縁と人間関係

運は人を通してやってくる。良縁を招き、不要な縁を静かに手放す。そのために大切なのは、自分の在り方を見直すこと。言葉、距離感、違和感との向き合い方。人間関係の中に流れる運のサインに気づくための言葉。

褒めて伸ばすには先に認めること

出来たら賞めるのではなく賞めてできるようにさせる|筆文字書作品
人は、できたから自信を持つのではない。先に認められ、褒められたとき、自分の中に小さな力を見つける。褒めて伸ばすとは、結果を待つことではなく、相手が動き出せる言葉を先に渡すことだ。できるまで黙って待つより、今ある良さを見つけて伝える。その一言が、心を前へ押す。愛も信頼も、言葉にしなければ届かない。(内田 游雲)

人は賞められて芽を出す
できた後の花を待つな

先に光を当てるのだ
まだ小さな種のうちに

言葉は水より早く届く
胸の奥で春が起きる

認められた人の足は
昨日より前へ向く

賞めることは愛の入口
人を動かす最初の朝

賞めるとは、結果が出た人に与えるご褒美ではなく、相手が動き出すための入口である。人は、認められていると感じたとき、自分の中にある力を信じやすくなる。

反対に、できるまで何も言われなければ、自信を持つ前に心がしぼむ。だから、賞める順番が大切になる。

出来たら賞めるのでは遅い。まだ完成していない段階で、すでにある良さ、向かおうとしている姿勢、小さな変化を言葉にする。

その一言が、相手の背中を押す。賞めることは甘やかしではない。人の力を先に見つけて、本人がそれに気づけるようにする働きかけである。

言葉が先に届くから、人はその言葉に近づいていく。

人を伸ばす社長は結果を待たない

人は、成果を出したあとにだけ認められると、だんだん動きにくくなる。職場でも家庭でも同じだ。「ちゃんとできたら褒めよう」と思っているうちに、相手は何を見てもらえているのか分からなくなる。

すると、行動より先に不安が出る。声をかけられない部下は、確認ばかり増える。認められない家族は、素直に頼れなくなる。

近い関係ほど「分かっているはず」が増え、言葉が減る。ここから小さなすれ違いが始まる。

褒めて伸ばすとは、結果を待つのではなく、相手が動き出せる材料を先に言葉で渡すことである。

立派な成果を探す必要はない。「昨日より早く準備できたね」「その確認は助かる」「お客様への言い方がよかった」。これくらいでいい。

大げさな称賛より、見ていた事実をひとつ伝えるほうが効く。人は、自分の良さを自分だけでは見つけにくい。

だから、先に見つけて言葉にしてくれる人がいると、胸の中に小さな火がつく。

経営でも、これはとても大切である。小さな会社では、社長の言葉がそのまま場の空気になる。

社長が不足ばかりを見ると、社員は失敗を隠す。社長が小さな変化を先に拾うと、社員は自分から動きやすくなる。

これは甘やかすことではない。むしろ、相手の中にある力を早めに見つけ、仕事の流れに乗せる技術である。

氣の経営で見るなら、賞める言葉は人の気を消耗させないための配慮である。叱る言葉ばかりの場では、肩に力が入り、声が硬くなり、目線が下がる。

すると判断も遅くなる。反対に、先に認める言葉がある場では、呼吸が戻り、相談が増え、仕事の流れがよくなる。

良い言葉は、精神論ではない。現場の動きを変える具体的な経営資源である。

ただし、何でも褒めればいいわけではない。見ていないことを褒めると、言葉が薄くなる。

大事なのは、事実を見て賞めることだ。努力ではなく行動を見る。性格ではなく工夫を見る。結果だけでなく、途中の変化を見る。

「売上が上がってすごい」だけではなく、「あの提案の順番がよかった」と言う。すると相手は、何を続ければいいのか分かる。

身近な人ほど、感謝や賞め言葉は後回しになりやすい。夫婦でも、親子でも、社員との関係でも、「言わなくても分かる」はなかなか通じない。

言葉にしない愛情は、相手には届きにくい。だから、今日から先に一つだけ賞める。できたところではなく、できるようになりつつあるところを見る。

そこに信頼が先に生まれる。人は、先に信じられた分だけ、自分を信じる力を取り戻す。

経営者の仕事は、人を動かすことではない。人が動きやすい場を作ることだ。賞める言葉は、その入口になる。

会議の前、朝の挨拶、仕事の確認、家庭の何気ない会話。その一言で、相手の表情が変わる。表情が変われば、場の気も変わる。

まず賞める。そこから、人も仕事も動き始める。



【卦象ミニコラム】
先に与えて人を育てる局面
卦象:風雷益(ふうらいえき)|先に与える
変化|与える順番を変える

人が動き出す場では、成果を待つ前に何を差し出すかが問われる。ここで起きやすいズレは、相手が変わってから言葉をかけようとすることだ。風雷益は、先に与えることで全体の力が増す型である。賞める言葉は、相手を持ち上げるだけの飾りではない。まだ形にならない意欲や工夫に水を注ぎ、次の動きを助けるものだ。まず自分から差し出す位置へ戻る。

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【先にひとつ褒めて伝える】
今日会うスタッフや家族の中から一人を選び、結果ではなく途中の行動を一つだけ見つけて言葉にする。「あの確認が助かった」「言い方が丁寧だった」のように、見た事実を短く伝えると、相手は何を続ければいいか分かり、次の動きが出やすくなる。

人は、できたから自信を持つのではない。先に認められたから、自分の力を信じ始める。褒める言葉は、人を動かす命令ではなく、眠っていた力を目覚めさせる合図である。

【運を開く言葉】
書:瑞雪 文:游雲

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profile:
内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトの「運の研究-経営とお金が巡る仕組みの研究所-」は、氣の経営と運をテーマにしている。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。

profile:
瑞雪(ずいせつ)

書家。新潟県村上市に生まれる。幼い頃より書に親しみ、18歳で書家を志し、大東文化大学文学部中国文学科で青山杉雨氏に師事。卒業後 ㈱ブリヂストンに就職するも6年後に退職し、独自の創作活動を開始する。人生の法則を力強く書いたその書は、多くの人に生きる力と幸運をもたらすと評判である。雅号の瑞雪は、吉兆をもたらす雪を意味している。

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