
雇われて安定した収入を得るというリスク
今の世界は、紛れもなく資本主義なのだが、「安定した収入」を求めて時間を切り売りして労働に生きている多くの人は「資本主義」で生きているのではなく「労働主義」で生きているということだ。誰でも気付いている通り、資本主義の上に立っている人間は誰も肉体労働をしていない。それでいて実際に労働している人よりもはるかに豊かになっている。それは、彼らは労働主義ではなく資本主義で生きているからである。(内田游雲)
安定した収入の裏にある意味
多くの人が、子供のころから、真面目に学校に通って、いい成績を取って、いい会社に就職しなさい。
こうして安定した収入を確保し、遅刻せず、真面目に働いて・・・
そうすれば老後は安泰です。
こうしたことを、両親をはじめ、先生や周囲の大人たちからよく耳にして育ってきた。できればこれが真実であって欲しいのだが、じつはこのアドバイスはいまはもうお伽噺以外の何者でもなくなっている。自分自身の人生でも、知り合いの人生でも良いのだが、ちょっと考えてみれば、それが真実かどうかはすぐわかるはずだ。
ここで、取り上げておきたいのは、こうした「安定した収入」の裏にある本当の意味である。もちろん、安定した収入は有るにこしたことはないのだが、自分の価値に見合った収入を手にする妨げになっている場合がとにかく多い。安定した収入や時間給をありがたがるのは、基本的にお金に縁がない人の場合である。毎月毎月、同じ日に、同じ金額を受け取ることで「安心感」を手に入れようとしているのだ。
しかし、ほとんどの人が気づいていないのが、その安心感はタダではないということである。もしかしたら手に入るかもしれない、もっと大きな収入を犠牲にして手に入れたものなのだ。
今の世界は、紛れもなく資本主義なのだが、「安定した収入」を求めて時間を切り売りして労働に生きている多くの人は「資本主義で生きているのではなく労働主義で生きている」ということだ。
この世は資本主義なのに、「資本主義者」として生きていないのということになる。

こうした安心感を求める心理の背後には、恐怖がある。
たとえば、出来高性では十分な収入を得られるかどうか不安なので、とりあえず不自由なく生活できるだけのお金をもらえば良いという考え方だ。
お金持ちになれる人の特徴は、自分の仕事に見合った報酬をなんとかして得ようとするところだ。そのため、自分でビジネスを展開していることが多いのである。
これは、決して高収入を保証するものではないが、報酬はリスクの大きさに応じて高くなるのが普通である。
時間で報酬を得ることを考えない
お金に縁のない人は、たいてい自分の時間を切り売りしている。ところが、この時間は無限ではないのだ。時間で報酬を得ることは、すなわち金持ちになる可能性を否定することにつながる。
基本的には、私はこの文章を読まれている全員に「独立」することをお勧めする。
自分で会社を作るか、歩合給や利益の何%という形で報酬を受け取るか、その形はいろいろあるのだが、仕事の成果に応じて報酬を受け取れるそんな環境を作すことを目指すべきだと思っている。
もちろん、その道は平坦ではないし、リスクもあるだろう。しかし雇われのまま、労働を売ってお金持ちになろうというのは、ありえないのが現実なのだ。
誰でも気付いている通り、資本主義の上に立っている人間は誰も肉体労働をしていない。それでいて実際に労働している人よりもはるかに豊かになっている。
地主は、必死で働いている小作人よりも生活が豊かだ。
社長は、過労死寸前まで働いている従業員よりも生活が豊かだ。
それは、彼らは労働主義ではなく資本主義で生きているからである。小作人や従業員が働いた対価を、地主や社長が吸い取って生きているからだ。
ここをしっかりと認識した上で自分の道を選ぶことである。