仕事と成功

成功には実力だけでなく「運」も必要だ。天職、フロー、好きなことを活かす働き方など、運と仕事のつながりを通じて、自分らしい成功を築く。

仕事の幸福度はなぜお金では決まらないのか

仕事の幸福度をお金だけで測らず納得できる働き方を見つめる落ち着いた仕事時間
仕事の幸福度は、お金の多さだけでは決まらない。年収や売上は暮らしを支える力になるが、人生の満足は、限りある時間をどんな仕事に使ったかで決まる。好きな仕事と得意なことを中心に置くと、働く意味が変わり、お金との関係も変わっていく。

仕事の幸福度は、お金の多さだけでは決まらない。収入は暮らしを支えるが、人生の満足は限りある時間をどんな仕事に使うかで変わる。売上のために抱えた仕事を見直し、続けたい仕事、減らしたい仕事、育てたい仕事に分けることから始める。

仕事の幸福度はお金では決まらない

お金は暮らしを支える水である。けれど、器いっぱいに注いでも心まで満ちるとは限らない。仕事の幸福度は、年収よりも人生の時間をどう使ったかに現れる。

仕事の幸福度は、年収や売上だけでは測れない。お金は暮らしを支える力になるが、人生の満足をすべて決めるものではない。ここでは、お金と幸福の関係を見直し、仕事で何をしたかという本質へ目を向ける。

仕事の幸福度は、収入だけでは決まらない。
こう書くと、「そんなことはない。お金が無いと幸福になれない」と感じる人は多い。これは自然な反応である。生活費が足りない。請求書の支払いが気になる。家族の将来が不安になる。事業の固定費が毎月のしかかる。そうした状態で、お金と幸福は関係ないと言われても、きれいごとに聞こえる。
実際、年収が低いうちは、収入と幸福感とは密接に関係する。住まい、食事、医療、教育、移動、仕事道具、事業資金。どれもお金がなければ選択肢が狭くなる。経営者であれば、売上が足りない月には、通帳を見るだけで胸が落ち着かなくなる。
資金繰りの表を開きながら、今月はどこを先に支払うかを考える時間は、決して気楽なものではない。
だから、お金を軽く扱う必要はない。お金は暮らしを支える力であり、事業を続けるための血液でもある。問題は、お金そのものではない。問題は、お金だけを幸福の物差しにすることである。
収入と幸福との関係は、きちっとした相関関係がない。つまり、収入がたくさんあることと幸福になることとは、必ずしも同じではない。確かに、年収が低いうちは収入と幸福感は密接に関係する。生活の土台が安定するまでは、お金が安心に直結するからである。
しかし、ある程度の年収を超えてくると、年収の伸びほど幸福感は上がっていかない。手取り年収で800万円を越えたあたりから幸福感の伸び率は低くなっていく、という見方もある。ここで大切なのは、金額の線引きそのものではない。ある程度お金が自由に使えるようになると、幸福の尺度がお金ではなくなっていく、という事実である。
経営をしていると、この感覚はよく分かる。売上が増えた。客数も増えた。問い合わせも増えた。数字だけを見れば悪くない。ところが、朝起きた時に気が重い。予定表を見ると肩が固くなる。増えた仕事の中に、自分が本当に続けたい仕事が少ない。利益は残っているのに、心の中では「このままでいいのか」と感じている。
この状態は、仕事が失敗しているという意味ではない。むしろ、事業が次の段階に入っている合図である。最初は食べていくために働く。次に、安定させるために働く。そしてその先で、何のために働くのかを問われる時期が来る。
仕事の幸福度は、収入、時間、やりがい、納得感、人との関係、自分の強みが重なった時に生まれる働く満足感である。収入だけを見ていると、この重なりが見えなくなる。売上は上がっているのに疲れている。資産は増えているのに、心が満ちていない。仕事の規模は大きくなったのに、人生の手触りが薄くなる。そういうことが起きる。
ここで、お金と幸福の関係を一度見直す必要がある。お金は安心を作る。これは間違いない。だが、お金があるだけで、生きがいまで生まれるわけではない。年収と幸福度を考える時、多くの人は「もっと稼げば楽になる」と考える。
もちろん、足りない状態ではその通りである。だが、ある段階を超えると、問いは変わる。
いくら稼いだかではなく、その仕事で何をしたかが心に残る。どれだけ利益が出たかだけではなく、誰の役に立てたかが記憶に残る。どれだけ忙しかったかではなく、自分の力をどこに使ったかが人生の満足度を左右する。
仕事で何をしたか。この問いは、きれいな理想論ではない。経営者にとっては、商品設計、価格、顧客との関係、発信内容、時間配分のすべてに関わる現実の問いである。
売上のために引き受けた仕事が増えすぎると、事業は回っているように見えても、経営者の気が削られていく。反対に、好きな仕事、得意な仕事、人に喜ばれる仕事へ時間を使えると、同じ労働時間でも疲れ方が変わる。
ここで思い込みを外したい。お金が増えれば、仕事の幸福度も自動的に上がるわけではない。本当は、納得できる仕事に時間を使うことで、仕事の幸福度は上がっていく。お金は、その仕事が人に求められ、続く形になった時に残りやすくなる。
だから、この記事で見直したいのは、年収の高低だけではない。仕事とお金と幸福の関係そのものである。経営者が本当に見るべきものは、売上の数字だけではない。その仕事に、自分の限りある時間を使えてよかったと思えるか。ここに、仕事と成功を考える入口がある。
年収より限りある時間の使い方を見直し働く意味に気づく静かな経営判断
ある程度お金が自由に使えるようになると、幸福の尺度はお金ではなくなる。そこから幸福度に影響を与えるものは、生きがいややりがいである。つまり、どれだけお金を稼いだかではなく、何をしたかだ。
これは、遊びで何をしたかという話だけではない。仕事で何をしたかである。人生の中で、仕事に使う時間は大きい。経営者であれば、勤務時間という区切りさえ曖昧になりやすい。店を閉めても、事務所を出ても、頭の中では商品、顧客、資金、人間関係、次の発信が動き続ける。仕事は人生の外側にあるものではない。仕事は人生のかなり深い場所に入り込んでいる。
だから、幸福になるためには、できる限りやりたいことや好きなことを仕事にする必要がある。これは甘い話ではない。むしろ、人生の時間を真剣に見るほど避けられない話である。毎日続ける仕事が、自分の嫌なことばかりでできていたら、その人の表情も声も少しずつ乾いていく。
お客様の前では笑っていても、仕事が終わった後に何も残らない。そんな働き方を長く続ければ、人生全体の満足度は下がっていく。
人生における成功とは、年収の高さや資産の大きさをいうのではなく、限りある時間をどれだけ満足して生きているかということにある。これは、仕事と成功を考えるうえで大切な基準である。成功とは、他人より大きな会社を作ることだけではない。広い家に住むことだけでもない。もちろん、それを望む人がいてもよい。だが、それだけが成功の形ではない。
本当に問うべきことは、限りある時間を満足して生きたかである。
売上は増えた。だが、この仕事をもっと増やしたいと思えているか。利益は出た。だが、自分の時間をここに使えてよかったと思えているか。顧客は増えた。だが、関係性は深まっているか。紹介は増えた。だが、自分が大切にしたい価値は伝わっているか。
この問いは、経営者にとって少し耳が痛い。数字が出ている時ほど、人は立ち止まりにくいからである。忙しいことを成功だと思い、予定が埋まっていることを安心材料にし、休めないことを必要とされている証拠のように感じてしまう。だが、忙しさが増えても、人生の満足度が上がっていないなら、その働き方は見直す時期に入っている。
多くの人が、仕事をただ生活の糧を得るための方便だと諦めている。そして、毎月もらう給料は我慢料だと自分に言い聞かせている。会社に勤めている人だけの話ではない。経営者でも同じことは起きる。自分で始めた事業なのに、いつの間にか売上が我慢料になっている
断りたい仕事を引き受ける。合わない顧客に合わせ続ける。単価の低い仕事を量で埋める。本当は減らしたい商品を、売上があるから残し続ける。
もちろん、請求書の支払いは必要である。家賃も、仕入れも、税金も、外注費も、人件費も、生活費も必要である。ここを見ない経営は危うい。だが、働くことの本質とは何かを中心に置いておくべきである。そうでないと、人生がお金の奴隷になってしまいかねない。
あなたは、いったい何のために働いているのだろうか。
誰かからの反応や賞賛が欲しいのか。自分のため、自分の理想を満足させるためなのか。顧客が変わっていく姿を見るのが好きなのか。自分の技術が磨かれることに喜びがあるのか。地域や家族や従業員を守るためなのか。あるいは、自分が納得できる生き方を形にするためなのか。
こうしたことを一度考えてみる必要がある。仕事の内容や地位、職歴がどうであれ、最終的には自分の満足のために働いていることを確認しておきたい。ここでいう満足とは、わがままに振る舞うことではない。自分の人生に対して、胸の奥でうなずける状態である。
お金を否定する必要はない。お金は大切である。事業を続けるためにも、家族を守るためにも、自分の選択肢を増やすためにも、お金は必要である。ただし、お金を人生の主人にしないことが大切である。お金は道具であり、仕事を続ける力であり、次の可能性を広げる手段である。主人にしてしまうと、働く理由が狭くなる。
氣の経営では、経営を利益だけで判断しない。経営者の気、顧客との関係、仕事の意味、長く続く仕組みを合わせて見る。売上が増えても経営者の気が荒れていくなら、その仕事はどこかで見直す必要がある。
利益が残っても、顧客との関係が薄くなっていくなら、事業の土台は弱くなる。反対に、強みが生き、顧客に喜ばれ、自分も続けたいと思える仕事は、時間をかけて資産になっていく。
ここで、見方を変えたい。お金が増えれば幸せになるのではない。納得できる仕事に時間を使えるほど、仕事の幸福度は上がっていく。お金はその結果として残る形に近づく。
だから、仕事とお金と幸福の関係を見直す時、最初に見るべきものは通帳だけではない。予定表である。どんな仕事に時間を使っているか。どんな人に気を使っているか。どんな商品を育てているか。そこに人生の向きが出る。
最後に、もう一度確認する。どれだけお金を稼いだかではなく何をしたかだ。仕事で何をしたか。誰に喜ばれたか。自分のどんな力を使ったか。どんな時間を積み重ねたか。そこに、仕事の幸福度と人生の成功が重なっていく。

好きな仕事は続ける力をもたらす

人生の畑でもっとも広い場所に、仕事という作物が育つ。そこに我慢ばかり植えれば疲れが残り、好きなこととやりがいを植えれば、日々の景色が変わる。

好きな仕事は、甘い理想ではない。困難が来ても続けられる力になり、商品を磨き、顧客との関係を深める土台になる。ここでは、好きなことを仕事にする意味を、情熱、継続、仕事の幸福度から掘り下げる。

仕事の幸福を考える時、多くの人は収入や肩書きを先に見る。どれだけ稼げるか。どれだけ安定しているか。どれだけ人から評価されるか。もちろん、それらは仕事を選ぶうえで大切である。
経営者であれば、売上や利益を無視して仕事を語ることはできない。事業は思いだけでは続かない。家賃も、仕入れも、広告費も、生活費も、毎月きちんと現実としてやってくる。
ただ、収入だけで仕事を選ぶと、あるところで心がついてこなくなる。表面上はうまくいっているのに、なぜか力が出ない。売れる商品なのに、磨きたいと思えない。問い合わせが来るのに、返信する手が止まる。お客には感謝しているのに、仕事の予定が入るたびに、身体が先に疲れてしまう。こうした状態は、仕事の幸福度を下げていく。
世の中の多くの人は、「好きなことを仕事にはできない」と考えている。さらに、「世の中、そんなに甘くはない」と自分に言い聞かせる。好きなことで食べていけるのは一部の人だけ。楽しいことは趣味であり、仕事は我慢するもの。そう考えている人は少なくない。
この好きなことを仕事にできないという思い込みは、とても強い。子どもの頃から、大人の仕事は大変なものだと見てきた人もいる。親が疲れた顔で帰ってくる姿を覚えている人もいる。仕事の話になると、苦労話や我慢の話ばかり聞いてきた人もいる。すると、いつの間にか「仕事はつらいもの」「お金は我慢の対価」という考え方が身体に染みていく。
しかし、そんなことはないのだ。嫌々やっている仕事なんて、身が入らないので、上手くいくはずはない。これは、感情論ではなく、仕事の現場で起きる現実である。好きでもない仕事は、最低限をこなすだけになりやすい。改善の発想も出にくい。お客の声を聞いても、次にどう良くするかまで考える気力が湧きにくい。
反対に、好きな仕事には自然と時間を使う。気になることを調べる。道具を見直す。言葉を変える。商品を作り直す。お客からの一言を、次の改善に生かそうとする。誰かに言われなくても、手が動く。少しうまくいかないことがあっても、「では、次はどうするか」と考えられる。
この差は大きい。嫌々やる仕事は身が入らない。これは、仕事の品質にも、発信にも、顧客との関係にも出る。経営者の場合は、さらに分かりやすい。自分の気持ちが入っていない仕事は、文章にも、声にも、商品説明にも出る。本人は隠しているつもりでも、お客はどこかで感じ取る。
この章でいう仕事の幸福度は、好きな仕事を楽に選ぶことではなく、困難があっても納得して続けられる仕事に、自分の時間と力を使えている感覚である。
好きな仕事とは、ただ気分のよい仕事ではない。楽な仕事でもない。いつも褒められる仕事でもない。むしろ、好きな仕事にも面倒なことはある。思ったように売れない時もある。価格を上げる怖さもある。お客に伝わらない悔しさもある。発信しても反応が薄い時もある。
それでも続けられるか。ここが大切である。好きであれば、困難を乗り越えることができるし、継続することができる。好きであればあるほど、その仕事に情熱を注ぐこともできる。つまり、好きな仕事は夢物語ではない。困難が来ても続けられる仕事である。
経営者にとって、続けられる力は大きな資産である。商品を磨き続けられる。顧客の声を聞き続けられる。発信を続けられる。価格を見直す勇気が出る。扱うテーマを深められる。失敗しても、原因を見て次に進める。こうした積み重ねが、やがて信用になる。
仕事のやりがいと幸福は、きれいな言葉だけでは成り立たない。やりがいは、日々の小さな改善に宿る。昨日より伝わる言葉にできた。前より顧客の悩みが分かった。自分の強みを生かせる商品に近づいた。そういう実感が、仕事の幸福度を支えていく。
経営では、派手な成功よりも、長く続く力の方が強い場面が多い。短期間で大きく売れる仕事でも、経営者の気力を削り続けるなら、いずれ形が崩れる。反対に、自分の強みが生き、人に喜ばれ、さらに磨きたいと思える仕事は、時間と共に深くなる。
だから、好きなことを仕事にするとは、わがままを通すことではない。自分の強みが出て、顧客にも必要とされ、続けるほど価値が増す仕事へ、自分の時間を寄せていくことである。ここに、継続できることそのものが強みになる理由がある。
お金を稼ぐことは大事である。だが、稼げるという理由だけで選んだ仕事は、苦しい場面で心が離れやすい。好きで、得意で、求められる仕事は、工夫が続く。工夫が続けば、品質が上がる。品質が上がれば、顧客との関係も深まる。そこに、仕事のやりがいが幸福を支える構造がある。
好きなことを仕事にすることは、甘い願望ではない。経営を長く続けるための、かなり現実的な考え方である。仕事の幸福度を上げたいなら、まず見るべきは「何が儲かるか」だけではない。「何なら続けたいか」「何なら磨きたいか」「何なら人に喜ばれても、自分が乾かないか」である。そこに、好きは事業を続ける現実的な土台として働いていく。



多くの人が、お金を稼ぐには苦労しなければいけない、仕事だから我慢しなければいけない、と思っている。私たちはこの考え方を、かなり早い時期から身につけている。大人の仕事は大変なもの。楽をして稼いではいけない。楽しんで働くのは、どこか不真面目である。そんな空気を、言葉にされなくても受け取ってきた人は多い。
そのため、仕事が楽しいと、どこかで後ろめたさが出る。自分だけ楽をしているように感じる。楽しそうに働いている人を見ると、うらやましさと同時に、少し疑いの目も出る。「あんな働き方で本当に続くのか」「好きなことだけで食べていけるのか」と考える。
この苦労しなければ稼げないという思い込みは、仕事の幸福度を下げる。なぜなら、苦しいことを選んでいるほど、真面目に働いているように見えてしまうからである。気が合わない仕事を抱える。無理な条件でも断らない。合わない顧客に合わせ続ける。休まず働く。そうするほど、自分は頑張っていると思いやすい。
しかし、苦労そのものが価値を生むわけではない。価値を生むのは、顧客の役に立つこと、商品やサービスの質が上がること、信頼が積み上がること、必要とされる仕事を続けることである。苦労は、その過程で起きる場合がある。苦労を目的にしてしまうと、仕事はだんだん細くなる。
楽しく稼ぐことはできないどころか、むしろ真実は楽しい方が稼ぎやすい。これは浮かれた話ではない。楽しい仕事ほど続く。続く仕事ほど工夫が増える。工夫が増えるほど、顧客の変化が見える。顧客の変化が見えるほど、商品は深くなる。商品が深くなれば、価格にも理由が生まれる。
つまり、楽しい方が稼ぎやすいのは、気分がよいからではない。仕事の改善が続きやすいからである。発信にも熱が乗る。説明にも具体性が出る。お客の悩みを聞く時にも、ただ処理するのではなく、次に何を届けるかを考えられる。好きな仕事には、時間をかけることが苦になりにくい。
好きであればあるほど、その仕事に情熱を注ぐことができる。その仕事に最大の情熱を持てれば、かなりの部分は前に進んでいると言ってよい。もちろん、情熱だけで経営は成り立たない。価格設計、集客、商品力、継続の仕組み、顧客との関係も必要である。だが、情熱がない仕事では、それらを改善し続ける力が弱くなる。
人生を成功させる秘訣は、じつはとても簡単である。ただ成功するまで、やり続けられればいい。ここを理解していない人が多く、世の中にはノウハウばかりを求める人が多い。どのようなノウハウよりも重要なことは、続けていくことである。
経営者は、つい方法を探す。新しい集客法、売れる型、反応が取れる言葉、流行の媒体、効率のよい仕組み。もちろん、学ぶことは大切である。だが、自分の気が入らない仕事に、どれだけノウハウを足しても長くは続かない。やることは増える。情報も増える。忙しさも増える。だが、仕事の中心が弱いままだと、判断が散っていく。
本当に大事なのは、成功するまでやり続けられることである。続けるには、好きであることが力になる。得意であることが助けになる。顧客に喜ばれることが支えになる。この三つが重なると、仕事は単なる収入源ではなくなる。自分の人生を使う意味のある場所になる。
だから、好きで楽しむ人には勝てない。これは、気楽に遊んでいる人が強いという意味ではない。楽しんでいる人は、工夫を続ける。人の反応をよく見る。失敗しても学びに変える。新しい方法を試す。疲れても、少し休んでまた戻ってくる。仕事の苦労を、ただの苦痛で終わらせない。
好きで楽しむ人には誰も勝てない。この言葉には、仕事の本質がある。好きな人は、時間の使い方が違う。学ぶ量が違う。見ている細部が違う。小さな変化に気づく。顧客の反応を覚えている。商品を出した後も、そのままにしない。もっと良くできるところを探す。
仕事の相談では、「どんな仕事をしたらいいでしょうか」という問いがよく出る。これは一見、現実的な質問に見える。市場性、収益性、将来性を考えたい気持ちも分かる。だが、本当に大事なことは、どんな仕事が儲かるかだけではない。
大事なことは、どんな仕事で人生を全うしたいかである。いやいや選んだ仕事では、困難に出会った時に乗り越えられずにくじけてしまう。儲かりそうだからという理由だけで始めた仕事も、面倒な局面に入った時に踏みとどまりにくい。価格交渉、顧客対応、発信の停滞、商品改善、資金繰り。経営には、逃げたくなる場面が必ずある。
その時に残るのは、自分がその仕事を好きかどうかである。自分の強みが生きているかどうかである。誰かの役に立っている実感があるかどうかである。ここがあれば、苦しい時にも考える力が戻る。ここがないと、少し反応が落ちただけで、次の儲かりそうなものへ目が向く。
氣の経営では、仕事を数字だけで選ばない。強みを生かし、顧客と共に成長し、長く続く形を選ぶ。拡大を急ぐより、自分の力が自然に出る場所を見極める。短期の売上だけでなく、続けるほど資産になる仕事を見る。ここでいう資産とは、お金だけではない。信用、経験、商品、発信、顧客との関係、自分の判断力も含まれる。
最後に、見方を変えておきたい。苦労するから、お金を稼げるのではない。情熱を注げるから困難を越えられる。困難を越えられる仕事だから、結果として選ばれやすくなる。仕事の幸福度は、苦しさの量で決まらない。自分の力を注げる仕事に、どれだけ時間を使えているかで変わっていく。

【卦象ミニコラム】
働き方を立て直す時
卦象:山風蠱(さんぷうこ)|古い偏りを直す
変化|放置した仕事を見直す

いまは、長く続けてきた働き方の中にある偏りを見る局面である。売上があるからと残してきた仕事、断れず抱えてきた仕事が、気づかぬうちに判断を鈍らせる。山風蠱は、古くなったものを責める卦ではない。手入れの時を知らせる型である。仕事の幸福度を下げているものを見つけ、まず扱い方を変える。

好きと得意を仕事の中心に置く

好きな仕事は、遠くの夢ではない。今ある仕事の中に眠る得意なこと、人に喜ばれることへ時間を戻すと、経営者の毎日は我慢料から生きがいへ変わる。

好きと得意を仕事の中心に置くと、働き方の判断軸が変わる。儲かりそうな仕事だけを追うのではなく、強みが活き、人に喜ばれ、長く続けられる仕事を選ぶことが大切になる。ここでは、今日からできる見直し方を示す。

好きな仕事へ人生を戻すといっても、いきなり仕事を辞める必要はない。今の事業を全部変える必要もない。長く続けてきた仕事、守ってきた顧客、積み上げてきた信用を、勢いで手放す話ではない。
まずやることは、今の仕事の中をよく見ることである。仕事は一つの塊に見えていても、実際にはいくつもの種類に分かれている。
好きな仕事。得意な仕事。お客に喜ばれる仕事。売上はあるが疲れる仕事。単価は高いが気が荒れる仕事。単価は低いが評判がよい仕事。本当は増やしたい仕事。本当は減らしたい仕事。こうして分けてみると、自分がどの仕事に時間を使い、どの仕事で疲れ、どの仕事で力が戻るのかが見えてくる。
今の仕事を分けて見ることは、仕事の幸福度を高める最初の行動である。仕事の幸福度は、収入の多さだけでなく、自分の時間をどんな仕事に使い、どんな相手に価値を届け、どれだけ納得して続けられるかで変わる。
「やりたいことをやっていますか?」
この質問に、すぐ「はい」と答えられる人は、とても幸せな人生を送っている人である。反対に、言葉が止まるなら、そこには見直す余地がある。
やりたいことをしていないから悪い、という話ではない。これまで生活を守るために必要な選択をしてきた人は多い。事業を続けるために、目の前の仕事を受けてきた人も多い。家族や従業員や取引先を守るために、自分の好みを後ろへ置いてきた人もいる。
ただ、その状態をずっと続けると、仕事は少しずつ我慢料に近づいていく。自分で選んだはずの事業なのに、予定表を見るたびに肩が固くなる。顧客から連絡が来るたびに、少し身構える。売上はあるのに、仕事の後に気持ちが乾く。こうした感覚は、仕事とお金と幸福の関係を見直す合図である。
経営者なら、問いをもう少し具体的にした方がよい。どの商品なら、もっと磨きたいと思えるか。どの顧客と関わると、声に力が戻るか。どの仕事なら、学ぶことが苦にならないか。どの仕事の後に、身体が荒れないか。どの発信なら、自分の言葉として自然に出るか。どの相談なら、時間を忘れて考えられるか。
この問いを持つと、好きなことを仕事にするという言葉が、ただの夢ではなくなる。好きなことを仕事にするとは、気分だけで仕事を選ぶことではない。好きと得意と求められることが重なる場所を見ることである。
好きでも、人に求められていなければ商売になりにくい。得意でも、自分が苦しくなるだけなら長く続けにくい。求められていても、そこに自分の強みが出ていなければ、価格競争に巻き込まれやすい。
大切なのは、この三つの重なりである。自分が続けたい。人より自然にできる。お客が喜ぶ。この場所は、仕事の幸福度を上げるだけではなく、事業の土台にもなる。なぜなら、続けるほど経験が深まり、言葉が育ち、商品が磨かれ、顧客との関係も強くなるからである。
一方で、儲かりそうな仕事だけで選ぶと、途中で苦しくなりやすい。よく、この仕事は儲かりそうだと始める人がいるが、それだと、かなりの確率で失敗することになる。儲かる市場は魅力的に見える。流行している分野、単価の高い分野、人が集まっている分野を見ると、自分もそこへ行くべきだと思いやすい。
だが、儲かりそうだけで選ばないことは、経営者にとってかなり大切である。自分の気が入らない仕事は、発信が弱くなる。商品改善も続かない。顧客理解も浅くなる。苦しい場面で踏みとどまりにくい。売れる型だけを真似しても、自分の言葉が乗らなければ、読者にも顧客にも伝わりにくい。
もちろん、利益を見なくてよいという話ではない。好きな仕事であっても、価格設計が弱ければ続かない。求められる人に届かなければ、ただの自己満足になる。だからこそ、好きだけで走らない。お金だけで選ばない。自分の強み、顧客の困りごと、続けるほど資産になるか、気力を削りすぎないか、長く扱えるテーマかを合わせて見る。
氣の経営では、拡大を急がない。強みに特化する。顧客と共に成長する。売上増より資産増を見る。長期目線で人生を経営する。これは、仕事を小さくするための考え方ではない。経営者の人生を壊さず、顧客との関係を深め、長く続く事業へ育てるための考え方である。
今日できることは、難しくない。今ある仕事を、続けたい仕事、減らしたい仕事、育てたい仕事に分けることである。ここで正解を出そうとしなくてよい。まず、自分の本音に近い分類をする。続けたい仕事は、なぜ続けたいのかを書く。減らしたい仕事は、何が苦しいのかを書く。育てたい仕事は、誰に届けたいのかを書く。
この作業をすると、仕事の見え方が変わる。今まで一つの塊に見えていた事業の中に、未来へ残したい部分と、条件を変えたい部分が見えてくる。そこから、続けたい仕事を中心に戻す準備が始まる。
好きと得意を仕事の中心に置き納得できる働き方へ向かう前向きな仕事風景
働き方を見直す時、自分の性格や努力不足だけを責める必要はない。人がどのように働くかは、個人の意思だけで決まるものではない。
社会の仕組み、会社の制度、税金の仕組み、業界の常識、親世代から受け取った価値観、世間体。そうしたものが、知らないうちに仕事の選び方へ影響している。
現在の日本は、資本主義の社会である。資本主義の世の中は、資本家と労働者で成り立つ世界だ。少し古い表現に聞こえるが、仕事とお金と幸福の関係を考える時、この構造を外して見ることはできない。誰もが好きなことをして、お金を稼ぐことを目指したら、今の社会の形は大きく変わる。だから社会には、誰かにとって都合のよい働き方が生まれやすい。
世の中というのは、誰かにとって都合がいいように作られている。そして、その意図は大抵の場合、見えにくい場所にある。ここで誰かを悪者にする必要はない。大切なのは、今ある常識をそのまま受け入れるのではなく、誰にとって都合がいい働き方かを見ることである。
たとえば、最も税金を取りやすいのがサラリーマンである。国は、会社が給料から税金を差し引き、納めてくれる仕組みを持っている。手間がかからない。制度として管理しやすい。だから、社会は勤める働き方を前提に作られやすい。
もちろん、会社に勤める働き方を否定する話ではない。会社の中で力を発揮する人もいる。組織に守られて働くことで、安心して能力を伸ばせる人もいる。家業を継ぐ人もいれば、勤めながら自分の仕事を育てる人もいる。どの働き方が上で、どの働き方が下という話ではない。
ただ、自分の働き方が誰の都合で作られているかは、一度見る必要がある。経営者の場合も同じである。独立しているから自由とは限らない。自分で事業をしていても、業界の常識に縛られている場合がある。
昔決めた価格に縛られている場合がある。断れない顧客に縛られている場合がある。売上がある商品に縛られて、本当に育てたい仕事を後回しにしている場合もある。
今の価格は、自分で決めたものか。今の顧客層は、自分の強みに合っているか。今の忙しさは、事業と人生を豊かにしているか。今の売上構成は、経営者の暮らしを守っているか。今の発信は、自分の本音から離れていないか。
この問いに答えると、仕事の幸福度は現実的な経営課題になる。単なる気分の問題ではない。価格、商品、顧客、時間配分、発信、仕組みの問題である。お金のためだけに働くことに疲れた時は、気合いを入れ直す前に、仕事の構造を見る方がよい。気持ちだけを変えようとしても、仕組みが同じなら同じ疲れ方をする。
今の状況を疑って掛かることは重要である。世の中のすべての物事は、誰かが何らかの意図をもって行われた結果だからだ。その意図が自分にとって都合がよければよい。そうでない場合には、その流れから外れてみることが必要である。
この「外れる」は、反抗することではない。乱暴に壊すことでもない。自分の頭で見直すことである。まずは、真実の姿を自分の頭を使って考えてみることだ。これをしない限り、真実は見えてこない。誰かがそれをやってくれることはない。
仕事でも同じである。世の中で良いとされる働き方が、自分に合うとは限らない。忙しいことが成功とは限らない。人を増やすことが成長とは限らない。売上を伸ばすことが幸福とは限らない。高単価の商品が、自分の人生を豊かにするとも限らない。ここを見ずに進むと、経営は大きくなっても、経営者の中身が置き去りになる。
だから、自分の頭で仕事を見直すことが必要である。氣の経営で見るなら、天は世の中の流れである。地は、商品、価格、時間、仕組みである。人は、経営者の姿勢である。この三つが合っていないと、無理が増える。
時代の流れに合わない商品を、弱い仕組みで、自分の本音を押し殺して売り続ける。これでは、どれだけ頑張っても疲れやすい。
反対に、世の中の流れを読み、自分の強みが出る商品へ寄せ、顧客との関係を深め、自分が納得できる姿勢で続けるなら、仕事は変わっていく。急に大きな成果が出るという話ではない。
日々の判断が変わる。断る仕事が見える。価格を見直す理由が見える。発信する言葉が変わる。育てたい商品に時間を使えるようになる。
今日やることは、仕事を三つに分けることである。続けたい仕事。減らしたい仕事。育てたい仕事。この三つを書き出す。続けたい仕事は、今より少し時間を増やす。減らしたい仕事は、条件を変える。価格を上げる、受付数を減らす、対象者を変える、やめる時期を決める。育てたい仕事は、発信、商品化、価格設計、内部リンク、メルマガ導線のどこから始めるかを決める。
小さくてもよい。来月の予定表から、減らしたい仕事を一つ減らす。育てたい仕事に使う時間を一枠作る。続けたい仕事について、なぜ自分はこれを大事にしたいのかを文章にする。これだけでも、働き方の向きは変わり始める。
社会の常識に合わせれば安心して働ける、と思う人は多い。たしかに、一定の安心はある。だが、社会の常識に合わせすぎると、自分の人生の時間が見えなくなる。誰かにとって都合のよい働き方が、自分にとって幸福な働き方とは限らない
最後に戻る。どれだけお金を稼いだかではなく、何をしたかだ。仕事で何をしたか。誰に喜ばれたか。自分のどんな力を使ったか。どんな時間を積み重ねたか。そこに、仕事の幸福度と人生の成功が重なっていく。
仕事の幸福度は、お金だけでは決まらない。限りある時間を、どんな仕事に使うかで決まる。その時間を、自分の好きなこと、得意なこと、人に喜ばれることへ戻すことが、経営者の人生と事業を立て直す入口になる。



読者からのよくある質問とその答え

Q. 仕事の幸福度は年収で決まりますか?

A. 仕事の幸福度は年収だけでは決まらない。お金は暮らしの安心を支えるが、満足は時間の使い方、やりがい、納得感にも左右される。売上が増えても疲れが残るなら、仕事の向きがずれている合図だ。まずは今週の予定を見て、続けたい仕事を一つ書き出す。

Q. 好きなことを仕事にすると収入が不安定になりますか?

A. 不安定になるとは限らない。好きな仕事は続ける力になり、工夫や改善が積み上がりやすいからだ。ただし、好きだけで走ると商売は細くなる。得意で喜ばれた仕事を見つけ、価格や届け方を整えながら、まず一つ育てる。気持ちが続く形から始めると、気の流れも保ちやすい。

Q. お金のためだけに働くのが苦しい時は何から見直せばいいですか?

A. まず仕事の中身を分けることだ。お金のためだけに働く状態は、気の流れを弱め、判断を鈍らせやすい。無理に前向きになるより、今抱えている仕事を見える形にする。まずは続けたい仕事、減らしたい仕事、育てたい仕事を書き出し、扱いを小さく変える。

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【仕事運をよくする行動】:仕事の抱え方を直す
1.予定表に印を付ける
今週の予定表を見て、続けたい仕事、減らしたい仕事、育てたい仕事に分ける。色や記号で分けると、仕事の偏りがすぐ見える。売上ではなく、気が残る仕事と消耗する仕事を見分ける。
2.条件を変える仕事を選ぶ
減らしたい仕事の中から、条件を変えたい仕事を選ぶ。価格を上げる、受付数を減らす、対象者を絞る、納期を変えるなど、実務で変えられる形にする。いきなりやめず、扱い方から変えるのがよい。
3.育てたい仕事の言葉を書く
育てたい仕事について、誰に何を届けたいのかを書き出す。商品名、相談内容、発信の題材、メルマガ導線のどれに使えるかを見る。好きと得意が活きる仕事は、言葉にした時から育ち始める。

『仕事の幸福度は、お金の多さではなく、限りある時間を何に使ったかで決まる。好きと得意を仕事の中心に置く時、働くことは我慢料ではなく、人生を満たす力になる。』

(内田 游雲)

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内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトの「運の研究-経営とお金が巡る仕組みの研究所-」は、氣の経営と運をテーマにしている。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。

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