人間関係がギクシャクするとき、その原因は意外と単純だったりする。
正論を振りかざしたくなる気持ちが、思いやりを上回ってしまう瞬間。
そこで
「なんであのとき黙ってたの？」
と過去を蒸し返したり、
「あれはあなたの責任よね」
と、失敗にスポットライトを当ててしまう。
でも、人間は理屈より感情で動く生き物だ。
相手が傷ついたかどうかに、正しさは関係ない。
正しさが人の心を救うとは限らないのだ。
だからこそ、小さな過失は咎めない。
人の失敗は、自分のときにそっと許してほしいことと似ている。
指摘されなくても、本人は一番よくわかっている。
責められると、心が閉じる。関係も閉じる。
そして、隠し事は暴かない。
人には、知られたくない過去や言えない事情がある。
それを白日のもとにさらして、何が残るのだろう。
たとえ真実だったとしても、相手の尊厳を踏みにじってまで知るべきことは、ほとんどない。
さらに言えば、古傷は忘れてやること。
あのとき言われた一言、あの場での態度、何年も引きずっていると、相手は気づかないまま自分だけが疲れていく。
それよりも、
「まあ、いろいろあったけど、今こうして元気ならよし」
と切り替えたほうが、自分の気も軽くなる。
この3つを心がけるだけで、人間関係はかなりラクになる。
敵をつくらない人には、運も味方しやすい。
恨みは目に見えなくても、重く残る。
だから、わざわざ拾わない。わざわざ掘らない。
人の過去も、失敗も、感情も、少しの想像力で包み込めるようになったとき、自分の器もひと回り大きくなっている。
ほんの少し優しくなるだけで、人生の巡りはよくなるのだ。
【運を開く言葉】
書：瑞雪 文：游雲
