金の使い方は稼ぎ方より難しい
金の問題の本質は、結局は、「金」の使い方にある。そして、「金」の使い方のコントロールは、「金」を稼ぐことより難しい。支出とは、商品を買うことではなく、その本質は感情的な行為である。感情的な消費は、いくら論理的に考えて節約しようとしてもできない。なぜなら消費の本質が、別のところにあるからだ。まず、この点を認識することが最初になる。(内田游運)
profile:内田游雲(うちだ ゆううん)
ビジネスコンサルタント、経営思想家、占術家。中小企業や個人事業等の小さな会社のコンサルティングを中心に行う。30年以上の会社経営と占術研究による経験に裏打ちされた実践的コンサルティングには定評がある。本サイトの「運の研究-洩天機-」は運をテーマにしている。他にも、この世界の法則や社会の仕組みを理解し経営を考える「気の経営」を運営している。座右の銘は 、「木鶏」「千思万考」。世界の動きや変化を先取りする情報を提供する【気の経営(メルマガ編)】も発行中(無料)
消費の罠に気づかず陥っている
金運をよくするためには、金を稼ぐより出さないようにするほうが簡単である。
【参考記事】:
2023.12.12
金運とはあなたが金に与える2つの力の関係性のこと
誰もが金運が良くなりたい!そう思っている。コンビニに行くと、たいてい金運が良くなる系の本や雑誌が必ず見つかる。それだけ多くの人が、金運を良くしたいと願っているのだ。しかし、この金運についてちゃんと理解している人がほとんどいない。…
しかし、だからといって闇雲に何もかも倹約して爪の先に火をともすような生活をすれば、それでいいのかというとそうではない。
そもそも、私たちが「金」を持ちたい理由は幸福な生活を送りたいからだ。
節約・節約といって暮らしをすることが、果たして幸福なのかということである。
金の問題の本質は、結局「金」の使い方にある。
そして、「金」の使い方のコントロールは、「金」を稼ぐことより難しいものだ。
私たちは、ついうっかりすると、消費の罠にはまっていく。
「金」を使ってしまった後で、期待通りの満足感が得られなかったという経験は誰もが持っているだろう。
こうした時は、たいていその物が欲しかったのではなく、本当に欲しかったのは、それらを買ったときに感じた「気持ち」である。
なぜなら、金を使うことそのものが、喜びや力、自尊心などの感覚を与えてくれるからだ。
支出とは、商品を買うといったことではなくその本質は感情的な行為である。
金を使うという行為は、私たちの感情を変化させそして支配していくものだ。
だから、私たちが金を使う理由は、その人の感情の数だけあることになる。
つまり無数だ。
ここが一筋縄ではいかない部分になる。
たとえば、寂しさや、むなしさを埋める為、不安を抑える為、力や自尊心を表現する為に私たちは「金」を使う。
しかし、問題はその効果が長続きしないことだ。
金を使って心の平安を得ようとしても、その原因が解消するわけではない。
そして、時間がたつと共に、支出によって発散できたストレスの代わりに、金欠のストレスを背負いこむことになる。
これがまた、新しい衝動的消費につながる。
消費はなかなか止められない
こうした「強迫的消費」は一度始まると、なかなか止められない。
多くの場合、買い物の金額は増え、やがて、最初はたまの衝動買いにすぎなかったものが、完全な強迫観念にエスカレートしていく。
こうなると、一般的に、買えないもの、買う予定で無かったもの、必要でないもの、そして時には、本当は欲しくないものさえ買ってしまうようになる。
支出が抑えきれなくなると、上辺だけは何とかしようという気になる。
もう衝動買いはしないと誓い買い物する金額をいくらまでと上限を決めたりする。
しかし、支出を論理的にコントロールしようとしても、本当に問題なのは、その底に存在する感情なのだ。
感情が求めているもの、逃れようとしている問題が何かということに、しっかりと向き合わない限り解決しない。
また、金を使うのは「強迫的消費」だけではない。
「競争的消費」という例がある。
私たちは、「豊かになりたい」という欲求よりも、「まわりの人より豊かになりたい」という欲求を強く感じている。
この感情が「競争的消費」をもたらす。
こうした場合、社会的地位を確かめたり、同じ社会に属する他の人たちと競争したりする為に金を使う。
この競争は、たちまちエスカレートしていく。
お隣がリフォームしたり増築したりすると、じゃあうちもとなっていく。
だから、リフォームをする会社は周辺に必ず挨拶をする。
その後で、お隣に営業をすると、仕事が取れたりする。
金を上手に使うことは難しい
他にも「復習的消費」もある。
これは、怒りや恨みを表す為に、秘密の楽しみとして行なわれる。
これは、家族間などでよく出現する。
喧嘩をした後で、反抗心から消費に走るケースなどだ。
こうした例は、女性のほうに多く見られがちだ。
また、子供の頃に、欲しいものを与えられない場合などに、大人になってからその経験を思い出して復習的消費に走ったりする。
これは、男性に多い。
「大人買い」というやつだ。
こうしてみてくると、私たちは、その商品が必要だから「金」を使うのではなく、感情に揺り動かされて「金」を使う場合が多いのである
人がコレクションにはまるのも、感情に原因がある。
コレクションに打ち込む訳は「自分の世界をつくり支配している」といった感情が得られるからだ。
こうした感情的な消費は、いくら論理的に考えて節約しようとしてもできない。
なぜなら消費の本質が別のところにあるからだ。
まず、この点を認識することが最初になる。
まずは、「金」を上手に使うということは、「金」を稼ぎ出すことより何倍も難しいということを覚えておくことだ。