人を誉めるとどんな効果がある?|自分にもいいことが起こる理由
人は他の人の光を
口にするのが少し怖い
誰かを高く呼べば
自分が低くなる気がする
その思いは
こころの曇りが見せる影だ
ひとを誉める声は
めぐって自分を照らし出す
誰かを持ち上げた手のぶんだけ
自分の空も高くなる
人を誉めることは、相手を持ち上げる行為に見えて、実は自分の見方と在り方を変える行為でもある。人の長所を見つけて口にする人は、欠点や不足ばかりを追いかけない。
目の向け先が変わるから、日々の空気も人との関係も変わっていく。誉め言葉は相手を喜ばせるだけでなく、自分の表情や気分まで明るくし、周囲に安心感を生む。
すると人は集まりやすくなり、会話はやわらぎ、助けや好意も返ってきやすくなる。つまり、誉めることの効用とは、相手の価値を認めた分だけ、自分の世界の見え方まで豊かになるところにある。
誰かの良さを素直に言える人は、自分の運まで動かしていく。
誉め言葉が経営の流れを変える
人を誉めるとどんな効果があるのか。経営の場では、その答えが思った以上にはっきり出る。人を誉める言葉が増えると、まず変わるのは人の表情である。
顔がやわらぎ、返事が早くなり、相談が遅れにくくなる。お客様への言葉も刺々しさが減り、紹介や再来店のような、数字に出る前のよい反応が少しずつ増えていく。
小さな会社ほど、経営者のひと言が空気を決めるので、この差は大きい。いつも欠点ばかり拾われる場では、人は守りに入る。だが、よい点を見つけて声に出す場では、動きが自然になり、仕事の質まで変わっていく。
褒める効果とは、相手の力を引き出しながら、自分のまわりの空気までよくしていく働きである。
なぜそうなるのか。理由は単純で、人は認められたところで力を出しやすいからだ。誉め言葉はお世辞ではなく、相手の価値を見つけて渡す行為である。
たとえば、部下や外注先に「助かった」「気が利いている」「説明がわかりやすい」と具体的に伝えると、その人は自分の役割をつかみやすくなる。すると迷いが減り、報告も提案も前に進む。
反対に、粗探しばかりが続くと、場には遠慮と警戒が増える。経営者が欲しいのは従順さではなく、安心して動ける関係のはずだ。そこを育てる入り口が、人間関係の質を上げる誉め言葉になる。
ここで大事なのは、誉めることが相手のためだけではない点である。人のよいところを見つける人は、自然に見る目が変わる。不足ではなく可能性を見る癖がつくから、自分の気持ちまで荒れにくい。
経営は結局、商品だけで回るのではない。誰と付き合い、どんな空気で会い、どんな言葉を交わすかで流れが決まる。だから、氣の経営では売上の前に、経営者のまなざしや声の言葉の温度が問われる。
相手を下げて自分を上げるやり方は、その場では勝ったように見えても、長く続く信頼を失いやすい。反対に、相手を認める人のまわりには、助けたい、紹介したい、一緒にやりたいという気持ちが集まりやすい。
これが運は人が運ぶということの実際である。
しかも誉める言葉は、特別にうまくなくていい。「助かった」「その気配りがありがたい」「今日は表情がいい」で十分である。大げさな賞賛より、事実に沿ったひと言のほうが届く。
小さな会社の強さは、こういう言葉の温度の積み重ねで生まれる。人を誉める人は、自分の位置まで上げていく。
経営者がまず始めるなら、今日会う相手を一人決め、その人のよい点を一つだけ具体的に口に出すことだ。その一言から、会社の空気も、関係の流れも、経営者の器も変わり始める。
【卦象ミニコラム】
誉め言葉が届く局面
卦象:風沢中孚(ふうたくちゅうふ)|本音で届かせる
変化|上手さより本音を先に置く
いまは、関係をよくしたい気持ちはあるのに、自分がどう見られるかも気になりやすい局面である。すると、誉める言葉が少し飾られたり、照れが先に立って何も言えなくなったりする。風沢中孚は「中にまことあり」と見る卦である。うまく言うことより、ほんとうに感じた良さを、そのまま短く渡すほうが相手には届く。人間関係が動く時は、立派な言葉より、偽りのないひと言から始まる。今日は量を増やすより、心から良いと思った一点に言葉を向ける。
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【誉め言葉を一人に伝える】
今日会う相手を一人決め、その人の仕事や気配りで実際によかった点を一つだけ、その場で短く口に出して伝える。
人を誉めることは、相手を持ち上げることではない。自分の見る目を育て、関係の空気を変え、巡って自分の運まで動かすことである。よい言葉を出せる人から、人生の流れは少しずつ変わり始める。
【運を開く言葉】
書:瑞雪 文:游雲
▶ 【64卦から読む】:風沢中孚(ふうたくちゅうふ)
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内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトの「運の研究-経営とお金が巡る仕組みの研究所-」は、氣の経営と運をテーマにしている。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。
瑞雪(ずいせつ)
書家。新潟県村上市に生まれる。幼い頃より書に親しみ、18歳で書家を志し、大東文化大学文学部中国文学科で青山杉雨氏に師事。卒業後 ㈱ブリヂストンに就職するも6年後に退職し、独自の創作活動を開始する。人生の法則を力強く書いたその書は、多くの人に生きる力と幸運をもたらすと評判である。雅号の瑞雪は、吉兆をもたらす雪を意味している。





















