思考のクセ

思考のクセは、感情ではなく解釈の癖として現れる。比較、決めつけ、先読み不安、過剰な自責。事実と解釈を切り分け、見方を組み替えて判断を戻す場所だ。頭の中の独り相撲をやめ、今日の選択を軽くする。

経営判断を狂わせる常識の正体

常識や社会通念は必ずしも事実とは限らない|筆文字書作品
生きづらさや迷いが深くなる時、人は現実に負けているのではない。常識や社会通念を事実そのものだと受け入れ、思い込みを判断の基準にしてしまっているだけである。だから流れを変える入口は、世間に合わせて無理を重ねることではなく、常識と事実の違いを見直すことにある。(内田 游雲)

人はみな
世間の声を灯りにして歩く

だがその灯りは
しばしば霧を照らしている

ほんとうは遠くにあるのに
近いものだけを真実と呼ぶ

そのために心は迷い
手は誤った戸をたたく

まず疑うべきは
胸に住みついた常識である

常識や社会通念は、多くの人が信じているというだけで、真実を保証するものではない。人はしばしば、世の中の空気や周囲の当たり前を、そのまま事実だと思い込んでしまう。

すると、本当は別の見方ができる場面でも、自分で自分の可能性を狭め、判断まで曇らせてしまう。だから必要なのは、現実を嘆くことではなく、自分が正しいと思い込んでいる前提を見直すことである。

苦しさの原因が現実そのものではなく、受け入れてきた常識にあることは少なくない。

経営判断を曇らせる思い込み

常識や社会通念を、そのまま現実の地図として使っていると、人生でも仕事でも少しずつ道を外しやすくなる。周りがそう言うから正しい。昔からそうだから安全。みんながやっているから外さない。

そうした基準で選び続けると、本当はもう合わなくなっているやり方まで手放せなくなる。表面では無難に見えても、内側では違和感が積もり、言葉が鈍り、動きが重くなる。

常識とは、多くの人が繰り返し信じている考えであって、事実そのものではない。

ここを取り違えると、必要のない遠慮を抱えたり、売らなければいけない場面で引いたり、自分の価値を小さく見積もったりする。人間関係でも、嫌われないことを優先しすぎて本音が言えず、あとで苦しくなる。

仕事でも、価格は安いほうが喜ばれる、有名でなければ選ばれない、忙しく見えないと不安になる、そんな思い込みが判断に入り込み、本来の強みまで曇らせる。

経営になると、このずれはもっとはっきり出る。必要のない値下げをする。流行の集客法を追いかける。自分に向かない発信を無理に続ける。

すると売上だけでなく、声の温度や表情まで変わってくる。お客もそれを感じ取るから、提案が通りにくくなり、紹介も生まれにくい。つまり狂うのは数字の前に、まず経営判断の軸である。

氣の経営で大事なのは、外の空気に振り回されず、足元の現実と自分の感覚を確かめることにある。世間の正解を追うほど、気は散りやすい。

反対に、いま自分の商いで何が起きているかを丁寧に見ると、要らない力みが減る。誰に喜ばれているのか。どこで無理が出ているのか。何をすると腹の底から納得できるのか。

そこを見直すと、曖昧な不安より先に具体的な修正点が見えてくる。すると減るのは迷いだけではない。毎日の気の消耗も目に見えて変わる。

世の中の声は参考にはなるが、答えそのものではない。必要なのは、よく知られた話をうのみにすることではなく、いま自分の目の前で起きている事実を拾い直すことだ。

思い込みを一つ外すだけで、選ぶ言葉も、付き合う相手も、商いの進め方も変わる。流れが変わる時は、たいてい大げさな改革ではなく、当たり前だと思っていた前提を疑えたところから始まる。



【卦象ミニコラム】
見えているつもりの時
卦象:離為火(りいか)|明るさの中で見分ける
変化|見えている前提を疑う

いまは、周りに広く知られた考えほど、確かなものに見えやすい局面である。けれど、その明るさに安心しすぎると、ほんとうに確かめるべき事実まで見たつもりになりやすい。離為火は、明るければ十分という卦ではなく、照らされたものをきちんと見分ける力を問う。世間で通っている話に乗るほど判断が鈍る時は、力が足りないのではなく、見ている前提がずれていることが多い。今日は答えを急いで足すより、当然と思っている基準を引いてみる向きで進めることだ。

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【前提と事実を書き分ける】
いま迷っている判断を一つだけ選び、手帳かメモに「自分が当たり前だと思っている前提」を一行、その下に「実際に見た事実」を書き分けてみる。

世の中で当たり前とされることが、あなたにとっての真実とは限らない。流れが変わる時は、外の声を追いかけた時ではなく、自分の目で事実を見直した時である。

【運を開く言葉】
書:瑞雪 文:游雲

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profile:
内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトの「運の研究-経営とお金が巡る仕組みの研究所-」は、氣の経営と運をテーマにしている。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。

profile:
瑞雪(ずいせつ)

書家。新潟県村上市に生まれる。幼い頃より書に親しみ、18歳で書家を志し、大東文化大学文学部中国文学科で青山杉雨氏に師事。卒業後 ㈱ブリヂストンに就職するも6年後に退職し、独自の創作活動を開始する。人生の法則を力強く書いたその書は、多くの人に生きる力と幸運をもたらすと評判である。雅号の瑞雪は、吉兆をもたらす雪を意味している。

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