基本編

気の経営を理解するための土台をまとめたカテゴリ。運の波、経営者の判断、会社の流れの関係を、難しい言葉を避けて整理し、天機編・地理編・人知編へ入る前に、全体像と基本の見方をつかむための入口とする。

経営の5W1Hとは|売れる仕組みを整える方法

経営の5W1Hで商売の迷いを整理し前向きに進む小さな会社
経営の5W1Hは、項目を埋めるための型ではない。何を売るか、誰に届けるか、どこで、どうやって、いつ必要とされるかを巡らせ、商売のズレを整えるための思考法である。売れる仕組みは、ひらめきではなく整合性から生まれる。自分の軸を持ち、お客の欲しい形へ商売を整えた時、小さな会社の経営は静かに動き出す。

経営で迷う原因は、商品や集客だけにあるのではない。何を、誰に、どこで、どうやって、いつ、なぜ届けるかがつながっていない時、商売の流れは止まりやすい。経営の5W1Hを巡らせ、ズレている点を見直すことが、売れる仕組みを整える第一歩になる。扱う商品を選び、まず一枚の紙に書き出す。

経営の5W1Hを巡らせ続ける

経営の5W1Hは、空欄を埋める書類ではなく、商売の歯車を静かに噛み合わせる羅針盤である。何を売るかだけを急ぐほど道は曲がり、誰に届けるかを見直すほど、迷路の出口が見えてくる。

経営の5W1Hは、項目を埋めるための表ではない。何を売るか、誰に届けるかを起点に、商売全体のズレを見つける思考法である。ここでは、5W1Hを一度で決めるのではなく、何度も巡らせながら経営判断を整える考え方がわかる。

5W1Hは埋める型ではなく巡らせる思考法である

経営していくうえで、基本的な考え方の道筋がある。これを知っておくだけで、迷路に迷い込むことなく、経営について考えることができる。

商売のアイディアは、だれでも結構思いつくものだ。新しい商品を出したい。今あるサービスを別の形にしたい。自分の経験を商品にしたい。

そうした考えは、日々の仕事の中で自然に出てくる。ただ、そこから現実の商売にしていく時には、いくつかのハードルを超えなければならない。

ここが曖昧なままだと、商品はあるのに売れない、発信しているのに反応が薄い、集客しているのに利益が残らないという状態になりやすい。

この時に必要になる汎用的な思考方法のポイントが、5W1Hである。文章を書く時などに使われる、あの5W1Hだ。

経営の5W1Hとは、商品、顧客、販売場所、販売方法、タイミング、動機を整理し、商売全体のズレを見つけるための基本思考法である。

ここで大事なのは、5W1Hを順番に一度だけ埋めて終わりにしないことだ。経営では、「何を」「誰に」「どこで」「どうやって」「いつ」を目が回るほどぐるぐる回していく必要がある。

最初に「何を売るか」を考える。次に「誰に売るか」を考える。そこで顧客像が見えてくると、最初に考えた商品が少し違っていたと気づくことがある。

その時は、また「何を売るか」に戻る。「どこで売るか」を考えたら、売り方が変わる。「どうやって売るか」を考えたら、必要な商品説明も変わる。

「いつ必要とされるか」を考えたら、出す時期や伝える言葉も変わる。つまり、何を売るかだけを考えても、商売は整わない。

誰に売るかだけを決めても、まだ足りない。商品、顧客、売る場所、売り方、タイミングがつながって初めて、経営判断がしやすくなる。

小さな会社ほど、経営者の頭の中に多くの判断が集まりやすい。商品開発、集客、価格、販売方法、顧客対応、資金繰り、人間関係。全部を同時に考えていると、何から手をつければいいのかわからなくなる。

そこで5W1Hを使う。頭の中に散らばっている考えを、ひとつずつ外へ出していく。紙に書いてもいい。ノートにまとめてもいい。

大切なのは、感覚だけで進めず、商売の要素を見える形にすることだ。

氣の経営で見るなら、5W1Hは経営の流れを確認するための道具である。どこで詰まっているか。どこで伝わっていないか。どこでお客の欲求とズレているか。

それを見つけるために使う。経営は、気合いだけでは続かない。努力だけでも回らない。

思いついた商品をそのまま売るのではなく、売れる形へ整える必要がある。そのために、経営の5W1Hを使って、商売全体を何度も見直していく。

何を売るかより誰に届けるかを見直し顧客ニーズに寄り添う経営の場面

5W1Hは埋める型ではなく巡らせる思考法である

5W1Hで、最初に考えるのは「What」だ。何を、ということである。どのような商品やサービスを売るかということだ。

ここをはっきりさせるには、最初は自分が提供できるものをリストアップすることから始める。「自分は何を売ることができるのか?」と考える。

この時に、その商品やサービスを自分が持っていなくても大丈夫だ。仕入れてきてもいいし、誰かと組むことで、自分の持っていないスキルを提供することも可能である。

たとえば、自分では制作できなくても、信頼できる制作者と組んでサービスを提供することはできる。自分の商品がまだなくても、仕入れた商品に自分の説明や提案を添えて販売することもできる。

自分の経験をもとに、相談、講座、診断、継続サポートとして形にすることもできる。

まず、とっかかりはここからだ。そして、これはとりあえず決めてしまうことが大事である。

「売れないかもしれない」などということは、この段階で考えすぎないほうがいい。もちろん、まったく考えなくていいわけではない。だが、最初から売れるかどうかばかり心配していると、何も決められなくなる。

まずは、売る商品を一つ決めてみる。そうすることで、次の段階に進める。

ここで多くの経営者がつまずくのは、最初に決めた商品を、すぐに完成品のように扱ってしまうことだ。一度決めたから変えてはいけない。せっかく考えたから、このまま進めたい。

ここまで準備したから、引き返すのはもったいない。そう考えると、商売の修正が遅くなる。

しかし、最初のWhatは、確定ではなく仮決めでいい。むしろ、仮に決めるから次の問いへ進める。何を売るかを仮に置くことで、「では、それを誰が買うのか」と考えられる。

商品を決めることだけが目的ではない。商品を一度置くことで、顧客像を見えるようにすることが大切である。

たとえば、経営相談を売ると決める。すると次に、誰がその相談を必要としているのかを考えることになる。開業したばかりの人なのか。売上はあるが利益が残らない人なのか。

家族経営で人間関係に悩んでいる人なのか。顧客像が変われば、相談内容も、料金も、販売方法も変わる。

つまり、Whatを決めると、次のWhoが見えてくる。そして、Whoを考えると、最初のWhatを直したくなる。ここで戻ってよい。思考段階では、何度でも変えられる。

経営で大切なのは、最初から正解を出すことではない。最初に置いた答えを、顧客の現実に合わせて整え直すことだ。

売れない商品を抱え込んで頑張るより、顧客に合わせて商品を変えるほうが、経営判断は軽くなる。自分のこだわりを守ることより、お客が欲しいと思う形へ近づけることが、商売を前へ進める。

この段階で必要なのは、完璧な商品ではない。次の問いに進むための入口である。何を売るかを決め、誰に売るかを考え、必要ならまた戻る。

これを繰り返すことで、商売の輪郭が少しずつはっきりしていく。

5W1Hは、経営を難しくするためのものではない。商売のズレを見つけ、整え直すためのものだ。商品を決めたら終わりではない。

そこから、誰に、どこで、どうやって、いつ届けるかをぐるぐる回して考える。

この考え方が身につくと、経営は少し落ち着いてくる。思いつきで商品を増やすのではなく、ひとつずつ要素を見直せるようになる。売れない理由を気合いや才能の問題にせず、商売のどこがズレているかを確認できる。

まずWhatを置く。次にWhoを見る。そして必要なら戻る。この往復が、売れる仕組みを作る最初の動きになる。

何を誰に売るかが商売を決める

売れる商売は、商品へのこだわりからではなく、お客の心に灯る小さな欲求から始まる。川の流れが地形に沿って形を変えるように、商品も顧客ニーズに合わせて姿を変えた時、経営の流れは巡り始める。

商売の流れは、商品そのものより「誰が欲しいと思うか」で決まる。売り手のこだわりを押し出すだけでは、お客の心には届きにくい。ここでは、WhatとWhoを行き来しながら、顧客ニーズに合う商品へ整えていく考え方がわかる。

何を誰に売るかが商売の流れを決める

何を提供するのかが決まったら、次は「Who」だ。その商品を買ってくれるのは、どんな人なのかを考える。

ここが曖昧なままだと、商品説明も集客も販売方法もぼやける。「誰かに売れたらいい」と考えている商品は、たいてい誰にも届きにくい。なぜなら、誰に向けて言葉を届けるのかが決まっていないからだ。

この時に、なるべく具体的な人をイメージしたほうが、その後がうまくいきやすい。たとえば、「田中さん」とか「山口さん」などといった、実際に自分の周りにいる人物を考えてみればいい。

こうすることで、どんな人が、その商品のお客になってくれるかが見えてくる。

ここで大切なのは、頭の中だけで「ターゲット層」を広く考えすぎないことだ。四十代以上の経営者、個人事業主、小さな会社、忙しい人、悩んでいる人。こうした言葉は便利だが、それだけではまだ広すぎる。

実際に顔が浮かぶ一人を置いてみる。その人は今、何に困っているのか。何を欲しがっているのか。どんな言葉なら聞いてくれるのか。どこで情報を探しているのか。

いくらなら買いやすいのか。ここまで考えると、商品が少しずつ具体的になる。

顧客ニーズとは、お客が今困っていること、欲しいと思っていること、解決にお金を払ってもよいと感じていることである。

たとえば、同じ経営相談でも、相手によって中身は変わる。売上が伸びない人には、集客や商品設計の話が必要になる。売上はあるのにお金が残らない人には、価格、固定費、支払いの流れを見直す話が必要になる。

人間関係で疲れている人には、仕組みや役割分担の話が必要になる。つまり、誰に売るかが変わると、商品そのものも変わる。

ここで、たいてい最初の「What」が違っていることに気がつく。最初は「この商品を売りたい」と思っていた。ところが、具体的な一人を思い浮かべると、その人に必要なのは少し違う商品だとわかることがある。

この時は、また「What」に戻ればいい。一度決めたからといって、それに拘る必要はまったくない。

商品を決めて、お客をイメージする。お客をイメージしたら、そのお客には別のものが必要だと思える。その場合は、躊躇せずに商品を変えればいい。

どうせ思考段階なので、自由に変えることができる。

ここで無理に最初の商品へ押し込むと、商売は苦しくなる。お客の悩みと商品が合っていないのに、言葉だけで売ろうとすることになるからだ。広告を増やしても、説明を長くしても、根本のズレが残っていれば反応は弱くなる。

反対に、具体的な一人に合わせて商品を見直すと、言葉が出やすくなる。何に困っている人へ、何を届けるのかが見えるからだ。説明が短くなり、価格の理由も伝えやすくなり、販売方法も選びやすくなる。

何を誰に売るかは、商売の土台である。ここが整うと、売る場所、売り方、発信する内容も決めやすくなる。

氣の経営では、頭の中の大きな市場より、目の前にいる一人を見る。遠くの大勢を追いかけるより、顔が浮かぶ一人の困りごとを丁寧に見る。そのほうが、判断は楽になる。

商売は、思いついた商品をそのまま押し出すものではない。商品を仮に置き、誰が欲しがるかを考え、必要なら商品へ戻る。この往復によって、何を誰に売るかがはっきりしてくる。



何を誰に売るかが商売の流れを決める

「Who」という質問を明確にしたら、ニーズが見えてくる。そのニーズを元に、商品を変えていく。ここは、柔軟に考える必要がある。

よく、「こだわりの商品」などという言葉がある。これは商売をする側にとっては、とても使いやすい言葉だ。長く研究してきた。素材を選んだ。手間をかけた。

自分なりの信念がある。そうした思いを伝えやすい。ただ、こだわりの商品という言葉は、単に商品コンセプトに過ぎない。

実際には、ニーズに合わせて「こだわりの商品」というコンセプトを打ち立てたということだ。販売者のこだわりなど、お客にとって何の価値もないことを知っておいたほうがいい。

大事なことは、その商品をお客が欲しいと思うか、思わないかだけだ。

ここは、経営者ほど耳が痛いところである。自分の技術、経験、時間、理念、努力を商品に乗せているからだ。これだけ頑張ったのだから、わかってほしい。

これだけ丁寧に作ったのだから、価値を感じてほしい。そう思うのは自然なことだ。しかし、売り手の努力量と、買い手の欲求は同じではない。

どれだけ時間をかけた商品でも、お客の困りごとにつながっていなければ売れにくい。反対に、とてもシンプルな商品でも、お客の今の悩みにぴたりと合えば売れる。

たとえば、経営者向けに立派な講座を作ったとする。内容は濃く、資料も多く、知識も詰まっている。だが、お客が今求めているものが「まず何から直せばいいかを知りたい」という小さな一歩なら、長い講座より短い診断のほうが求められることがある。

また、店舗の商品でも同じだ。作り手は品質を語りたい。製法を語りたい。こだわりを語りたい。

だが、お客は「贈り物にして失礼がないか」「家族で安心して使えるか」「忙しい日にすぐ使えるか」を知りたい場合がある。

このズレを見ないまま販売すると、説明は増えるのに売れない。話せば話すほど、相手との距離が広がることもある。売り手の思いが強いほど、相手は少し重く感じる。

だから、こだわりを捨てる必要はない。大事なのは、お客に伝わる価値へ変えることだ。

自分のこだわりをそのまま前に出すのではなく、お客が受け取りやすい形にする。品質へのこだわりなら、安心して選べる理由にする。経験へのこだわりなら、失敗を避けられる手順にする。

思想へのこだわりなら、迷った時の判断軸にする。こうすると、こだわりは自己満足ではなく、信頼になる。

商品を決めて、お客をイメージする。そのお客のニーズを見る。必要なら商品を変える。これを行ったり来たりしながら、何を誰に売るかを見つけ出していく。

この時に大切なのは、最初の商品に戻る勇気を持つことだ。商品名を変える。内容を減らす。入口商品を作る。価格帯を変える。提供方法を変える。対象者を絞る。

こうした修正は、失敗ではない。商売を現実に合わせて整えているだけである。

小さな会社では、商品をたくさん作るより、ひとつの商品とひとりのお客の関係を深く見るほうがよい。誰にとって、どんな場面で、どんな悩みを解決するものなのか。

ここが見えると、売れる仕組み作りの土台ができる。ここがズレたまま、集客方法だけを増やしても成果は出にくい。

ブログ、広告、紹介、SNS、メール、チラシ。どれを使うかの前に、商品と顧客のズレを見直す必要がある。

経営の5W1Hでは、WhatとWhoを行ったり来たりする。この往復が弱いと、WhereやHowへ進んでも空回りしやすい。売る場所や売り方を整える前に、何を誰に売るかを整える。

商品を守るのではなく、お客に届く形へ整える。ここがわかると、経営判断はずいぶん楽になる。自分の思いを消す必要はない。

自分の思いを、相手が欲しい形へ変えるだけでいい。そのとき、顧客ニーズに沿った商売が少しずつ見えてくる。

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商売の形は見えているが、まだ全体が噛み合いきっていない局面である。商品、顧客、売り方、時期のどこか一つが少しズレるだけで、努力のわりに反応が弱くなる。火水未済は、まだ渡り切っていない状態を映す卦であり、急いで完成させるより、渡る前に足元を確かめることを促す。経営の5W1Hも、答えを決める道具ではなく、ズレを見つける目である。今は増やすより、整っていない点を見直す。

5W1Hで売れる仕組みを整える

商売は一度決めた地図どおりに進む旅ではない。売る場所、売り方、タイミング、自分の動機を何度も見直すことで、散らばった判断は一本の道になり、小さな会社の経営は静かに整っていく。

何を誰に売るかが見えたら、次はどこで、どうやって、いつ届けるかを考える。売れる仕組みは、販売場所、販売方法、タイミング、購入動機がつながって生まれる。ここでは、5W1Hを実際の経営判断に落とし込む方法がわかる。

5W1Hを何度も見直し商売のズレを整える

「何を」「誰に」というところがほぼ決まったら、次は、「Where」と「How」だ。つまり、「どこで」と「どうやって」である。

「どこで」と考える時には、実際に売る場所を見る。その商品をネットを使って売るのか。リアル店舗を使って売るのか。営業する人がいて売るのか。

紹介で売るのか。予約制にするのか。継続契約にするのか。ここを曖昧にすると、商品はあるのにお客に届きにくくなる。

また、お客の視点から、その商品をどこで使うかも考えてみる必要がある。それによって、商品の価値も見えてくる。

同じ商品でも、使う場面が変われば、伝える言葉は変わる。仕事場で使うのか。家庭で使うのか。移動中に使うのか。

忙しい朝に使うのか。夜に落ち着いて使うのか。ここまで見ると、商品説明が具体的になる。

たとえば、経営相談を売る場合でも、会議室でじっくり話すサービスなのか、オンラインで短時間に整理するサービスなのか、毎月伴走するサービスなのかで価値が変わる。

お客が必要としている場面に合っていなければ、内容がよくても選ばれにくい。

次に「どうやって」という部分を見る。これはより具体的な手法である。店舗で売るのか。対面で売るのか。メールで売るのか。

サイトで売るのか。ブログを使うのか。集客方法はどうするのか。こうしたスキルの部分である。

商品で考えるならば、その商品の使い方にも関係する。買った後にどう使えばよいのか。どの順番で使えば効果を感じやすいのか。

どこまで自分で行い、どこから支援を受けるのか。ここが見えると、お客は買った後の姿を想像しやすくなる。

売れる仕組みとは、商品、顧客、販売場所、販売方法、使う場面、必要とされる時期がつながり、買う理由が自然に見える状態である。

全体を把握できる人は、なんとなく理解できると思うが、この「どこで」と「どうやって」は、「誰に」と「何を」に影響を与える。

つまり、ここで、また整合性を取らないといけなくなる。

ズレていた場合には、また「誰に」と「何を」に戻る必要がある。このように、「何を」「誰に」「どこで」「どうやって」は、互いに影響し合って単独では成り立たない。

たとえば、高単価の商品をブログだけで売ろうとして反応が薄い場合、商品が悪いとは限らない。信頼を作る手順が足りないだけかもしれない。

その場合は、個別相談、説明会、事例紹介、メールでの関係作りが必要になる。

また、低単価の商品を一人ずつ丁寧に対面販売していると、手間がかかりすぎることもある。その場合は、ネット販売、定期便、案内ページ、購入後の説明書を整えたほうが合う場合がある。

さらにもうひとつ「When」が残っている。これはタイミングだ。その商品はいつ使うものだろうか。商品やサービスによっては、ニーズが変動する。

当然ながら、このニーズに合わせなければ商品は売れることはない。

決算前に必要なものがある。新年度前に必要なものがある。人が辞めた時に必要なものがある。売上が落ちた時に必要なものがある。

物価や制度が変わった時に必要なものがある。お客の生活や仕事には、必要が高まる時期がある。

そこで、この「いつ」も考慮に入れる。こうして、「何を・誰に・どこで・どうやって・いつ」を、ぐるぐる回して思考していく。

氣の経営でいえば、「いつ」は兆しを見る部分である。早すぎれば伝わらず、遅すぎれば間に合わない。

必要とされる時に、必要とされる形で出す。そのために、場所、方法、時期を一緒に見直していく。

経営では、一つの要素が変わると、他も変化する。常にそれを意識しておくことだ。こうして、何度も考えて全体を構築していく。

売れる仕組みを5W1Hで巡らせながら整え落ち着いて経営判断する

5W1Hを何度も見直し商売のズレを整える

「何を」「誰に」「どこで」「どうやって」「いつ」を、ぐるぐる回して商売を組み上げていく。その時に、もう一つの「Why」に注目する。

やっと「Why」が出てくる。

この「なぜ」というのは、なぜその商品をお客は欲しいと思うかである。つまり購入の動機づけである。

お客は、安いから欲しいのか。不安を減らしたいから欲しいのか。時間を節約したいから欲しいのか。失敗を避けたいから欲しいのか。

仕事を楽にしたいから欲しいのか。家族やスタッフとの関係をよくしたいから欲しいのか。

この購入動機が見えていないと、売る言葉がぼやける。商品の特徴ばかり説明しても、お客の心には届きにくい。お客が知りたいのは、「それで自分の何がよくなるのか」である。

たとえば、経営者向けの相談サービスでも、「経営相談をします」だけでは弱い。「売上はあるのにお金が残らない理由を整理する」「商品と顧客のズレを見直す」「ひとりで抱えている判断を軽くする」と言えたほうが、お客は自分ごととして受け取りやすい。

さらに、あなたの「なぜ」も大事だ。なぜその商売をやるのか。これは、一番の基本の部分である。

あなたが、なぜそれをやろうと思ったのか。そうしたいと感じたのか。これは、言ってみれば、あなたがどんな人生を送るかということだ。

仕事というのは、人生のかなりの部分を占める。おそらく、ほとんどといってもいい。だったら、その仕事を何のためにするかということを、しっかりと確認しておく必要がある。

商売を構築している時も、この「なぜ」から外れないようにしていく。「こっちが儲かるから」とか「これがいいと聞いたから」では、結局、つまらない人生を歩むことになってしまう。

売上が増えても、毎日が苦しくなる商売がある。忙しくなっても、心が満たされない働き方がある。お金は入ってくるのに、家族との時間、体調、気持ちの余裕が削られていくこともある。

それでは、商売が人生を支えるどころか、人生を細くしてしまう。

だから、Whyを見る。お客がなぜ欲しいのか。自分はなぜその商売をするのか。この二つが重なるところに、長く続けられる経営の形が見えてくる。

実践する時は、一枚の紙に書けばいい。What、Who、Where、How、When、Whyを並べる。

Whatは、何を売るのか。
Whoは、誰に売るのか。
Whereは、どこで売るのか、どこで使われるのか。

Howは、どうやって売るのか、どう使ってもらうのか。
Whenは、いつ必要とされるのか。
Whyは、なぜお客は欲しいのか、なぜ自分はその商売をするのか。

全部を一度に直そうとしない。まず、ズレているところを一つ見つける。Whoがぼやけているなら、具体的な一人を決める。

Whatが合っていないなら、商品内容を変える。Whereがズレているなら、売る場所を変える。Howが弱いなら、信頼の作り方を変える。

Whenが外れているなら、出す時期や訴求を変える。Whyが濁っているなら、自分の動機を見直す。

経営で迷うのは、考えが足りないからとは限らない。考える要素がつながっていないから迷うことが多い。だから、もっと頑張る前に、5W1Hを巡らせる

売上を追う前に、商売の流れを整える。

中心はあくまでしっかりと持った上で、「何を」「誰に」「どこで」「どうやって」「いつ」を目が回るほどぐるぐる回していくことだ。

これが商売の秘訣ともいえる思考法である。氣の経営でいう流れに乗る経営は、勢いだけで進むことではない。

自分の中心を持ち、お客のニーズを見て、仕組みを整え、判断を軽くしながら巡らせることにある。

5W1Hは、経営判断を重くするためのものではない。ひとつずつ見直し、商売のズレを見つけ、次の一手を軽くするためのものだ。



読者からのよくある質問とその答え

Q. 経営に5W1Hを使うと何が整理できますか?

A. 経営の5W1Hは、一度埋めて終わりではない。商品、顧客、売り方、時期のズレを見つけるために使う。考えが散らかる時ほど、全部を直そうとせず、まず一つだけ紙に書き出す。小さく見直すほど、気持ちも判断も整い、商売の流れが見えやすくなる。無理に急がなくてよい。

Q. 商品と顧客のどちらを先に考えればいいですか?

A. 最初は商品を仮に決めてよい。そこから具体的な一人を思い浮かべると、何を誰に売るかが見えてくる。合わないと感じたら失敗ではない。無理に押さず、お客が受け取りやすい形へ商品を整え直す。そのほうが言葉も自然に届き、反応も読みやすくなる。焦らなくてよい。

Q. 売れる仕組みを作るには何から始めればいいですか?

A. 売れる仕組みは、特別な集客だけでできるものではない。商品、顧客、場所、方法、時期がつながって生まれる。反応が弱い時は、足す前に一箇所のズレを見る。流れを整えるだけで、焦りが減り、次の一手は軽くなり、動きやすくなる。今日そこから始めればよい。

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【売り上げを増やす行動:商売のズレの点検
1. 5W1Hを一枚に書く
今日扱う商品を一つ選び、何を、誰に、どこで、どうやって、いつ、なぜ売るのかを書く。空欄や迷った箇所に丸をつけ、まず詰まっている点だけを見る。
2. 顧客を具体的に絞る
実際に顔が浮かぶ顧客を決め、その人が今困っていることを書く。商品説明をその人に向けた言葉に直すと、売り手のこだわりが届く価値に変わりやすい。
3. 売る場所を直す
ブログ、案内文、メニュー表、SNS投稿のどれか一つを見て、商品と顧客と購入動機がつながっているか確認する。ズレている言葉を直せば、商売の流れは少し整う。

『商売は、ひらめきだけでは続かない。何を、誰に、どう届けるかを何度も巡らせ、自分の軸とお客の欲しい形が重なった時、経営の流れは静かに整い始める。』

(内田 游雲)

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profile:
内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトの「運の研究-経営とお金が巡る仕組みの研究所-」は、氣の経営と運をテーマにしている。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。

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