私たちの話す言葉はほとんど通じていない

言葉は伝わらないのがあたりまえ

私たちの人生にとって「言葉」のスキルはもっとも重要なものの一つと言うことができます。

「人生の修行の中で最も難しいのは言葉の修行である」

こういうことをいう人もいます。

これは、少し考えてみると、判る事なのですが、

・言葉が人間関係を難しくしています。
・言葉が要らぬ波風を立てたりします。
・言葉が言刃となりいがみ合うようになったりします。
・言葉が独り歩きしてしまいあらぬ誤解を受けたりします。
・たった一言の言葉の解釈の違いでこじれてしまったりもします。

私たちが直面するほとんどの問題は、この言葉から生まれてしまうのです。

では、なぜこんなことが起こってしまうのでしょうか?

言葉は他人のためにある

これは、ほとんどの人が持っている言葉について大きな勘違いが原因なのです。

誰もが、発する言葉は自分の為と思っていますが、じつは、言葉は、他人のためにあるのです。
自分の為ではないのです。

まずここをしっかりと認識しておくことです。

そもそも、自分の為だけであれば言葉は発する必要ないのです。
言葉を発した瞬間に、言葉は自分のものから、他人のために存在するようになります。

ここをしっかりと心においておいてください。

自ら発する言葉は、自分のものではなく、他人の財産となるのです。
だから、相手に喜ばれるように使う必要があるのです。

言葉を発することは、他人の為に注意深くする必要があります。

しかし、私たちが言葉を発するときには、あまり、考えずに自分の欲するままに発しています。
この認識の間違いが、大きな問題を引き起こしてしまうのです。

日本人であっても言葉は伝わらない

私たちが通常話をする相手は、その殆どが日本人のはずです。

だから、読んでいるほとんどの人が日本語を自在に操れると信じています。
日本語であれば、何でも自由に相手に伝えることができると思っています。

しかし、言葉で表現できるパーセントはそもそも少ないのです。

例えば、世の中で一番よく知っているはずの自分、人生の中で何万回も鏡で見ている自分の顔。
その熟知している顔を言葉で正確に表現してみてください。

どれだけ正確に伝えられるでしょうか?

誰もが言葉を自在に操れると信じています。
不便さを感じることもありません。

しかし、そこに多くの問題が起因しているのです。

自分の顔すらも正確に伝えられない言語能力とはいったい何なのでしょうか?
自在に話せるというのは、じつは大きな誤解なのです。

言葉は3割しか伝わっていない

私たちが行っている日常の会話ですら、

「少ない言葉」
「限られた単語」
「同じような表現方法」

これの繰り返しに過ぎないのです。

実際には、言葉はほとんど通じていないのです。

例えば、頭の中で考えている内容が100%だとすると、それを言葉にすると80%が限界だといわれています。

これを他人が聞いて理解できる限界は、70%だといわれます。
これを次の人に伝えようとすると言葉にするときにまた80%となり、これを聞いた人が理解できるのはさらにその70%になります。

たとえば会社などでよくあるシーンですが、部長から課長に、そして課長から部下に伝達する場合にどうなるかというと、

(部長)×80%⇒(課長)×70%=56%
(課長)56%×80%⇒(部下)×70%=31%

つまり、部長が考えていることを部下が理解できるのは1/3だけだということなのです。

しかも、これは最大限の能力と注意力を限界まで発揮した場合であって、通常の生活においてはもっと悪い数字になります。

人は理解されないから、何度も伝えようとします。
そうなると相手の反応はどうなるかというと

「話を聞こうとしない」
「また始まったという受け止め」であり、

生理的に「嫌気」が体内から生まれ

「聞こうという意欲を低下させ」
「言葉の重みを消し」
「人としての重みを軽く」していきます。

さらに頭のいい人ほど、一つのことを異なる表現で話し、その趣旨を理解してもらおうと試みますが、かえってそれが、ますます理解度を下げていきます。

こうして、悪魔のサイクルに入っていきます。

多弁であることの弊害

人は多弁になればなるほど、相手の理解度は低くなり、さらに記憶度が薄くなり、人間としての重みを軽くしていきます。

古来より伝わる帝王学に、「黙養」という科目があります。

「1日黙して、一語も語らず。
 3ヶ月黙して、一語も漏らさず。
 3年黙して、一語も発せず」

つまり、話さない訓練です。

古来より、人は多弁であることの弊害を知っていました。
如何に語るかではなく如何に話さないかが重要なのです。

話すことを学ぶことは、じつは話さないことを学ぶということなのです。

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