苦手なことばかり考えていると損する理由
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苦手なことばかり考えてしまう
苦手なことばかり考えるのは、伸びない場所に意識と時間を使い続け、自分の得意と強みを眠らせてしまう状態である。
人はどうしても暗いほうへ
心を引かれてしまうものだ
静かに自分を見ていると
浮かぶのは不安な影ばかり
まだ来ぬ失敗を思い描き
起きてもいない傷を怖れる
そうして大事な時間までも
自分の手からこぼしてゆく
苦手なことに縛られるより
得意なほうへ心を向けよ
そこから進む足は育つ
この言葉が示しているのは、時間の浪費とは忙しさそのものではなく、意識の向け先をまちがえることだということである。
人は時間が足りないと感じると、予定の多さや仕事量のせいにしがちだが、実際には「苦手なことを何度も頭の中で反すうする時間」がかなり大きい。
うまくできなかった場面、失敗する想像、向いていないことへの不安。
そこに意識が張りつくと、まだ何も起きていないのに、気力だけが先に減っていく。
ただし、この言葉は「苦手なことから逃げればいい」と言っているのではない。
そこを取り違えると、話がずいぶん痩せる。
苦手なことをゼロにするのが目的ではない。
本当に大切なのは、苦手に心を奪われる時間を減らし、得意なこと、自然にできること、やっているうちに熱が出ることへ意識を戻すことである。
苦手は管理すればいいが、得意は伸ばさなければ実にならない。
この作品の目的はひとつである。
人の進み方を、欠点の監視から強みの活用へ切り替えることだ。
苦手を見つめ続けても、心は縮こまり、動きは鈍る。
反対に、得意なことに目を向けると、行動は速くなり、表現に力が宿る。
人生も仕事も、伸びるところに時間を注いだほうが巡りはよくなる。
ずっと苦手の見張り番をしていては、才能まで留守になる。
気づけば、不安はまだ起きていない出来事まで先回りしている。
けれど、そこで立ち止まり続けるほど、もともと持っている力は使われないままになる。
では、苦手なことに心を奪われる時間を減らし、自分の得意をどう仕事に生かしていけばよいのか。
ここからは、その流れを経営の視点で見ていく。
好きを得意な方法で商いに変える
経営者になると、苦手なことを考える時間が妙に増える。
売上が落ちたらどうしよう。
発信が響かなかったらどうしよう。
あの人に任せて大丈夫だろうか。
こうした考えは慎重さにも見えるが、放っておくと苦手なことの監視が仕事になってしまう。
これがなかなか厄介である。
経営者は本来、前に進む人なのに、気づけば頭の中で不安の見回り隊をしている。
しかも無給である。
さすがにそれは少し切ない。
だが、ここで見直したいことがある。
時間の無駄とは、予定が多いことではない。
伸びない場所に意識を貼りつけ続けることである。
苦手な作業そのものより、そのことを何度も頭の中で反すうする時間のほうが、ずっと気力を削る。
経営では、この見えない消耗がじわじわ効く。
発信が止まる。
判断が遅れる。
人に任せるタイミングを逃す。
結果として、得意なことまで曇っていく。
氣の経営で見るなら、ここは人知(判断)の詰まりである。
人知とは、物事を決め、配分し、前へ巡らせる頭の使い方のことである。
苦手なことばかり見ている状態は、問題を直視しているようでいて、実は自分の持ち味から離れている状態でもある。
経営者の役目は、全部できる人になることではない。
強みが生きる位置に自分を置くことである。
ここを外すと、事業は努力の量のわりに進まない。
さらに言えば、苦手をなくしてから進もうとする考え方にも無理がある。
人は、欠点を全部片づけてから咲くのではない。
咲く場所に立つから咲く。
鉢植えに海水をやって「なぜ元気がないのか」と悩んでも、植物も困る。
こちらも困る。
経営も同じで、合わないやり方で踏ん張り続けるほど、気は巡りにくくなる。
だからまず必要なのは、苦手を責めることではない。
得意なことに戻る視点を取り戻すことである。
そこで初めて、経営の流れは整い始める。
では、どう切り替えるか。
答えは案外素朴である。
苦手をゼロにしようとするより、得意なことに時間を配分し直すことである。
氣の経営は、何でも自力で抱える方法ではない。
氣の経営は、天機(兆し)を読み、地理(仕組み)を整え、人知(判断)を巡らせる経営である。
つまり、経営者が苦手に張りつく時間を減らし、得意が自然に働く流れを作ることが要になる。
たとえば、文章を書くと頭が冴える人がいる。
人前で話すと場が動く人もいる。
数字を見ると異変にすぐ気づく人もいる。
そこに事業の芯があるなら、その力を前に出したほうがいい。
反対に、何度やっても消耗ばかり増える作業は、仕組みに逃がすか、人に任せるか、頻度を減らす。
ここで遠慮はいらない。
経営者が全部抱えるのは美談に見えて、事業からすると少々迷惑である。
経営者の消耗は、そのまま会社の巡りに映るからだ。
地理とは、才能が働きやすい形に仕事を並べることである。
予定表、役割分担、発信の型、商品の見せ方。
こうした仕組みが整うと、気合いに頼らなくても前に進みやすくなる。
そして天機とは、何が今伸びようとしているかを察することである。
反応の良い発信、自然に続く仕事、なぜか紹介が増える動き。
そこには流れの兆しがある。
経営者は、その兆しに乗る。
苦手の反省会を延々と開くより、よほど実りがある。
反省会が長い会社ほど、お茶は減るのに売上は増えにくい。
なかなか世知辛いものだ。
今日からの行動は三つで足りる。
まず、今週いちばん気持ちよく進んだ仕事を一つ書き出す。
次に、それがなぜ進んだのかを言葉にする。
最後に、その要素を来週の予定にもう一度入れる。
これだけでよい。
強みとは、自然に続き、周囲にも価値が届く働き方である。
経営者が自分の得意を生かし始めると、判断は冴え、言葉は届き、人も動きやすくなる。
苦手を見張る人生から、得意を巡らせる経営へ。
変化は派手ではないが、こういう修正ほど後で大きく効く。
商いも人生も、伸びる枝に日を当てたほうが、木はちゃんと育つ。
頭の中で分かっていても流れは変わらないので、ここからは今日の仕事にそのまま置ける小さな行動に落としていく。
【流れを戻す今日の行動】
1.今日いちばん進んだ仕事を書き出す
今日の終わりまでに、いちばん気持ちよく進んだ仕事を手帳かメモに1つ書く。迷わず進んだ理由も一言だけ添える。
2.苦手な作業を一つ後ろに回す
今日これからやる作業の中で、苦手なことを1つ選び、今すぐやらずに順番を後ろへずらす。先に得意な仕事を20分だけ進める。
3.明日の予定に得意な仕事を入れる
今日中に、明日の予定表の最初か午前中に得意な仕事を30分入れる。予定名はぼかさず、何をするか一つに決めて書く。
苦手なことを見張り続けても、人生も仕事も前には進みにくい。人が伸びるのは、欠けたところを責めた時ではなく、得意なところに光を当てて、それを使い始めた時である。
【運を開く言葉】
書:瑞雪 文:游雲
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内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトの「運の研究-洩天機-」は、氣と運をテーマにしている。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。
瑞雪(ずいせつ)
書家。新潟県村上市に生まれる。幼い頃より書に親しみ、18歳で書家を志し、大東文化大学文学部中国文学科で青山杉雨氏に師事。卒業後 ㈱ブリヂストンに就職するも6年後に退職し、独自の創作活動を開始する。人生の法則を力強く書いたその書は、多くの人に生きる力と幸運をもたらすと評判である。雅号の瑞雪は、吉兆をもたらす雪を意味している。





















