信念によって現実は作り出される
信念とは思考や感情、記憶の蓄積である。信念に蓄積されていくものを、仏教では因と呼ぶ。この因が蓄積されて、過去の因と、現在の因を取り混ぜて、何らかの現実を引き起し作り出していく。これが縁(結果)だ。因を入れると、縁(結果)が生まれる。そして、この縁が、五感を通じて新しい因を作り出し、また別の縁を生み出していく。(内田游雲)
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内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。静岡県静岡市に生まれる。小規模事業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを専門に行い、30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトの「運の研究-洩天機-」は、運をテーマにしている。他にも、この世界の法則や社会の仕組みを理解し経営を考える「気の経営」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)
信念が今の現実を作っている
なぜ、多くの人たちが、一生懸命頑張っているのに、人並みの暮らししかできないのか?
こう不思議に思ったことはないだろうか?
それは、ほとんどの人たちの、頭の中の信念が、金を得ることを妨げる情報でいっぱいだからだ。
それで、いつも金を失うような選択しかできないのである。
ほとんどの人たちの信念が、金持ちの信念ではないので、金を使ってしまうのが自然で、それが正しい選択になっている。
その結果、破産するか、せいぜい人並みの暮らしができるくらいの生活を送ることになるのだ。
金持ちになる信念を持っている人は、金を生み出す為に、自然と正しい選択をしていく。
すべては、信念のもたらす現象である。
財産や健康、さらには自分の体重でさえ、あくまで信念のもたらす結果でしかない。
私たちは、原因と結果の世界に生きているのだ。
ここで言う原因とは、信念のことである。
つまり、この信念が今の現実を作っているということだ。
だから、現実を幾ら修正しようとしても、その元になるデータ、つまり信念のミスを正さなければどうにもならないのである。
コンフォートゾーンの沼に嵌る
金や、その他に関する考え方は、しばらく経つと、「コンフォートゾーン」になっていく。
コンフォートゾーン(Comfort zone)とは、「快適な空間」を意味する言葉だ。
心理学などでは、ストレスや不安が無く、限りなく落ち着いた精神状態でいられる場所を指す。
つまり、居心地のいい状態である。
そして、あなたが前進する再に最も大きな障害になるのが、このコンフォートゾーンなのだ。どんな分野であれ、コンフォートゾーンに一歩踏み込んだが最後、知らず知らずコンフォートゾーンにできる限り留まろうと足掻くようになっていく。
そのために、本来の力を発揮できなくなるのだ。
仮に、あなたのコンフォートゾーンが年収500万円だとしたら、それがあなたの実際の年収となる。
周囲の世界で、景気後退があろうと、大不況、経済破綻など、何が起きようと年収500万円のラインは動かない。
あなたは、無意識のうちに、すべての力を振り絞って、このラインを守ろうとするのだ。
また、それまで、年収1000万円の状態に慣れていたのであれば、職を失うか、見知らぬ土地に移って一から始めても、ほんの少しの期間で、年収1000万円のペースを取り戻すことができる。
このように収入のレベルに関する信念が心のプログラムに習慣として永久に書き込まれてしまえば、人は何があろうとその収入レベルを保つ手段を見つけ出すのである。
ここから抜け出すには、全ての能力を発揮し、望む分野の信念をレベルアップすることだ。
そうすれば、現在よりはるかに大きい収入を得て、人生のあらゆる面で最高の状態を満喫することができるようになる。
できない理由を必死に探す
しかし、ここで、困難に当たることになる。
それは、あなたの信念が新しい体験に対して、恐怖心を感じさせるからだ。
変化することに対する怖れである。
これが、何か目新しいこと、慣れないこと、リスクや不確実性をはらむことに挑もうと考えるたびに、最初に「できない!」と思わせる。
一度この思いが出てしまったが最後、なぜ、自分にはやりとげる力が無いのかという理由を必死で探し始めてしまうのだ。
成功よりも失敗について考え、話しがちになっていく。
不確実性や、待ち受けるリスク、あれこれについて考えてしまうのである。
ここでちょっと質問だ。
「人が何か目標を掲げたとき、
諦めるまでにチャレンジする回数は、
平均で何回くらいだろうか?」
たいていは、2~3回と思う人が多いのだが、事実は「一回未満」である。
つまり、ほとんどの人が、トライもしないで諦めてしまうということだ。
誰もがよい人生を送りたい、収入を増やしたい、昇進したいと、望んでいるにもかかわらず、新しい目標が現れたとたん、自動的に「できない!」という反応を示し、そして、なぜ不可能かという理由を探し始めるのである。
信念は思考や感情と記憶の蓄積
このようにすぐに足を引っ張ろうとする信念だが、願望を強くしたら、それがそのまま信念になるかというと、そういうものでもない。
信念とは思考や感情、記憶の蓄積である。
ここは、大事だ。
もう一回書いておく。
「信念とは、思考や感情、記憶の蓄積」
あなたがこれまで生きてきたその総ての、思考や感情、記憶の蓄積があなたの持つ信念なのだ。
五感から入って、それに対して想起した感情、思考、さらにこれまでに遭遇したすべての出来事や経験、これらが積もり積もって、あなたの信念を形成している。そ
して、それがそのまま、あなたの現状を作り出しているのだ。
だから、ちょっとだけ、強く願望を持ったとしてもすぐに変わることはない。
信念とは、ひとつの透明な容器に入っている水のようなものと考えてみると、理解しやすいかもしれない。
その中の色が、黒い水であったら、そこに透明な水を一滴入れたとしても全く変化を感じることはできない。
しかし、透明な水を長期間の間、入れ続けると、水は徐々に透明になっていく。
あなたの信念の色は、現在の状態を見れば判るだろう。
金で考えれば、年収500万円の人の信念は500万円の色なのだ。
ここに、ちょっと思いついて、年収1億円なんて願望を入れても、まったく変化などするはずが無いのである。
しかも、その願望を思いつくたびに、「できっこない!」という思いまで入れていれば、ほとんど意味が無いのも理解できるだろう。
信念を少しずつ変化させる
しかし、この信念が蓄積であることを知ってさえいれば、年収1億円という願望を入れ続けることで、少しずつ信念を変化させることができる。
さらに、年収700万円の方が色が近いから、同じ願望を入れるにしても、こちらの方が短期間で実現できることも理解できるはずだ。
このように信念に蓄積されていくものを、仏教では因と呼ぶ。
この因が蓄積されて、過去の因と、現在の因を取り混ぜて、何らかの現実を引き起し作り出していく。
これが縁(結果)だ。
因を入れると、縁(結果)が生まれる。
そして、この縁が、五感を通じて新しい因を作り出し、また別の縁を生み出していく。
これが仏教の因縁論だ。
とにかく、信念とは何かを理解すれば、どうすればいいかが判ってくる。
そして、あなたの信念は今の現状を見れば一目瞭然なのだ。