
世界の理(ことわり)を知れば百戦して危うからず
この世界を構成しているものは三つある。その三つというのが、「人知」「地理」「天機」の三つである。「人知」の上に「地理」が成り立ち、「人知」と「地理」の上に「天機」が存在する。「人知」というのは、人間の本質を理解することだ。「地理」とは、地の理(ことわり)だ。「天機」とは、目に見えない流れや法則を知ることで、流れに乗って進む方向や時期を見るものだ。この全体像は「天・地・人」を意味している。天地人(てんちじん)とは、「三才」と表され全世界を形成するすべての要素ということであり、宇宙に存在する万物すべてという意味である。(内田游雲)
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内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。小規模事業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを専門に行い、30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトの「運の研究-洩天機-」は、運をテーマにしている。他にも、この世界の法則や社会の仕組みを理解し経営を考える「気の経営」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)
世界の理(ことわり)を知る
この世界を構成しているものは三つある。その三つというのが、「人知」「地理」「天機」の三つだ。
「人知」というのは、人間の本質を理解することである。
人間関係や、人の行動の元になる感情、さらには本能的衝動などがここに当たる。
この知識を得て理解を深めることで、人間の行動や感情を予測し理解することが可能になっていく。
「地理」とは、地の理(ことわり)である。
私たちが学校で習う地理とは少し違う。
ここでいう地とは、土地の意味ではなくて、現実世界のことを意味する。

だから、現実社会の基本になる仕組みや多くの理論を意味している。
もちろんその中には、学校で習う地理も含まれることになる。
そして、3つ目が「天機」である。
「天機」とは、目に見えない流れや法則を知ることで、流れに乗って進む方向や時期を見るものだ。
ここには、私たちがよく口にする「運」なども含まれる。
こうした「天機」を知ることでより大きな成果を創り出したり、運をコントロールすることが可能になっていく。
人の理(人知)が基本になる
そして、この三つを知るには、順番があって、「人知」の上に「地理」が成り立ちつ。
そして、「人知」と「地理」の上に「天機」が存在する。
「天機」
↑↑
「地理」
↑↑
「人知」
このような感じだ。

だから、まず「人知」の部分。
つまり人間の本質を学ぶことが、私たちが生きていく上で最初にやることである。
そして、次に「地理」を学ぶ。
つまり、「人知」を学んだ後は、現実社会の仕組みや法律、様々な理論をを学ぶ。
そして、最後に「天機」を知って行動をすればいいのだ。
この3つの「人知」「地理」「天機」のすべてが揃って、初めて人生を自由に生きていけるようになる。
こうしたことを「気の経営」では、
「天機を観て
地理を計り
人知に従う」
こう表現する。
三才とは宇宙に存在する万物
既に、気づいたかもしれないが、この全体像は「天・地・人」を意味している。
天地人(てんちじん)とは、「天」と「地」と「人」のことで、これは全世界を形成するすべての要素ということだ。それは地球上だけにとどまることなく、宇宙に存在する万物すべてという意味である。
これらを「三才」と表される。
つまり、「天・地・人」とは、古来の人の認識において「この宇宙を含む全世界のすべて」という意味なのである。さらに、「天の時、地の利、人の和」で戦略が成功する三条件を示している。
この言葉の語源となったのが、孟子による『公孫丑章句上』の一節。
「天時不如地利。地利不如人和」(天の時は地の利に如かず 地の利は人の和に如かず)だ。
何事かを達成しようとする時、天の時を得ていて、地の利がなければ成就できない。しかし、それらを得ていても、人の和がなければ成就できないという意味である。
つまり、天の時(タイミング)や地の利(環境)よりも、人の和が大切であると孟子は言っているのだ。
孟子(もうし:紀元前372年~紀元前289年)は中国戦国時代の儒学者であり、儒教において「孔子」の次に重要な人物とされている。その儒教の教えは、別名「孔孟の教え」とも呼ばれ、特に孟子は「性善説」(人間の本性は善であるという説のこと)を主張した。
上杉謙信もまた、
「輝虎(謙信)公曰く。天の時、地の利に叶い、人の和とも整いたる大将というは、和漢両朝上古にだも聞こえず。いわんや、末代なおあるべしとも覚えず。もっとも、この三事整うにおいては、弓矢も起こるべからず、敵対する者もなし」(北越軍談 謙信公語類)
こう残している。
目の前の現実を離れないこと
さて、この「天・地・人」という考え方をとるときに、最も重要なことは、これら三つの調和する姿だ。
つまり、どこかに偏ってはいけないということである。
「人知」の上に「地理」が成り立ち、「人知」と「地理」の上に「天機」が存在する。
「天機」
↑↑
「地理」
↑↑
「人知」
ここをしっかりと基本にしておくことが重要なのである。
ともすれば「天機」の部分を知ると、それがすべてのような感じに囚われ、現実社会のことをおろそかにしがちである。
これではいけない。

誰もが世の中の見えない部分を知ってしまうと、ついそれに依存したくなる。
こうした目に見えないものへの依存は、人生を失敗に導くことになる。
スピリチュアル的なものを信じてもいいが、それに依存してはいけないのだ。
私たちが生きているのは、あくまで現実のこの世界だということだ。
宮本武蔵が、「独行道」に次のように書いている。
「仏神は尊し仏神をたのまず」
スピリチュアル的な者や、神仏の力を借りるということは、最後の最後、ほんとに他にやるべきことが全てなくなったその時に初めて頼るべきものなのである。
【参考記事】:

2024.05.06
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