「チャンスさえ来れば、人生が一気に変わる」
そんな言葉に心を奪われた経験がある人は少なくない。
とくに、50代を迎えた経営者やこれから何かを始めたい人にとって、
「今こそ人生を巻き返したい」
という想いは切実だろう。
でも、現実のチャンスはテレビドラマのように華やかではない。
スポットライトの下に突然現れて、すべてを変えてくれる“完璧なタイミング”なんて、ほとんど存在しない。
実際のチャンスはもっと地味で、不完全で、気づかずに通り過ぎてしまうような姿をしている。
チャンスとは、階段の一段目のようなものだ。
それを踏み出せば次が見える。
でも、その段を登らなければ、風景は何も変わらない。
しかもその一歩は、派手な演出もなければ、大きな成功の確約もない。
むしろ不安と迷いがつきものだ。
一発逆転を夢見て立ち止まるより、不完全なチャンスを受け入れて動いた人のほうが、気づけば何段も上にいる。
それは“流れ”の中で動いた人の特権だ。
チャンスを
「完成品」
だと思っていると、
「これじゃない」
と見送ってしまう。
でも本当のチャンスは、こちら側の選択によって育っていく素材のようなもの。
そこに気づけば、これまで見逃していた出来事や出会いが、すべて意味を持ち始める。
大切なのは、完璧なチャンスを待つことではなく、目の前にある“そこそこ”のチャンスに、どう向き合うかだ。
ちょっとした誘い、ふとした違和感、小さなタイミング。
それらにちゃんと反応する感性が、人生を少しずつ動かしていく。
チャンスとは、運の転換点。
風が変わった瞬間に帆を張れる人が、次のステージへ進んでいける。
そして、その流れに乗るために必要なのは、派手な勇気ではなく、日々の中で選び取る小さな一歩の積み重ねだ。
【運を開く言葉】
書：瑞雪 文：游雲
