成功体質をつくる潜在意識の活かし方と思考の習慣

習慣として“自分と対話する時間”を持つ

人は行動の前に、必ず「想像」している。だからこそ、潜在意識に描くイメージこそが、成功への道を左右する。潜在意識は現実と想像の区別がつかず、繰り返し与えられた情報を信じて行動を変えていく。怖れや不安も、未来を悪く想像することで生まれるもの。逆に、理想の自分を明確にイメージし、毎日の中で小さく繰り返すことで、潜在意識は味方になってくれる。必要なのは、習慣として“自分と対話する時間”を持つこと。言葉、イメージ、感情を整え、潜在意識に「私はできる」と信じさせることが、成功へのもっとも自然で確かなルートになるのだ。(内田游雲)

profile:
内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトの「運の研究-洩天機-」は、運をテーマにしている。他にも、この世界の法則や社会の仕組みを理解しスモールビジネスの経営を考える「気の経営」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。

人間は、想像するだけで、ドキドキしたり、うっとりしたり、急に足がすくんで動けなくなったりする。そんな不思議な経験は、誰でも一度はあるはずだ。実際には何も起きていないのに、頭の中のイメージひとつで心も体も大きく揺さぶられてしまうのだから、人間ってつくづく面白い生きものだと思う。

想像力こそが現実をつくる入口

たとえば、5メートルの板が目の前にあったとしよう。幅は45センチ。その板をただ歩いて渡るだけ。地面に置いてあれば、どんなヒールを履いていてもヒョイと渡れる。でも、これがもし、50階建てのビルの屋上にかかっていたとしたらどうだろう。たとえ10万円札が反対側に置いてあっても、足が震えて動けないのが普通だ。

同じ板なのに、なぜこんなにも違う反応になるのか。それは、目の前の現実ではなく、頭の中のイメージが「恐怖」という名のブレーキをかけているからに他ならない。「落ちたらどうしよう」という想像が心を支配すると、身体はそれに忠実に反応してしまう。これこそが、想像力が現実を超える瞬間だ。

この話、実は昔読んだ忍者漫画の中にも出てきた。忍術の奥義は「心のイメージを支配すること」にあるらしい。マンガの話だからとあなどるなかれ。これはまさに、潜在意識が動き出すスイッチでもあるのだ。

人間の行動には、かならず“無意識の指令”がある。その指令は、感情や直感の奥にあるイメージから来ている。理屈では「やればできる」と思っていても、「なんとなく怖い」「なんか無理そう」という曖昧な感情が勝つとき、それは潜在意識がイメージの力で理論をねじ伏せている証拠。

つまり、成功したいと思っているのに動けないときは、頭の中で「失敗の映像」を再生してしまっているのかもしれない。自分で作ったその“映画”に、勝手に振り回されているのだ。だったら、上映する映画を変えればいい。ラストがハッピーエンドのストーリーを何度も頭の中で流すようにすれば、潜在意識はそのイメージを現実だと信じて、あなたをそちらの方向へと導いてくれる。

イメージは、いつだって自由でいい。誰にも見られていないのだから、派手でもいいし、大胆でもいい。心のスクリーンに、なりたい自分、手にしたい未来を好きなだけ映していいのだ。その映像が、やがて現実の舞台装置を動かしはじめる。

成功のスタートラインは、「やってみたい」でも「やらなきゃ」でもなく、「想像してみること」。想像力が現実をつくる入口であり、潜在意識という名の名優が、あなたの人生の舞台に登場するきっかけとなるのだ。

成功に必要な潜在意識との対話

潜在意識と聞くと、なんだかスピリチュアルな話に思えるかもしれない。でもこれは、目に見えないけれど毎日しっかり働いている、あなたの“もうひとつの脳”みたいなもの。たとえば、歩くときに「右足、次に左足」なんて意識していないはず。朝起きて、顔を洗い、コーヒーを淹れる。そんな日常の動作も、ほとんどが潜在意識の自動運転で成り立っている。

この“無意識の操縦士”は、私たちの行動や思考のほとんどを裏で仕切っている。しかもこの潜在意識、実はとても素直でお人好し。言われたことは「はい、わかりました」と信じてしまうクセがある。だからこそ、どんな言葉やイメージを与えるかが、とても大事になってくる。

「どうせ無理だよね」「私なんてきっとうまくいかない」そんなネガティブなセリフを口にしていると、潜在意識は「なるほど、うまくいかないってことね」と納得してしまう。そして本当に、うまくいかない現実をつくりはじめてしまう。なんとも忠実で困った性格である。

逆に、「私はできる」「私は運がいい」「きっとうまくいく」と言い続けていれば、潜在意識は「よし、うまくいかせるぞ」と動き出す。ここで大事なのは、ただ言葉だけを唱えるのではなく、できるだけ“感情”をのせてあげること。まるで役者のように、なりきって言う。心のなかの舞台で「成功している自分」を演じるのだ。

潜在意識のナビがどこを向いているかを知る

それに、潜在意識は理屈よりもイメージに強く反応する。なりたい自分を、頭の中に映画のように映し出す。仕事を楽しんでいる自分、笑顔でお金を受け取っている自分、人から感謝されてキラキラしている自分。そんなイメージを毎日上映することが、潜在意識との対話になる。

ここでひとつ注意したいのは、「努力の方向」だ。つい、表面的なテクニックやノウハウばかりに意識が向いてしまうけれど、本当に大切なのは“心の奥にある思い”。つまり、潜在意識のナビがどこを向いているかということ。いくらアクセルを踏んでも、ナビが逆方向を指していたら、目的地には辿り着けない。

潜在意識との対話とは、毎日のちょっとした声かけや想像のこと。朝の身支度をしながら、「今日はうまくいく日だな」とつぶやく。夜寝る前に、「ありがとう、今日もよく頑張ったね」と自分に言ってあげる。たったこれだけで、潜在意識はあなたの味方になる。

成功を引き寄せるには、まずは自分の内側と仲良くなること。潜在意識との関係は、他人との信頼関係とよく似ている。雑に扱えば、そっぽを向かれる。優しく接すれば、こちらの願いをかなえようと動いてくれる。あなたがあなたを信じた瞬間から、成功への道はひっそりと、でも確実に拓けていく。

一歩を踏み出せない理由は想像力

「やらなきゃいけないのはわかってるんだけど…」
「ずっと考えてるのに、なぜか始められない」
そんな“足がすくむ瞬間”は、誰にでもある。頭では理解しているのに、身体が動かない。なぜか怖くなってしまう。これって、決して意志が弱いわけでも、根性が足りないわけでもない。ただ一つ、「想像」が先に恐怖を描いてしまっているだけなのだ。

人間の脳は、非常に臆病で用心深い。とくに“未知のこと”に対しては、必要以上に慎重になるようにできている。それは命を守るために進化してきた自然な反応だ。獣道の先に何がいるかわからない状況で、「まあいいか」と無防備に進む人類は、たぶんあまり生き延びられなかっただろう。

だからこそ、脳は想像力を駆使して、「この先に何か危険があるかもしれない」と先回りしてくれる。ありがたい機能ではあるけれど、現代の私たちにとっては、これがブレーキになってしまうことも多い。

「もし失敗したらどうしよう」「恥をかいたら立ち直れない」「周りに笑われたら…」そうした“かもしれない劇場”を、頭の中で延々と上演してしまっていると、一歩目がまるで落とし穴に見えてくるのだ。

でも、冷静に考えてみてほしい。本当に失敗したら死んでしまうのだろうか?誰かに笑われたとして、それが自分の価値をゼロにするのだろうか?よくよく見れば、想像が作り出したオバケに自分で驚いて逃げているだけかもしれない。

だからこそ、ここで逆転の発想が必要になる。怖い想像に振り回されるのではなく、明るい未来を先に想像してしまうのだ。たとえば「この一歩を踏み出せば、どんなことが待っているか」を細かく思い描く。うまくいった未来、笑顔の自分、ちょっと鼻高々になっている自分を先取りでイメージする。

ここで役に立つのが、いわゆる“ごっこ遊び”の発想である。「起業家ごっこ」「人気者ごっこ」「私、デキる女ごっこ」。そんなノリでOK。想像の中では、年収一億でも、海外進出でも、いくらでも自由に設定してかまわない。まずは、心の中で“なりきる”こと。これが、潜在意識に「そういう人なんだな」と認識させる第一歩になる。

そして、ほんの少しでも行動につなげられたなら、それは立派な前進だ。何もいきなりビルの屋上に立って飛び出す必要はない。靴ひもを結ぶ、小さく一歩を出す、そのくらいで十分。行動が起きれば、脳は「怖くなかったね」と認識を更新する。そしてその“更新”を繰り返すうちに、いつの間にかスルッと次の一歩も踏み出せるようになっている。

怖さを感じるのは、あなたが真剣だから。だからこそ、その想像力を「できない理由」ではなく「叶った未来」に使っていこう。想像は自由。だったら、あなたの未来は、きっともっと自由でいい。

理想の自分をイメージする時間

「もっとこうなれたらいいのに」と思うことはあっても、日々の慌ただしさに追われて、それをじっくり想像する時間を取っていない人は多い。だけど、理想の自分になるには、まず“理想の自分を思い描く時間”が必要不可欠。なぜなら、潜在意識は“繰り返しイメージされたこと”を現実だと認識し、そちらに向かって動き始めるからだ。

潜在意識は、現実と想像の区別がつかない。だから、何度も「私は豊か」「私は幸せ」とイメージしていれば、それを「そういう現実なんだ」と思い込んでくれる。思い込んだ潜在意識は、それに合わせて感情や行動を調整し始める。気づけば、なぜか人との関係がうまくいったり、タイミングがよくなったりするのも、この“思い込み”の作用なのだ。

理想をイメージする時は、できるだけ細かく、リアルに思い描くことがコツ。たとえば、「自分のお店を持っている」姿を思い浮かべるなら、内装の色、流れている音楽、棚に並んだ商品、そしてお客さんの笑顔まで、五感をフルに使って想像する。「おつりは1000円になります」と言う自分の声や、お財布にお札が増えていく様子も想像してしまおう。

このとき大事なのは、「できるかな」と疑うのではなく、「もうそうなっている」ように思い描くこと。自分の中で“すでに叶った世界”を当たり前のように再生するのだ。これを繰り返すほど、潜在意識の中にその現実が刷り込まれていく。

「イメージなんて現実逃避じゃないの?」と思う人もいるかもしれない。でも、そもそも人間は、イメージしなければ何も始まらない生きものだ。誰かに会いに行くときも、頭の中ではすでにその人と会話していたり、服装をイメージしていたりするはず。無意識のうちにやっている“予行演習”こそが、行動の前段階なのだ。

理想を描く時間を持つことは、未来の自分に手紙を書くようなもの。ちょっと照れくさいけど、「いつもありがとう」「あなたに会えるのを楽しみにしてる」と伝えるような気持ちで、自分の未来図を描いてみよう。

もちろん、最初はイメージがぼんやりしていても大丈夫。日によって気分が乗らないときだってあるし、「今日の私は想像力ゼロ!」という日があってもいい。それでも、1日5分でも、なりたい自分を思い描く習慣を続けていけば、想像の精度はどんどん上がっていく。

まるで毎日絵を描くことで、筆の使い方が上手くなるように。想像力も“筋トレ”と同じで、使えば使うほど、クリアで鮮やかになっていく。やがて、それは現実に色をつけていくようになる。

理想を描く時間は、自分と未来をつなぐ大切な儀式。ポジティブな自己暗示と、ちょっとした遊び心で、今日もまたひとつ、自分を好きになる時間を増やしていこう。

潜在意識を活かし成功へ進む習慣

人生を大きく変えるような「成功」は、ある日突然やってくるものではない。もちろん、シンデレラストーリーのような劇的な展開もゼロではないけれど、大半の人が望む“リアルな幸運”は、もっと静かで地味で、だけど確実な「習慣」の積み重ねによって生まれてくる。

そのなかでも、最も効果的な習慣のひとつが「潜在意識との付き合い方」だ。潜在意識は毎日、無意識のうちにあなたをナビゲートしてくれている存在。でもその方向は、与えられた情報によって変わる。だからこそ、自分で意識して「なりたい自分」のイメージを与えてあげる必要がある。

とはいえ、何か特別なことを始める必要はない。毎朝5分、「今日はきっとうまくいく」と声に出してみる。それだけでOK。あとは、歯を磨きながらでも、駅のホームで電車を待ちながらでも、なりたい自分をちょこっと想像してみる。仕事がスムーズに進んでいる様子や、お客さんから感謝されている自分。そうした“うれしい場面”を毎日ほんの少し再生するだけで、潜在意識は喜んでその方向にエネルギーを流してくれる。

また、潜在意識には“繰り返し”がよく効く。何度も聞かされた言葉や映像は、それが真実かどうかに関係なく、どんどん心の奥深くに刷り込まれていく。だから、うっかり「どうせ私なんて…」と繰り返してしまうと、それが潜在意識の“信じる物語”になってしまう。そんなの、もったいない。

だからこそ、自分の使う言葉にはちょっとした“やさしさ”を。たとえば、「失敗しないかな」ではなく「これも成長のチャンスかも」と言い換える。「どうせ無理」ではなく「おもしろそう、ちょっとやってみようかな」にしてみる。言葉を変えるだけで、潜在意識の反応は驚くほど変わる。

そして、成功している人の共通点は、“自分の思考と感情をコントロールしている”という点にある。もちろん、感情が揺れることは誰にでもあるし、ネガティブになる日だってある。それでも、習慣として「戻る場所」を持っている人は強い。自分なりの“ホームポジション”を作ることが、潜在意識を整える鍵になる。

たとえば、お気に入りの香りをかぐ、お気に入りのノートに理想の未来を書く、好きな音楽を聴きながら深呼吸する。そうした小さなルーティンが、潜在意識を安心させ、「よし、また進んでいいよ」と背中を押してくれる。

結局のところ、成功は特別な誰かにだけ許されたものではなく、“習慣で作られる選択肢”の結果なのだ。そしてその習慣のスタートラインに立つためには、まず、自分の心の中と毎日ちょっとだけ話す時間を持てばいい。それは難しくも面倒でもなく、むしろ、ちょっと楽しくてくすぐったい時間だったりする。

潜在意識を活かすことは、自分を信じて、自分を育てること。未来は“なりたい自分”と仲良くなる習慣の延長線上にある。だから、どうぞ今日も安心して、素敵な自分をたっぷりイメージしてみてほしい。その優しい習慣こそが、あなたの人生を、静かに、でも確実に変えていく。

想像力という名の種を、潜在意識という土にまき、優しい習慣で水をやれば、やがて人生は、思い描いたとおりの花を咲かせてくれるのだから。

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