資本主義が続く限り格差は拡大していく

富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる

グローバリズム(globalism)とは、地球を一つの共同体と見なして、世界の一体化(グローバリゼーション)を進める思想である。言葉通りに訳すと地球主義であたかも、素晴らしい思想のように聞こえるが、多国籍企業が国境を越えて地球規模で経済活動を展開し、市場の寡占もしくは独占固定化に至る可能性が高くなる。金というパワーを持った一部の人間が、その金で暴力装置(軍事力)を雇い弱者を抑圧していく世界なのだ。(内田游雲)

profile:内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。中小企業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを中心に行う。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトの「洩天機-運の研究」は運をテーマにしている。他にも、この世界の法則や社会の仕組みを理解し経営を考える「気の経営」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)

グローバリズムと反グローバリズムの戦い

グローバリズム(globalism)とは、地球を一つの共同体と見なして、世界の一体化(グローバリゼーション)を進める思想である。言葉通りに訳すと地球主義であたかも、素晴らしい思想のように聞こえるが、多国籍企業が国境を越えて地球規模で経済活動を展開し、市場の寡占もしくは独占固定化に至る可能性が高くなる。

これによって、グローバル企業は儲かるが、国民多くが貧困層となり貧富の格差が大きく広がっていく。また、こうしたグローバリズムの進んだ先にある完全に自由な状態とは、無政府主義になっていく。つまり、金というパワーを持った一部の人間が、その金で暴力装置(軍事力)を雇い弱者を抑圧していく世界だ。

この非常にわかりやすい例が習近平が、ダボス会議で「グローバリズム絶対支持宣言」を行ったということだ。グロバーリズムと独裁者は非常に相性がいいのだ。

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しかし、イギリスのブレグジット(EU離脱)やアメリカ大統領選挙でのトランプ現象を見ていると、各国の「国民」が特定の投資家・大企業のみを利するグローバリズムへの反発が激しくなっていることが透けて見えてくる。日本のマスコミではトランプの暴言ばかりがクローズアップしていたが、実際には、今この瞬間に歴史的大転換が起きつつあるのだ。

モノ、サービス、ヒト、カネの国境を越えた移動を自由化するグローバリズムは、国家間、地域間、企業間、国民間に格差をもたらすことになる。例えば過去30年間でアメリカのGDPは約4倍、株価は約10倍も値上がりしている。このように、アメリカの富は著しく増大したが、しかし、そのほとんどの利益を手にしたのが1%の富裕層であり、それ以外の層の実質所得はあまり変わっていないのだ。

これだけを取り上げてみても、一部の富裕層にのみ有利な世界が作られていたのかがわかるだろう。

自由が貧富の差を広げ格差社会をもたらす

グローバリズムは、別名「新自由主義」ともいわれている。「人」、「モノ」、「金」の移動を国境を越えて自由に行き来させることだ。

自由と聞くと、私たちはとてもいいことのように聞こえるが、論理的に考えて、最初の時点でスタートラインが一緒だとしても、自由競争の結果「勝ち組」が出現すると、「勝ち組」に対するリソースの投入が拡大し負け組との格差は拡大せざるを得ない。何しろ、「自由」なのだ。何が悲しくて、「負け組」に貴重なリソースを投じなければならないのだろうか。

自由が貧富の差を広げ格差社会をもたらす

「利益最大化」を目的に人々が「自由」に行動する限り、勝ち組へのリソース投入はひたすら大きくなり、負け組は打ち捨てられ格差は拡大していく。国内の所得格差も同じで、勝ち組となった一部の人々は、政治力を高め、「勝ち組を有利にする政策」を政治家に推進させようとするだろう。

この状況に不満を持った99%の層の不満が前回の選挙でトランプ大統領を生み出した。

「トランプは政治家ではないから
 今の状況を変えてくれるかもしれない。」

こうした期待が、インタービューなどでよく出てきた声なのである。

世界は歴史的転換期を迎えている

2014年に、トマ・ピケティの書いた経済書「21世紀の資本」が世界的なベストセラーになった。ここで世界の人々が知ったのは、

「富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる」

こうしたグローバリズムの現実である。

その後のEUの難民問題(人の移動の自由)や、イギリスのブレグジット(EU離脱)の国民主権の制限への反発、そして、アメリカの大統領選挙(貧富の拡大)といった、自由貿易や市場主義経済の拡大を推進する「グローバリズム」という思想が、世界中で行き詰まり転換点を迎えている。

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新たな選挙ではトランプ陣営が負け、バイデン大統領が誕生した。しかし、これは、また元の世界に戻ったのではなく、少しだけ揺り戻しがあったと考えるべきである。こうした反転は、地域中心の活動に焦点が当た理始めることを意味している。

しかしながら資本主義の時代はまだ続いていく。反転を始めたからと行って、すぐに世の中が変わるものでもない。

まだまだ、

「富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる」

こうした世界は続いていくだろう。だったら、私たちはこの資本主義の持つ力を、自分にとって有利になるように利用したほうが賢明と言えるのである。

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