思考のクセ

思考のクセは、感情ではなく解釈の癖として現れる。比較、決めつけ、先読み不安、過剰な自責。事実と解釈を切り分け、見方を組み替えて判断を戻す場所だ。頭の中の独り相撲をやめ、今日の選択を軽くする。

しなければならない思考をしたいに変える方法

何々したいはポジティブ思考だがしなければならないはネガティブ思考である|筆文字書作品
しなければならない思考が続くと、前向きに生きたい気持ちまで義務に変わる。ポジティブ思考とは、無理に明るく振る舞うことではない。「したい」と思える心の向きに戻すことだ。心は言葉に引っぱられる。だから、頑張れない自分を責める前に、まず心の内の口ぐせを見直せばいい。

人は誰も明るく考えたい
そう願うだけで胸は前を向く

だが心はすぐ影を拾う
希望はいつの間にか重荷になる

したいと言えば道がひらく
しなければと言えば息が縮む

義務は心の灯を曇らせ
願いは足もとに火をともす

胸の内の声を見よ
言葉の向きが運を変える

人は「したい」と思う時、心の向きが未来へ開く。そこには希望があり、自分で選んでいる感覚がある。反対に「しなければならない」と思う時、同じ行動でも義務になり、心は少しずつ息苦しくなる。

問題は行動そのものではない。行動の前にある言葉の向きである。

勉強したい、働きたい、片づけたい、人に会いたい。そう思える時、人は自然に動ける。だが、勉強しなければならない、働かなければならない、片づけなければならないとなると、心は抵抗を始める。

ポジティブ思考とは、無理に明るく考えることではない。自分の内側から出る「したい」を見つけ直すことである。言葉を変えると、行動の気配も変わる。

義務感で動くと経営は苦しくなる

誰もがポジティブ思考のほうが良いと知っている。前向きに考えたほうがいい。明るく受け止めたほうがいい。頭では分かっている。

しかし人間の心は、ポジティブに考えているつもりでも、いつの間にかネガティブになっていることがある。最初は「やりたい」と思って始めたことでも、続けるうちに「しなければならない」に変わる。

ここで心の向きが変わる。

ポジティブ思考とは、無理に明るく考えることではなく、自分で選んでいる感覚を取り戻す考え方である

「勉強したい」と思う時、人は前へ進める。「仕事を良くしたい」と思う時、行動には熱が入る。「お客さんに喜んでもらいたい」と思う時、工夫も続く。

ところが、同じことでも「勉強しなければならない」「仕事を良くしなければならない」「売上を上げなければならない」になると、心に抵抗が出る。

行動は同じでも、出発点が変わるからだ。

希望のうちはポジティブだが、それが義務になってしまってはネガティブになってしまう。これは経営でも同じである。

小さな会社の経営者は、毎日いくつもの判断をしている。売上、集客、支払い、スタッフ、お客との関係、家族のこと。どれも大事である。

大事だからこそ、すぐにしなければならない思考になりやすい。

集客しなければならない。発信しなければならない。価格を上げなければならない。新しい商品を作らなければならない。

そう考えるほど、気持ちは前に進みにくくなる。

問題は、集客や発信や商品づくりが悪いのではない。問題は、それを義務感だけで動かそうとすることにある。義務感だけで動くと、判断が硬くなる。

文章も硬くなる。お客への言葉も硬くなる。本人は真面目に頑張っているのに、仕事の空気が少し苦しくなる。

氣の経営では、経営者の気の状態を大事に見る。気が乱れると、数字を見る目も、人を見る目も、自分を見る目も乱れやすい。

反対に、自分の心の中を観察し、心の変化を注意深く見ていくと、今どこで無理が出ているかに気づける。

「しなければならない」をなくす必要はない。経営には責任がある。支払いもある。約束もある。逃げて済む話ではない。

ただ、その中に「したい」を一つ戻すことはできる。集客しなければならないではなく、「この仕事を必要な人に届けたい」と言い直す。発信しなければならないではなく、「今日ひとりの不安を減らしたい」と言い直す。

売上を上げなければならないではなく、「お金が残る形に商売を直したい」と言い換える。

これが、やりたい気持ちに変える方法である。大きく考えを変える必要はない。まず言葉を変える。言葉が変わると、心の向きが変わる。

心の向きが変わると、同じ仕事でも息苦しさが減る。

ポジティブかネガティブかは、起きた出来事だけで決まらない。あなたがどう受け止め、どの言葉で自分に話しかけるかで変わる。

今日やることは一つでいい。仕事の中の「しなければならない」を一つ書き出し、「本当は何をしたいのか」に言い換える。そこから、経営の気は戻り始める。



【卦象ミニコラム】
言葉が心を養う局面
卦象:山雷頤(さんらいい)|言葉で養う
変化|義務の言葉をひとつ減らす

今は、行動量が足りないのではなく、自分に投げている言葉の質を見直す局面である。やるべきことを増やすほど、心は前に出るより先に身構えやすい。山雷頤は、何を口に入れ、何を口から出すかを見る卦である。自分に向ける言葉も、心を養うものになる。しなければならない思考が続く時は、努力不足ではなく、言葉が義務に寄りすぎている。今日扱うべきは量ではない。まず、自分の心が受け取りやすい言い方へ戻すことから始める。

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【今日の開運行動】:義務の言葉を言い換える
今日の仕事予定から「しなければならない」と感じるものを選び、紙かメモにそのまま書く。その下に「本当は何を届けたいのか」と書き、最後に「〇〇したい」の形へ言い換える。言葉が変わると、義務で固まっていた判断が目的に戻り、発信や連絡も出しやすくなる。

『「したい」は心に力を戻し、「しなければならない」は心を義務へ寄せる。行動を変える前に、まず自分に向ける言葉を変える。そこから気が整い、今日の仕事も前へ動き出す。』

【運を開く言葉】
書:瑞雪 文:游雲

▶ 【64卦から読む】:山雷頤(さんらいい)

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profile:
内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトの「運の研究-経営とお金が巡る仕組みの研究所-」は、氣の経営と運をテーマにしている。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。

profile:
瑞雪(ずいせつ)

書家。新潟県村上市に生まれる。幼い頃より書に親しみ、18歳で書家を志し、大東文化大学文学部中国文学科で青山杉雨氏に師事。卒業後 ㈱ブリヂストンに就職するも6年後に退職し、独自の創作活動を開始する。人生の法則を力強く書いたその書は、多くの人に生きる力と幸運をもたらすと評判である。雅号の瑞雪は、吉兆をもたらす雪を意味している。

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