言葉が相手に伝わらない理由
私たちは、日本人であれば言葉が、相手に必ず伝わると思い込んでいる。日本語を誰もが当たり前のように使い、自由に操っているように思っているが、現実には、言葉で表現できることは完全ではないのだ。だから、相手に何かを伝えることは、とても難しいという前提をまず忘れてはいけない。(内田游雲)
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内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。小規模事業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを専門に行い、30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトの「運の研究-洩天機-」は、運をテーマにしている。他にも、この世界の法則や社会の仕組みを理解し経営を考える「気の経営」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)
伝わらないのは言葉の限界
私たち日本人は、ほぼ全員が日本語という単一言語を話す。
だから、日本人であれば言葉が、相手に必ず伝わると思い込んでいる。
日本語を誰もが当たり前のように使い、自由に操っているように思っているが、現実には、言葉で表現できることは完全ではないのだ。
たとえば、自分の手を見てみる。
一日に何回も見る自分の手だ。
それを言葉で表現してみればいい。
どれだけ正確に伝えられるだろうか?
実際には、30%も伝えられない。
なぜなら言葉には限界があるからだ。
自分が毎日見ている手ですら、正確に伝えられないのが人間の言語能力なのである。
そもそも日常会話は、
「少ない言葉」
「限られた単語」
「同じような表現」
こうした繰り返しだ。
私たちは、多くの言葉を使っているようでいて、そのじつ、ほとんど同じような言葉ばかり使っている。
だから、自分では一生懸命話して 話が通じているつもりであっても、相手には伝わりようが無いのである。
受け取る側にも問題がある
しかも、今度は、話す相手側の受け取る能力の問題もある。
言葉の理解は、その人のこれまで生きてきた
「経験や知識」
「おかれた環境」
「趣味嗜好」
こうしたものの上で自分勝手に解釈している。
耳で聞いた内容を、誰しも正確に理解できていないのだ。
例えば50%しかない表現能力の言葉を50%しかない理解力で聞いて受け取ると、伝わるのはたったの25%になる。
つまり、話していることの1/4しか伝わっていないのが、私たちの会話なのである。
言葉を大事にしていない
その上、私たちは、言葉をぞんざいに扱っている。
理解しないのは、聞き手の頭が悪いから。
そう、勝手に思い込んで、同じことを何度も繰り返したり、言い方を変えて何度も繰り返す。
そして、ますます混乱させているのだ。
相手が理解できないのは 話す側の問題である。
相手に、何かを伝えたければ、相手の環境や状況を考え、言葉をしっかりと選んで 理解できるように伝えることだ。ただ、言葉を多くすれば 良いのではない。
常日頃から、一つ一つの言葉を吟味し 大事に使っていくことだ。
相手に何かを伝えることは、とても難しいという前提をまず忘れてはいけないのである。
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