【運を開く言葉】
書:瑞雪 文:游雲
売上も利益も出ている。それでも社長は休めず、従業員には無理が重なり、取引先との関係にも少しずつ不満がたまっていく。数字だけを見れば会社は順調に見えるのに、なぜか関わる人の表情は明るくならない。儲かっていることと、会社が健全であることは、同じなのだろうか。
いつからだろう
笑顔の向こう側に
疲れが見えるようになった
誰かが喜ぶたび
誰かが我慢している
それでも毎日は続き
言えない思いだけが残る
みんなが少しずつ笑える
そんな場所でありたい
その願いは
わがままではない
会社が利益を出すことは必要である。利益がなければ、事業を続けることも、働く人へ給料を払うことも、取引先へ支払いをすることもできない。けれど、利益が出ているという事実だけでは、その会社がよい状態にあるかまでは分からない。
この言葉にある「人を幸せにする」の人とは、顧客だけを指しているのではない。会社と関わる従業員や取引先、家族、そして経営者自身も含まれている。誰か一人だけが得をし、そのために別の誰かが我慢や負担を引き受け続けるなら、そこには数字に表れない損失が残る。
利益を見るときは、会社にいくら残ったかだけでなく、その利益がどんな関係の中から生まれたのかを見る必要がある。長く続く会社とは、関わる人の誰かを使い切ることで利益をつくる会社ではなく、それぞれに何かが残る関係を持つ会社なのである。
誰かを犠牲にしない利益を生む経営
会社は利益を出さなければ続かない。家賃も給料も仕入れ代も、善意だけでは払えない。だから利益を求めること自体は、少しも悪くない。ただし、利益には数字だけでは見えない質がある。誰かの時間や気力、信頼を削りながら残した利益と、関わる人にも価値が残ったうえで生まれた利益は、同じ金額でも中身が違う。
たとえば、取引先へ無理な値下げを求めれば、自社の利益は増える。従業員へ仕事を詰め込めば、人件費を抑えたまま売上を増やせる。経営者自身が休まず働けば、外注費も減らせる。数字の上では合理的である。けれど、その合理性を支えるために誰かが疲れ続ければ、別の場所で代価を払うことになる。
その代価は、すぐ決算書には出ない。返事が遅くなる。会話が減る。頼まれた仕事だけをこなすようになる。以前なら出てきた提案が出なくなる。家に帰っても仕事のことで頭がいっぱいになる。こうした変化は小さいので、売上が伸びている間は見過ごされやすい。
会社を長く続けるときに怖いのは、利益が少ないことだけではない。利益を出すための負担が、いつも同じ人へ集まることである。従業員ばかりが我慢する。取引先ばかりが譲る。家族ばかりが待つ。あるいは経営者自身が、最後まで自分を後回しにする。どこか一か所へ負担が偏れば、その関係は少しずつ弱っていく。
商売では顧客を大切にすることが強く求められる。もちろん顧客へ価値を届けなければ売上は生まれない。けれど、「お客さまのため」という言葉が強くなりすぎると、その陰で誰が無理を引き受けているのかが見えにくくなる。顧客が満足していても、働く人と取引先と家族が消耗し、経営者まで疲れ切っているなら、その商売には別の赤字がある。
反対に、大きなことをしなくても関係は変わる。約束した日に支払う。無理な値引きを当然にしない。話をきちんと聞く。助けてもらったら感謝を伝える。こうしたことは派手ではないが、「この会社とはまた仕事をしたい」という信頼を残す。利益だけでなく、次の仕事につながるものも残る。
儲かっているかどうかだけを見れば、こうした違いは見えにくい。見るべきなのは、その利益の周りで何が増え、何が減っているかである。現金は増えているのに、信頼が減っていないか。売上は伸びているのに、時間と気力を使い切っていないか。数字の外側まで見れば、会社が長く続くために守るものが変わって見えてくる。
利益とは、自社だけへ集めるものではない。仕事を通じて生まれた価値が、関わる人にも何かを残し、その結果として会社にも残る。その関係が続くほど、無理を重ねなくても次の仕事が生まれやすくなる。会社を長く続けるということは、儲けを増やし続けることより、利益を生む関係そのものを壊さないことである。
【卦象ミニコラム】
内側の関係が会社を支える
卦象:風火家人|身近な関係から見る
変化|利益の裏にある負担が見えてくる
家人は、身近な人との関係や、それぞれが担うものに目を向ける卦である。外から会社が順調に見えていても、その内側で誰かだけが無理を引き受けていれば、関係は弱っていく。顧客だけでなく、働く人、取引先、家族、経営者自身まで視野を広げると、利益の数字だけでは見えなかった偏りが見えてくる。会社を支えているのは、表に出る成果だけではない。日々の関係のあり方も、その土台になっている。
【よくある疑問】
Q.会社が利益を出すなら、多少の無理は仕方がないのでは?
A.一時的な無理と、同じ人へ負担を集め続けることは分けて考える必要がある。忙しい時期に力を合わせることと、誰かの我慢を前提に利益を残すことは同じではない。見るべきなのは、その負担が一時的か、いつも同じ場所へ偏っているかである。
【開運への手がかり】
利益の周りに何が残っているかを見る
利益が出たとき、その数字だけで終わらせず、周りに何が残っているかを見る。信頼や余裕が残っているのか、それとも誰かの我慢や疲れだけが増えているのか。その違いを見ると、同じ利益でも意味が変わってくる。
利益の周りに何が残っているかを見る
利益が出たとき、その数字だけで終わらせず、周りに何が残っているかを見る。信頼や余裕が残っているのか、それとも誰かの我慢や疲れだけが増えているのか。その違いを見ると、同じ利益でも意味が変わってくる。
(内田 游雲)
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