五省(海軍兵学校)

五省とは、旧大日本帝国海軍の、広島県江田島の海軍兵学校(現在は海上自衛隊幹部候補生学校)において、生徒がその日の行ないを反省するために暗唱していたものだ。初めてこれを聞いた時は、とても感銘を受けた。私たちが、いくら商売や人生で頑張っていても、いかに甘い世界であるかを痛感する。命を取られない商売の世界は、やはり甘い世界である。(内田游雲)

profile:
内田游雲(うちだ ゆううん)

ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。中小企業経営者に向けてのコンサルティングやコーチングを専門に行っている。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的指導には定評がある。本サイトの「運の研究-洩天機-」は、運をテーマにしている。他にも、この世界の法則や社会の仕組みを理解しスモールビジネスの経営を考える「気の経営」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)

今回は、私の好きな言葉を紹介しておく。

「至誠(しせい)に悖(もと)るなかりしか
言行に恥づるなかりしか
気力に缺(か)くるなかりしか
努力に憾(うら)みなかりしか
不精に亘(わた)るなかりしか 」

      (海軍兵学校『五省』)

これは、旧大日本帝国海軍の士官養成機関であった、広島県江田島の海軍兵学校(現在は海上自衛隊幹部候補生学校)において、生徒がその日の行ないを反省するために暗唱していたものだ。

五省(ごせい)

それぞれの意味は、おおよそ次の通りである。

・至誠に悖とるなかりしか

今日一日、誠意を尽くして生活できたか?
客観的に自分を振り返り不誠実と思われる振る舞いはなかったか?
真心に反することはなかったか?

・言行に恥づるなかりしか

外連(けれん:かっこ良く見せること)や嘘、ごまかし、口だけの言行不一致はなかったか?

その日の行動について自省自戒す

・気力に缺くるなかりしか

今日1日の行動を振り返り気力が欠けるところはなかったか

・努力に憾みなかりしか

憾み(うらみ)とは他と比較して不満に思うことをいう。
今日1日の自分の努力に反省はないか?
自分の限度まで努力したか?
易きに流されたことはなかったか?

・不精に亘るなかりしか

服装、姿勢、身だしなみ、整理整頓等、頭のてっぺんからつま先まで手を抜かなかったか?

夜間「自習止め5分前」のラッパが鳴り響くと、生徒は素早く書物を机の中に収めて、粛然と姿勢を正し、その日の当番生徒が、「五省」の各項目に問いかけ、その他の生徒は瞑目し、心の中でその問いに答えながら、その日一日の自分の行動について自省自戒していた。

命をかけて戦う人間の迫力

士官候補生の為の軍事教練として行われていたこの五省だが、初めてこれを聞いた時は、とても感銘を受けたものだ。

戦争という場において、命をかけて戦う人間の迫力には圧倒されてしまう。

私たちが、いくら商売や人生で頑張っていても、いかに甘い世界であるかを痛感する。命を取られない商売の世界は、やはり、手抜きの世界であり甘い世界なのだ。

もちろん、命のやり取りをしながら商売をしろとはいわない。しかし、この10分の1の気力と迫力で臨んだら、どのような分野においても、必ず大きな成果を上げることができる気がする。

この言葉は、常に目に入るように、今、私の手帳の1ページ目に書かれている。

「至誠(しせい)に悖(もと)るなかりしか
言行に恥づるなかりしか
気力に缺(か)くるなかりしか
努力に憾(うら)みなかりしか
不精に亘(わた)るなかりしか 」

(海軍兵学校『五省』)

ぜひ、いちど声に出して読んでみて欲しい。

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