雇われて安定した収入を得るというリスクに気づけ
今の世界は、紛れもなく資本主義なのだが、「安定した収入」を求めて時間を切り売りして労働に生きている多くの人は「資本主義」で生きているのではなく「労働主義」で生きているのだ。誰もが気付いている通り、資本主義の上に立っている人間は肉体労働をしていない。それでいて実際に労働している人よりもはるかに豊かになっている。それは、彼らは労働主義ではなく資本主義で生きているからである。(内田游雲)
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内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。小規模事業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを専門に行い、30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトの「運の研究-洩天機-」は、運をテーマにしている。他にも、この世界の法則や社会の仕組みを理解し経営を考える「気の経営」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)
安定した収入の裏にある意味
多くの人が、子供のころから、真面目に学校に通って、いい成績を取って、いい会社に就職しなさい。
こうして安定した収入を確保し、遅刻せず、真面目に働いて・・・
そうすれば老後は安泰です。
こうしたことを、両親をはじめ、先生や周囲の大人たちからよく耳にして育ってきた。
できればこれが真実であって欲しいのだが、じつはこのアドバイスはいまはもうお伽噺以外の何者でもなくなっている。
自分自身の人生でも、知り合いの人生でも良いのだが、ちょっと考えてみれば、それが真実かどうかはすぐわかるはずだ。
ここで、取り上げておきたいのは、こうした「安定した収入」の裏にある本当の意味である。
もちろん、安定した収入は有るにこしたことはないのだが、自分の価値に見合った収入を手にする妨げになっている場合がとにかく多い。
安定した収入や時間給をありがたがるのは、基本的にお金に縁がない人の場合である。
毎月毎月、同じ日に、同じ金額を受け取ることで「安心感」を手に入れようとしているのだ。
しかし、ほとんどの人が気づいていないのが、その安心感はタダではないということである。
もしかしたら手に入るかもしれない、もっと大きな収入を犠牲にして手に入れたものなのだ。
今の世界は、紛れもなく資本主義なのだが、「安定した収入」を求めて時間を切り売りして労働に生きている多くの人は「資本主義で生きているのではなく労働主義で生きている」ということだ。
この世は資本主義なのに、「資本主義者」として生きていないのということになる。
こうした安心感を求める心理の背後には、恐怖がある。
たとえば、出来高性では十分な収入を得られるかどうか不安なので、とりあえず不自由なく生活できるだけのお金をもらえば良いという考え方だ。
金持ちになれる人の特徴は、自分の仕事に見合った報酬をなんとかして得ようとするところだ。
そのため、自分でビジネスを展開していることが多いのである。
これは、決して高収入を保証するものではないが、報酬はリスクの大きさに応じて高くなるのが普通である。
時間と報酬の交換を考えない
金に縁のない人は、たいてい自分の時間を切り売りしている。
ところが、この時間は無限ではないのだ。
時間で報酬を得ることは、すなわち金持ちになる可能性を否定することにつながる。
基本的には、私はこの文章を読まれている全員に「独立」することをお勧めする。
自分で会社を作るか、歩合給や利益の何%という形で報酬を受け取るか、その形はいろいろあるのだが、仕事の成果に応じて報酬を受け取れるそんな環境を作すことを目指すべきだと思っている。
もちろん、その道は平坦ではないし、リスクもあるだろう。
しかし雇われのまま、労働を売って金持ちになろうというのは、ありえないのが現実である。
誰でも気付いている通り、資本主義の上に立っている人間は誰も肉体労働をしていない。
それでいて実際に労働している人よりもはるかに豊かになっている。
地主は、必死で働いている小作人よりも生活が豊かだ。
社長は、過労死寸前まで働いている従業員よりも生活が豊かだ。
それは、彼らは労働主義ではなく資本主義で生きているからである。
小作人や従業員が働いた対価を、地主や社長が吸い取って生きているからだ。
これが資本主義社会の真実の姿である。
ここをしっかりと認識した上で自分の道を選ぶことである。
金持ちになるただ1つの方法
世の中には金持ちになりたい人が多い。
セミナーなどで、
「金持ちになりたい人?」
こう質問すると、ほとんど全員が金持ちになりたいと手を上げる。
次に、
「金持ちになる方法を知っている人?」
そう質問するとほとんど手が上がらなくなる。
金持ちになる方法は簡単である。
収入>支出
この状態を守ればいい。
そして、この差が大きくなるほど金持ちになりやすくなる。
ただそれだけである。
収入をできるだけ大きくし、支出をできるだけ小さくする。
そのためには、時間を売っていては無理なのである。
世の中の収入は、労働という名の時間を売る仕事がほとんどである。
時間を売るということは、その、交換レートはともかくとして、時間と収入を交換している。
つまり、時間を消費することで収入を生み出すということだ。
時間に限界がある以上、これを増やすことなどできない。
しかもその交換レートは、自分で決められるのではなく、相手側(会社)の言い値である。
これでは、収入を増やしたくても増えるはずもない。
その結果、金持ちへの道が閉ざされてしまうということである。
これが、安定した収入を求めた結果である。