けるかを実践に落とす

売上方程式が分かると、販促の見方が変わる。

これまでは「何をすれば売上が上がるのか」と考えていたものが、「この販促は、顧客数・購入頻度・客単価のどれを動かすのか」と見られるようになる。ここが大事だ。

チラシを作る。SNSに投稿する。広告を出す。既存客にDMを送る。商品をセット販売する。

どれも商売ではよくある行動である。けれど、目的が曖昧なまま行うと、やった気にはなるが、成果の見方がぼんやりする。

「チラシを打つ?」
それは、新規のお客を集める為だ。

「既存客にDMを出す?」
それは、購入頻度を上げる為だ。

「商品をセット販売する?」
それは、購入単価を上げる為だ。

こうして分けると、販促の意味がはっきりする。チラシや広告は、まだ出会っていない人に知ってもらうため。

DMやメルマガは、一度つながった人に思い出してもらうため。セット販売や追加提案は、購入する人に必要な価値を添えるため。

つまり、販促はバラバラの作業ではない。売上を構成する三つの要素に働きかける行動である。

販促の仕組みは、顧客数・購入頻度・客単価の三つを目的別に動かし、売上が生まれる道筋を作るための設計である。

ではどれをやればいい?

正解は全部である。

ここで言う「全部」とは、大きなお金をかけて全部を派手に行うという意味ではない。小さな会社なら、小さくていい。

むしろ小さく続けられる形のほうが強い。

たとえば、今月は新しい人に向けて、地域向けのチラシを一度出す。既存客には、季節の案内を一通送る。

購入時には、関連する商品や上位メニューを一つ提案できるようにする。これだけでも、顧客数・購入頻度・客単価の三つに手が入る。

大事なのは、販促を一つだけで終わらせないことだ。

なぜなら、【顧客数×購入回数×客単価=売上】この数式が掛け算だからだ。

掛け算ということは、どれか一つが0ならば、答えは0になってしまう。

新規客がいなければ、どれだけ良い商品でも広がらない。既存客への接点がなければ、毎月新しいお客を探し続けることになる。

客単価が低すぎれば、忙しいのに手元にお金が残りにくい。

小さな会社は、体力に限りがある。人手も、時間も、広告費も、無限ではない。

だからこそ、売上を上げる方法を考える時は、闇雲に施策を増やすのではなく、三つの要素に小さく同時に手を入れることが大切になる。

今月の販促を紙に書いてみると分かりやすい。

これは顧客数を増やすものか。購入頻度を上げるものか。客単価を上げるものか。

どれにも入らない行動が多いなら、少し見直したほうがいい。逆に、三つのどれかに偏っているなら、売上の弱さもそこに表れやすい。

チラシ、広告、SNS、検索記事、紹介依頼は、顧客数を増やす施策になる。

DM、メルマガ、LINE、はがき、購入後フォローは、購入頻度を上げる施策になる。

セット販売、追加提案、上位メニュー、保証、関連商品は、客単価を上げる施策になる。

ここまで分けると、販促は感覚ではなく、判断できるものになる。

販促は、単発の思いつきではなく、顧客数・購入頻度・客単価を同時に動かす仕組みにする。

氣の経営で言えば、これは判断を抱え込みすぎないための型である。

売上が落ちた時に焦って動くのではなく、売上方程式に照らして、どこに手を入れるかを見る。すると、経営者の気も乱れにくくなる。

三つの要素を動かし 売上の仕組みを育てて 前向きに進むイメージ

実際に、自分の商売へ当てはめてみる。

まず、今やっている販促をすべて書き出す。広告、SNS、ブログ、チラシ、DM、メルマガ、紹介依頼、キャンペーン、セット販売、追加提案、値上げ、イベント出店。

思いつくものを、いったん全部並べる。

次に、それぞれを三つに分ける。

顧客数を増やすもの。
購入頻度を上げるもの。
客単価を上げるもの。

この作業をすると、商売の偏りが見える。

新規客は来ているのに売上が安定しないなら、購入頻度を上げる仕組みが弱い。来店後や購入後の連絡がない。

次に買う理由が用意されていない。お客が忘れたころに、こちらも忘れている。これでは、お互いに「あれ、元気かな」で終わってしまう。

常連客はいるのに売上が伸びないなら、顧客数か客単価を見る必要がある。いつものお客に支えられているのはありがたい。

だが、新しい人が入らず、提案できる商品も増えなければ、売上は一定のところで止まりやすい。

忙しいのにお金が残らないなら、客単価や商品構成を見る。単価の低い商品ばかり売れている。手間の多い仕事ばかり受けている。

追加提案がなく、必要なものを出し切れていない。こういう時は、忙しさが安心材料に見えて、実は利益を削っていることがある。

なかなか手ごわい相手だ。忙しさは、時々いい顔をした泥棒になる。

つまり、

「チラシを打つ」
「既存客にDMを出す」
「商品をセット販売する」

これらは、同時に行うことで、初めて効果が上がるということだ。

しかし、多くの小さな会社が、どれか一つをやっただけで、それで満足してしまい、結局、効果があまり上がらない。

ここで、見る向きを変える。

売上が足りない時、多くの人は「もっと売らなければ」と考える。もちろん、売ることは大切だ。

けれど、本当に見るべきなのは、売上が足りないという結果だけではない。どこで売上の流れが細くなっているかである。

新しい人に知られていないのか。
一度買った人に思い出されていないのか。
購入時に必要な提案が足りていないのか。

こうして見ると、焦りが行動計画へ変わる。気合いで押す必要が減る。

今月は顧客数の入口を増やす。来月は既存客への案内を作る。購入時には、関連商品を一つ添える。やることが具体的になる。

ただ、【売上=顧客数×購入回数×客単価】というこの基本的な方程式を知っているかどうかで、大きな差につながっていくのだ。

くどいようだが、

【売上=顧客数×購入回数×客単価】

これを常に頭において経営を考えればいいだけだ。

氣の経営では、売上を力で押すのではなく、流れが生まれる道筋を見る。

天機は、今どこにお客との接点があるかを見ること。地理は、顧客リスト、商品構成、案内の順番を作ること。人は、焦りや思い込みではなく、相手に必要な価値を届ける姿勢である。

今日やることは、大きくなくていい。

今やっている販促をすべて紙に書く。
それぞれを顧客数・購入頻度・客単価に分ける。
空白になっている要素を一つだけ補う。

今月は三つを小さく同時に動かす。

商売の繁盛は、奇抜な販促から生まれるのではない。売上方程式を土台に、顧客との接点、信頼、価値の提案を同時に育てるところから生まれる。

売上は、根性で押し上げる山ではない。顧客数、購入頻度、客単価という三本の水路を見る。

水路をそろえれば、お金の流れは少しずつ太くなる。

小さな会社に必要なのは、派手な一発ではない。毎月続けられる売上の道筋である。



読者からのよくある質問とその答え

Q. 売上を上げるには何から見直せばいいですか?

A. まず売上方程式で顧客数、購入頻度、客単価に分けて見る。原因が分かれると、気持ちの焦りも落ち着き、次の手順が見える。新しい販促を足す前に、今月の施策を三つへ振り分ける。商売の流れを紙に出すだけで、判断がしやすくなる。

Q. 購入頻度を上げるには何をすればいいですか?

A. 購入頻度を上げるには、既存客に思い出してもらう接点を持つ。嫌われない連絡は、売り込みではなく関係の手入れになる。まず顧客リストを確認し、季節の案内や役立つ話を届ける。相手の顔を浮かべて書けば、言葉の気も整いやすい。

Q. 客単価を上げるとお客に嫌がられませんか?

A. 客単価を上げる提案は、相手に必要なものを添える形なら嫌がられにくい。問題は高くすることではなく、納得のない追加である。購入場面を思い浮かべ、安心や便利さにつながるものを用意する。言葉が相手のために向けば、気の流れも乱れにくい。

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【商売繁盛の行動】:売上の配分を見直す
1. 販促を三つに分ける
今やっている販促を紙に書き出し、顧客数・購入頻度・客単価のどれに効くかを横に書く。空白になった要素が、今日見るべき場所だ。
2. 既存客への接点を選ぶ
顧客リストを開き、最近連絡していない人を選ぶ。売り込みではなく、役立つ案内や近況を伝える短い言葉を用意する。
3. 追加提案を整える
今いちばん売れている商品やサービスを見て、購入時に添えられる提案を考える。高く売るためではなく、相手の安心や便利さが増す形にする。

『売上は、追いかけるほど逃げるものではない。顧客数、購入頻度、客単価という三つの道を整えれば、商売のお金は力ずくではなく、必要な人との関係の中から生まれてくる。』

(内田 游雲)

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profile:
内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトの「運の研究-経営とお金が巡る仕組みの研究所-」は、氣の経営と運をテーマにしている。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。

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