経営者にお金と投資の知識が必要な理由|自己投資から資産形成へ
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人生にお金と投資の知識が必要な理由は、働くだけでは差が開きやすい時代だからである。問題は、稼ぎ方より使い方で未来が分かれることにある。資本主義の構造を知り、投資と消費を見分け、自己投資から資産形成へ進むことが対応になる。今日はまず、お金の置き場を三つに分けて見直すことから始める。
経営者にお金の知識が必要な理由
汗で稼ぐ力だけを信じる時代は終わった。雨の日に傘が要るように、お金の知識は人生と経営を守る備えであり、知らないまま走るほど未来の不安は大きくなる。
お金の知識が必要な理由は、単に節約や貯蓄のためではない。働いて得るお金と、持つことで増えるお金の違いを知ると、なぜ真面目に働くだけでは不安が消えにくいのかが見えてくる。まずは時代の流れと、経営者ほど判断軸が要る理由をつかむ。
これから先の時代、お金の知識が必要な理由はますますはっきりしてくる。まじめに働き、目の前の仕事をきちんとこなし、求められた役割を果たす。それでも不安が薄くならない人が多いのは、努力が足りないからではない。
社会の仕組みそのものに、働いて得るお金だけでは追いつきにくい流れがあるからだ。
そのことを考えるうえで避けて通れないのが、トマ・ピケティが示した資本収益率(r)>経済成長率(g)という考え方である。少し硬く見えるが、言いたいことは難しくない。
人が汗をかいて得る賃金の伸びよりも、すでに持っているお金が増えていく力のほうが、大きくなりやすいということだ。つまり、労働だけで前へ進もうとする人と、資産にも働いてもらう人とでは、時間がたつほど差が出やすい。
ここで知っておきたいのは、お金の知識とは、稼ぐことだけでなく、守る・使う・増やすを判断する力である。この感覚がないまま走り続けると、売上はあるのに手元に残らない、忙しいのに気持ちが休まらない、そんな状態に入りやすい。
とくに経営者は、自分の生活費だけでなく、事業のお金、人との関係、お客様への提供、これら全部に判断を下す立場にいる。だからこそ、金融リテラシーは教養ではなく実務になる。
男性の経営者であれば、背負っている責任の重さから、稼がなければならないという意識が強くなりやすい。その一方で、女性の経営者は、無理をしてでも場を保とうとしたり、自分のためにお金を使うことへ遠慮が出たりしやすい。
形は違っても、どちらにも共通するのは、判断の基準が曖昧なまま頑張ると消耗が大きくなることだ。投資の知識が必要なのは、お金を増やすためだけではない。将来をいたずらに怖がらずに、今日の判断を少し楽にするためでもある。
多くの人がつまずくのは、ここから先だと思う。お金の話になると、どこかで「自分には縁がない」「投資はお金持ちの話だ」「数字に強い人だけが扱えるものだ」と感じてしまう。
けれど、その思い込みを抱えたままでは、時代の流れに対して丸腰になりやすい。今の社会では、お金がお金を生む性質を知らないこと自体が、少しずつ不利につながるからだ。
お金には、時間とともに自ら増えようとする面がある。もちろん放っておけば何でも増える、という話ではない。ただ、価値のある形で長く持ち、上手に働いてもらう発想を持つかどうかで、その後の景色はかなり変わる。
だから、普通の人ほどお金の知識を避けないほうがいい。派手な勝負をするためではなく、生活と経営を守る備えとして必要になるからだ。
経営者は、売上を作ることには意識が向きやすい。けれど、本当に差が出るのは、売上を立てたあとにどう扱うかである。
入ってきたお金をその場の空気で流してしまう人と、意味のある行き先を決めている人とでは、数年後に残るものが違ってくる。見栄や安心感のために使ったつもりのお金が、実は不安を増やしていることもある。逆に、学びや仕組みに使ったお金が、あとから大きな余裕を連れてくることもある。
ここで少し気が楽になる見方がある。投資は、一部の特別な人の趣味ではない。むしろ、働いて得たお金を消えやすい形のまま終わらせないための知恵である。
知らなかったことまで責める必要はない。ただ、これから知るかどうかで流れは変わる。お金の不安は、残高の少なさだけで生まれるのではない。
何に使い、何を残し、何を増やすかの基準がないときに大きくなりやすい。だからまず必要なのは、頑張りを増やすことではなく、お金の使い方を見る目を持つことだ。差が開く入口は、稼ぎ方だけでなく、使い方にもある。
投資と消費の違いで人生の差が開く
同じ一万円でも、流す先で明日が変わる。消えていく消費に使うか、価値を生む投資に回すかで、お金はただの紙から人生を支える味方へ変わっていく。
同じ金額でも、使い道が変わると未来の残り方は大きく変わる。ここでは投資と消費の違いを整理しながら、お金が減りやすい使い方と、価値が育ちやすい使い方を見分けていく。自己投資がなぜ最初の一歩になるのかも、具体例を交えて理解できる。
お金の使い方がその後の人生を大きく分けるからでもある、ということが、お金の知識が必要な理由の一つである。どれだけ一生懸命に働いても、入ってきたお金が次々と消えていく流れに乗ってしまえば、安心はなかなか育たない。
反対に、同じ金額でも行き先が変わるだけで、未来の余裕は少しずつ形になっていく。差が出るのは年収だけではない。使ったあとに何が残るかで、暮らしも経営も変わっていく。
ここで土台になるのが、投資と消費の違いを見分ける感覚である。投資とは、払ったお金よりも大きな価値があとに残る使い方である。
この感覚で見ると、お金はただ出ていくものではなく、未来に何を残すかを決める道具になる。一方で、使った瞬間に価値が減っていくもの、なくなっていくものは消費に近い。
どちらが善でどちらが悪という話ではない。ただ、性質が違う。その違いを知らないまま動くと、気づかないうちにお金が減る方向ばかり選びやすくなる。
たとえば、外車を買うことも、豪華な食事を楽しむことも、それ自体が悪いわけではない。車や家のように維持費がかかるものも、生活や喜びに必要な場面はある。
ただし、そこに使ったお金は、基本的には価値が減る方向へ動きやすい。つまり、性質としては消費に入る。
ここを曖昧にしたまま「これは必要経費だから」「頑張っている自分へのご褒美だから」と重ねていくと、せっかく稼いだお金が思った以上に残らない。
経営者はとくに、この線引きがぼやけやすい。見た目を整えるための出費、人づきあいのための食事、場に合わせるための買い物。どれも一理あるが、積み重なると手元の余力を削っていく。
女性であれば、家族やスタッフのためにと気前よく使い、自分の学びや余白を後回しにしやすいことがある。男性であれば、体裁や勢いを保つために、気づかぬうちに見栄の消費が増えることがある。
形は違っても共通するのは、価値が増える使い方と価値が減る使い方を分けて見ないと、お金の流れが弱りやすいということだ。
では、何にお金を使えば流れは変わるのか。ここで大切になるのが自己投資である。投資と聞くと、すぐに金融商品や不動産を思い浮かべる人も多いが、最初に見るべきなのはそこではない。
まだ元手が大きくない段階で、いちばん伸びしろが大きいのは、自分の知識や技術や判断力を育てる使い方だからだ。お金を増やす前に、自分の価値を増やす。この順番を持っている人は、あとでお金の扱いも安定しやすい。
本を読む。講座に出る。信頼できる人から学ぶ。メンターを得る。伝え方を磨く。商品設計を学ぶ。営業や発信の力を育てる。
こうしたものは、払ったお金がその場で消えるように見えて、あとから仕事の質や収入の形で戻りやすい。実際、10万円の学びから100万円以上の価値が返ってくることは珍しくない。
学んだ内容を少し実践しただけで、商品が売れやすくなったり、紹介が増えたり、迷いが減って動きが早くなったりするからだ。だから最初のうちは、何に投資すべきかを探し回るより、学びにお金を使う感覚を持ったほうがいい。
ここで気をつけたいのは、自己投資のつもりが、ただの気分の消費になっていないかという点である。たくさん学べばそれで安心、ではない。
自分の仕事に返ってくるか、自分の判断が変わるか、未来の収入や余裕につながるか。この視点があると、自己投資はぐっと強くなる。
講座を受けるなら、何を改善するためかをはっきりさせる。本を読むなら、読んだあと何を試すかまで決める。ここまで入って、はじめてお金の使い方が未来へつながる。
見落としやすいのは、投資は派手なものほど強いわけではないということだ。むしろ、いちばん利回りが高いのは、自分の仕事の精度を上げる地味な学びだったりする。
売上を増やす言葉、利益を残す設計、関係が続く接客。こういうものは目立たないが、長く効く。つまり、最初の投資先は自分自身なのである。
お金は使った瞬間に性格が出る。消えていく喜びに流すのか、あとから増える価値へ向けるのか。その選び方が、人生の安心と経営の余白を少しずつ分けていく。
【卦象ミニコラム】
先に貯める局面
卦象:山天大畜(さんてんたいちく)|貯めてから動く
変化|先に減らし、芯を育てる
いまは、増やしたい気持ちより先に、持ち方と配分を見直す局面である。こういう時は、知れば安心できるはずなのに、学ぶ前に使い、残す前に広げ、結局また不安に戻りやすい。山天大畜の一言は、力を外へ散らさず内に蓄えよ、である。勢いが足りないのではなく、先に蓄える場所が決まっていないだけのことが多い。お金の知識も同じで、集めるより、何を残し何を育てるかで効き方が変わる。今日は前へ押すより、出しすぎを受け止め、芯に残す向きで扱うほうがいい。
自己投資から資産形成へ進む
最初に育てるべき資産は、自分の知識と技術である。自分という井戸に水を満たした人だけが、やがてお金に働いてもらう長期投資と資産形成の土台を手にできる。
知識を入れたあと、実際にどう動けばいいのかをここで形にする。自己投資で稼ぐ力を育て、残す力を持ち、資産形成へつなぐ順番が見えると、お金への向き合い方はぐっと落ち着く。焦って増やすのでなく、長く続く流れをどう作るかが分かる。
ここまで読むと、では実際に何から始めればいいのかと考えるはずだ。答えは案外はっきりしている。まずはお金の知識を身につけること、その次に自己投資で自分の稼ぐ力を育てること、そして生活を支えられるだけの土台ができたら、残ったお金を資産形成に回していくことだ。
この順番を入れ替えないことが大切になる。
資本主義の中で苦しくなりにくい流れを作るには、いきなり大きく増やそうとしないほうがいい。元になる資産がまだ小さいうちは、お金そのものを増やすことより、自分が生み出せる価値を増やすことのほうが効きやすいからだ。
だから最初の段階では、投資先を探し回るより、自分の知識、技術、経験、判断の精度を高めるほうが現実的である。商売で言えば、商品設計を磨く、伝え方を見直す、営業の言葉を整える、紹介が起きやすい流れを作る。こうした学びは地味に見えて、あとで売上と利益の両方に返ってきやすい。
ここで覚えておきたいのは、資産形成は、余ったお金を何となく寝かせることではなく、将来の自由を増やすためにお金の置き場を決めることである。
この感覚があると、日々のお金の扱いが変わる。入ってきたお金をその場の気分で使い切るのではなく、どこまでを生活に使い、どこからを学びに回し、どれだけを残すかを考えるようになる。経営者にとって、これは単なる家計管理ではない。自分の人生と商売の流れを守るための配分である。
氣の経営でいえば、ここには三つの見方がある。時代の流れを読む天機、お金の置き場と仕組みを作る地理、迷わない順番を持つ人知である。難しそうに見えて、やることは案外コツコツ型だ。
まず学ぶ。次に稼ぐ力を育てる。そして残す。長期投資に進むのは、そのあとでよい。順番が整うと、お金は怖いものではなく、働いてくれる味方になっていく。
では、その流れをどう日常に落とすか。いちばん分かりやすいのは、入ってきたお金をすぐ一つの袋に入れないことだ。生活に使う分、学びに使う分、残す分。
この三つをまず意識して分けるだけでも、お金の流れはかなり変わる。分けるといっても、立派な制度を作る必要はない。大切なのは、何となく使う時間を減らすことだ。
売上が入った瞬間に気持ちが大きくなり、そのまま広げてしまうと、お金は残りにくい。反対に、先に置き場を決めておくと、判断がぐっと楽になる。
ここで効いてくるのが、学びへの使い方である。本を一冊買う。信頼できる人に会う。講座を受ける。自分の数字を見直す。
こうした行動は派手ではないが、あとからじわじわ効いてくる。女性の経営者であれば、自分のためのお金を後回しにしすぎないことが大切になる。
人のために尽くすことは美しいが、自分の知識や技術にお金を使わないままだと、長く続ける力が細くなりやすい。男性の経営者であれば、見栄の支出を実力と勘違いしないことが大切になる。
立派に見えることと、実際に残ることは、案外別ものだからだ。
そして、生活が安定してきたら、ようやくお金にお金を稼がせるという発想が生きてくる。ここで必要なのは派手な勝負ではなく、長く持つ力である。
短く増やそうとするほど心は揺れやすくなるが、長く持つ前提で考えると、お金とのつき合い方は落ち着いてくる。だから資産形成初心者ほど、すぐ結果を求めすぎないほうがいい。
先に収入の土台を作り、次に残す習慣を持ち、そのうえで時間を味方につける。この流れが、いちばん無理がない。
結局のところ、難しいことは何もない。お金の知識が必要な理由は、金持ちになるための裏技を覚えるためではなく、焦りに振り回されずに生きるためである。
学びで自分を育て、残して、持ち続ける。その積み重ねが、人生にも経営にも静かな余白を作る。お金を増やすとは、派手に勝つことではない。
自分に合った順番で進み、選択肢を少しずつ増やしていくことだ。その先に、ようやく安心して働ける流れが育っていく。
読者からのよくある質問とその答え
Q. お金の知識は、経営者でなくても本当に必要ですか?
A. 必要である。理由は、入ってくる額より使い方の差が後から大きく開くからだ。まずはお金の知識を難しく考えず、減る使い方と残る使い方を見分け、気持ちが散る前に流れを落ち着いて見直すところから入る。それだけでも、日々の不安の質はかなり変わる。
Q. 投資が怖い人は、何から始めればいいですか?
A. 先に自分へ使うとよい。理由は、自己投資は仕事の力を上げ、戻り方が見えやすいからだ。まず本を一冊選ぶ、学ぶ相手を決める、受けた学びを一つ試す。そうすると不安に引っぱられにくくなり、手元の感覚も育っていく。焦りも少し薄くなり、動きやすくなる。
Q. 頑張って稼いでもお金が残らないのは、なぜですか?
A. 原因は収入の少なさだけではない。理由は、投資と消費の違いが曖昧だと、安心のつもりの出費が増えやすいからだ。まずは入ったお金の行き先を分け、気分で広げる前に一度立ち止まり、使った後に何が残るかを見る癖を持つ。それが流れを変える入口になる。
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【お金の流れを点検する】
1.出しすぎを一つ止める
今日使う予定のお金を一つだけ見直し、なくても困らない出費は今は止める。減らした分は、そのまま残す箱に回すと流れが変わりやすい。
2.学び先を一つ決める
今の売上や判断を良くするために必要な学びを一つだけ決め、本・講座・相談相手のどれに使うかを書き出す。自己投資は広げず、今の仕事に返るものへ絞る。
3.お金の置き場を先に決める
次に入るお金について、生活に使う分、学びに使う分、残す分の三つを先にメモする。使ってから考えるのでなく、先に置き場を決めるだけで判断がかなり静かになる。
お金の知識とは、富を追いかけるための道具ではなく、働いて得たものを静かに守り、育て、人生と経営の選択肢を減らさずに生きるための知恵であり、その使い方が未来の景色を変えていく。
(内田 游雲)
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内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトの「運の研究-経営とお金が巡る仕組みの研究所-」は、氣の経営と運をテーマにしている。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。





















