人は誰しも未来に不安をいだく。
明日のこと、老後のこと、子どものこと、健康やお金のこと。
考え始めれば、まるで頭の中で不安の行進が繰り広げられる。
ぞろぞろと隊列を組んでやってくるその姿は、なかなか壮観だ。
しかし、その行列にばかり注目していると、足元にある今の幸福を踏みつけてしまう。
今日のご飯が美味しかったこと、ふと耳にした鳥の声、誰かと交わした短い会話のあたたかさ。
そんな小さな喜びが、不安の騒音にかき消されてしまうのだ。
もちろん、将来を考えることは悪くない。
経営者であれば経営の不安に向き合うのも大切な仕事だ。
売上や資金繰り、競争の激化。
見通しを立てることは、経営者の責任でもある。
しかし、必要以上に未来の不安に心を奪われると、単なるエネルギーの浪費になる。
まだ起きてもいない出来事を頭の中で何度もシミュレーションしては疲れ果て、現実の今日に向き合う力が残らない。
これでは未来どころか現在まで台無しにしてしまう。
大切なのは、今を生きることだ。
未来を心配するより、今日目の前の人に
「ありがとう」
と伝える。
資金繰りで悩むより、今日の支払いをきっちり整える。
競争を恐れるより、自分の強みを工夫して活かす。
その一つひとつの行動が、結果として未来を安心に変えていく。
未来は
「今」
の積み重ねでしかつくられないのだから。
「でも不安は勝手に湧いてくる」
という人も多いだろう。
そこで役立つのが、心配する時間を意識的に区切る方法だ。
たとえば
「今日は10分だけ未来の心配タイム」
と決めて、その後は今ある幸せに集中する。
切り替えを自分に課すことで、不安に流される心をしっかり鍛えられる。
これは心の筋トレであり、慣れてくると自然と
「今」
に戻れるようになる。
不安は消し去るものではない。
むしろ上手に付き合えば、行動のヒントに変わる。
未来を心配するより、今日の一歩を整えること。
これこそが一番シンプルで、誰にでもできる
「不安解消の習慣」
だ。
未来はまだ姿を見せていない。
だから恐れる必要もない。
けれど、今はもうここにある。
この
「今」
を大切に積み重ねる人のもとに、不安は居座れない。
気づいたときには笑顔が増え、未来は自然と形になっている。
【運を開く言葉】
書：瑞雪 文：游雲
